小山ナザレン教会

「極めて良い」と宣言された世界で生きる(稲葉基嗣) – 創世記 1:20–31


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2025年5月11日 復活節4主日

説教題:「極めて良い」と宣言された世界で生きる

聖書: 創世記 1:20–31、マタイによる福音書 5:3–12、詩編 150、ヤコブの手紙 3:8–10

説教者:稲葉基嗣

 

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『チ。―地球の運動について―』 という作品に登場するオクジーという男性は、「夜空はいつでも美しいのに、なぜこの世界はこんなにも醜いのだろうか」という疑問を子供の頃に抱きました。この疑問は、戦争や貧困、経済格差や環境汚染、いじめや差別など、世界の様々な問題を見せつけられている私たちにとっても他人事ではありません。このような世界は、美しい世界でしょうか?むしろ、この世界は初めから醜く、穢れた、問題だらけの世界だと結論づける方がとても簡単に思えてきます。けれども、そんな私たちやこの世界に向かって、「極めて良い!」と神が宣言している姿が創世記1章では描かれています。もちろん、それはこの世界のあらゆる問題をないもののように取り扱い、まったく見ないふりをして、神のこの宣言を紹介しているわけではありません。というのも、この創造物語が文書として生み出された時期は、少なくともイスラエルの民がバビロニアという古代の大帝国へと強制的に連れて行かれた時代以降のことだからです。希望を持てない人びとの生きる世界を神は祝福し、無秩序な世界に、秩序と正義と平和を与え、その世界を「良い」と宣言してくださいます。ですから、創世記にとって、この世界は醜く、悪に満ちた世界ではありません。ボロボロかもしれないけど、神が祝福し、極めて良いと宣言した世界です。このような世界で生きる私たち人間は、神にとって、「良い」と語りかけられ、祝福を受けている存在です。神はそんな私たちにこの世界を託しました。それは、貪るため、争い合うため、呪い合い、蹴落とし合うためではありません。良いと宣言された世界を良いものとして保ち続けるためです。ボロボロに傷ついた世界で生きる人々に、あなたは良い存在なんだ、という言葉を届けるためです。この世界のすべてのものが神から祝福されていることを伝え、お互いに対する愛や憐れみを取り戻すためです。「あなたは極めて良い」。「この世界は極めて良い」。そんな言葉を失ってしまった世界が美しさを取り戻し、回復へと導かれていくことを神は心から望んでいます。そのために、神は私たちに、きょうも語りかけておられます。そして、イエスさまが愛や憐れみをもって見つめるものを私たちも見つめるために、イエスさまと共に歩む信仰の旅路へと私たちを招いておられます。

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