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ICUにおける栄養サポート


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1.論文のタイトルNutritional Support in the ICU

2.CitationBMJ 2024;387:e077979

論文内容の要約

集中治療室(ICU)における栄養管理は、重症疾患に伴う異化作用や筋肉量の減少を抑え、患者の回復を支援するための不可欠な介入です。しかし、近年の大規模なランダム化比較試験(RCT)の結果により、早期から目標量のエネルギーやタンパク質を積極的に投与する従来の戦略が見直されています。

重症疾患の急性期(通常はICU入室後の最初の1週間)には、筋肉の分解が急速に進む一方で、外部からの栄養補給に対して筋肉が適切に反応しない「アナボリック抵抗性」が生じることが示されています。また、早期の過剰な栄養摂取は、細胞の恒常性維持に不可欠なオートファジー(自食作用)を阻害し、ICU獲得性骨格筋力低下や臓器不全を悪化させるリスクがあります。実際に、PermiT、NUTRIREA-3、EPaNICといった主要な試験では、急性期における低カロリー・低タンパク質の摂取が、標準的な投与量と比較して、ICU滞在期間の短縮や合併症の減少につながることが確認されました。

栄養投与の経路については、胃腸機能が維持されている場合は経腸栄養が第一選択とされますが、急性期においては経腸栄養と経静脈栄養のどちらが生存率において優れているかについて明確な差は示されていません。ただし、急性期に不足分を補うための補足的な経静脈栄養を早期に開始することは、感染症リスクの増加や回復の遅延を招く可能性があるため、避けるべきとされています。

今後の課題として、患者の代謝状態が異化相から同化相へ切り替わるタイミングを特定するバイオマーカーの確立や、個々の患者のリスクに応じた個別化栄養戦略の策定が挙げられています。また、栄養管理単独では筋肉量や身体機能の完全な回復には不十分であり、早期かつ継続的な身体リハビリテーションを組み合わせた多職種による包括的なケアプログラムが、サバイバーの長期的な生活の質の改善に重要であると結論付けられています。

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ER/ICU RadioBy deepER