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自動車が単なる移動手段から「走るスマートフォン」へと進化する中、サイバーセキュリティは私たちの安全にどう関わってくるのでしょうか。インターネット接続が常識となるSDV(Software Defined Vehicle)の時代において、自動車産業はかつてない構造変革の只中にあります。
今回は、自動車ジャーナリストであり、欧州で戦略コンサルタントとしても活躍された川端由美さんをゲスト(実はホストの実姉!)にお招きし、自動車とセキュリティの現在地を深掘り。中国市場が先行するユーザー体験の革命から、ボッシュやブラックベリーといったプレイヤーの劇的な変化、そして「見えない安全」を守るための新たな課題まで、自動車業界の最前線を語ります。
■□ハイライト □■
インターネット不在地からの脱却とSDVの衝撃: 長らく「インターネット不在地」と言われた自動車が、4G/LTEの普及により常時接続へと変化しました 。中国市場でのEV普及が加速させた「ソフトウェア定義(SDV)」の流れと、AIエージェントや車内カラオケといった新たなユーザー体験の事例を紹介します 。
サイバー攻撃のリスクと自動車業界の安全意識: 自動車のハッキングリスクは、単なる盗難だけでなく、偽情報による渋滞誘発や暴走といったテロリズムの脅威も含んでいます 。人命を預かる産業として極めて高い安全意識を持つ自動車メーカーが、いかにしてサイバー空間の脅威と向き合っているかを解説します 。
サプライヤーの変革とブラックベリーの復権: ボッシュやコンチネンタルといったメガサプライヤーが、AI人材の確保やソフトウェア企業買収を通じてテック企業へと変貌しています 。また、かつてのスマホメーカー「ブラックベリー」が、高いセキュリティ技術を武器に、車載OSとミドルウェアの分野で不可欠な存在となっている現状に迫ります 。
半導体と製造物責任の行方: SDV化に伴い、重要となる半導体はパワー系から演算処理を行うSoCへとシフトしています 。複雑化するサプライチェーンの中で、ソフトウェアの不具合やサイバー攻撃に対する責任の所在(製造物責任法の適用範囲など)をどう整理していくのか、業界が抱える難題を考察します 。
<ゲスト・プロフィール>
川端 由美(かわばた・ゆみ)さん
自動車ジャーナリスト / 戦略コンサルタント
工学修士。住友電工にてエンジニアとして務めた後、二玄社『NAVI』編集記者に転身。内閣官房、内閣府、国交省、警察庁などの有識者委員を歴任。ジャーナリスト活動と並行して、戦略コンサルに勤務した後、再び、戦略イノベーション・スペシャリストとして独立。現在は、ジャーナリストとのパラレル・キャリア。 海外のモーターショーや学会を積極的に取材する国際派。著書に、『日本車は生き残れるか』(講談社、2021年、桑島浩彰氏と共著)がある。日経Think!エキスパートとしても活動。
■□ 収録後記 □■
収録を終え、自動車という「物理的な鉄の塊」と「見えないソフトウェア」が融合する過渡期特有の緊張感を強く感じました。 川端由美さんのお話で特に印象的だったのは、「見えない安全・安心」をどう設計するかという視点です 。従来の自動車産業は、ブレーキやエンジンのように目に見える部品の信頼性を極限まで高めることで安全を担保してきました。しかしSDVの時代には、ユーザーが意識しない裏側で動くクラウドやSaaS、OSのセキュリティが命綱となります。
ブラックベリーがセキュリティ技術を核に自動車産業で復権しているように、産業構造の転換点は新たなプレイヤーの好機でもあります 。一方で、ホストとしてSaaS管理の視点から見ると、車というクリティカルな環境で「何が入っているかわからない」状態を防ぐソフトウェア管理(ホワイトリスト化など)の重要性は、オフィスのIT管理以上にシビアな課題だと痛感しました 。 利便性と引き換えに増大するリスクを、誰が、どのようにコストを負担して守っていくのか。この議論は、自動車業界のみならず、IoT化が進むすべての製造業への問いかけでもあります。
(ホスト:JCGR 川端隆史)
By ジョーシスサイバー地経学研究所自動車が単なる移動手段から「走るスマートフォン」へと進化する中、サイバーセキュリティは私たちの安全にどう関わってくるのでしょうか。インターネット接続が常識となるSDV(Software Defined Vehicle)の時代において、自動車産業はかつてない構造変革の只中にあります。
今回は、自動車ジャーナリストであり、欧州で戦略コンサルタントとしても活躍された川端由美さんをゲスト(実はホストの実姉!)にお招きし、自動車とセキュリティの現在地を深掘り。中国市場が先行するユーザー体験の革命から、ボッシュやブラックベリーといったプレイヤーの劇的な変化、そして「見えない安全」を守るための新たな課題まで、自動車業界の最前線を語ります。
■□ハイライト □■
インターネット不在地からの脱却とSDVの衝撃: 長らく「インターネット不在地」と言われた自動車が、4G/LTEの普及により常時接続へと変化しました 。中国市場でのEV普及が加速させた「ソフトウェア定義(SDV)」の流れと、AIエージェントや車内カラオケといった新たなユーザー体験の事例を紹介します 。
サイバー攻撃のリスクと自動車業界の安全意識: 自動車のハッキングリスクは、単なる盗難だけでなく、偽情報による渋滞誘発や暴走といったテロリズムの脅威も含んでいます 。人命を預かる産業として極めて高い安全意識を持つ自動車メーカーが、いかにしてサイバー空間の脅威と向き合っているかを解説します 。
サプライヤーの変革とブラックベリーの復権: ボッシュやコンチネンタルといったメガサプライヤーが、AI人材の確保やソフトウェア企業買収を通じてテック企業へと変貌しています 。また、かつてのスマホメーカー「ブラックベリー」が、高いセキュリティ技術を武器に、車載OSとミドルウェアの分野で不可欠な存在となっている現状に迫ります 。
半導体と製造物責任の行方: SDV化に伴い、重要となる半導体はパワー系から演算処理を行うSoCへとシフトしています 。複雑化するサプライチェーンの中で、ソフトウェアの不具合やサイバー攻撃に対する責任の所在(製造物責任法の適用範囲など)をどう整理していくのか、業界が抱える難題を考察します 。
<ゲスト・プロフィール>
川端 由美(かわばた・ゆみ)さん
自動車ジャーナリスト / 戦略コンサルタント
工学修士。住友電工にてエンジニアとして務めた後、二玄社『NAVI』編集記者に転身。内閣官房、内閣府、国交省、警察庁などの有識者委員を歴任。ジャーナリスト活動と並行して、戦略コンサルに勤務した後、再び、戦略イノベーション・スペシャリストとして独立。現在は、ジャーナリストとのパラレル・キャリア。 海外のモーターショーや学会を積極的に取材する国際派。著書に、『日本車は生き残れるか』(講談社、2021年、桑島浩彰氏と共著)がある。日経Think!エキスパートとしても活動。
■□ 収録後記 □■
収録を終え、自動車という「物理的な鉄の塊」と「見えないソフトウェア」が融合する過渡期特有の緊張感を強く感じました。 川端由美さんのお話で特に印象的だったのは、「見えない安全・安心」をどう設計するかという視点です 。従来の自動車産業は、ブレーキやエンジンのように目に見える部品の信頼性を極限まで高めることで安全を担保してきました。しかしSDVの時代には、ユーザーが意識しない裏側で動くクラウドやSaaS、OSのセキュリティが命綱となります。
ブラックベリーがセキュリティ技術を核に自動車産業で復権しているように、産業構造の転換点は新たなプレイヤーの好機でもあります 。一方で、ホストとしてSaaS管理の視点から見ると、車というクリティカルな環境で「何が入っているかわからない」状態を防ぐソフトウェア管理(ホワイトリスト化など)の重要性は、オフィスのIT管理以上にシビアな課題だと痛感しました 。 利便性と引き換えに増大するリスクを、誰が、どのようにコストを負担して守っていくのか。この議論は、自動車業界のみならず、IoT化が進むすべての製造業への問いかけでもあります。
(ホスト:JCGR 川端隆史)