朗読少年

金のなる木


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金のなる木
昔々ある山あいの小さな村に、太郎という若い男と次郎と言う男がそれぞれとなりどうしで一人暮らしをしておりました
太郎はすっかり働き者で朝から働き者で朝から晩までせっせと山へ行って芝を刈ったり畑を耕したり
海へ行って魚を釣ったりしておりました
次郎に関してはあまり動き回るのが好きではないらしく朝から晩まで家の中でボーッとしたり、たまに山へ行って虫や小鳥たちをとってきてはぶらっと遊んだりしておりました
そんな太郎と次郎の村に一週間ほどしばらく長い雨が続いて、真っ黒な雲が空を覆っておりましたところ
その黒い黒い雲の上に雷様がドンドコドンドコ太鼓を叩いておりました
雷様がドドーンと太鼓を叩くとピカピカドーン
雷が一つすごく光っているのでした
この雷様は力強くて恐い神さまでしたけども、心は大変優しい人でした
ただちょっと、うっかりもので雷様がなんとかこの雷は人が住んでる家や畑や動物が寝ている木の上に落とさないように
できるだけ海の上や村から遠く離れた山まんかにピカピカドーンピカピカドーンと太鼓を鳴らしながら落としているのでした
ただこのウッカリ者の雷様はある時、ドコドコドーンドンドンドーン
その日の1番大きな音で太鼓を叩いて大きな大きな雷を落としたところ、なんとうっかりして太郎と次郎の屋根の上に落としてしまいました
あれ〜
瞬く間に太郎と次郎隣り合わせの村家二軒があっという間に燃え上がって、家も囲炉裏も何もかも全てが灰になってしまいました
太郎の家も次郎の家も柱と布切一枚残っているだけで何とかその晩の雨をしのいでなんとか寝ることができました
さすがの雷様もありゃー、悪いことをしてしまったもんじゃ
よし、太郎よ次郎よちょっと待っといてくれ
太郎と次郎は家も何もかも持つものがなくなったけどもまぁそのうち何とかなるだろうとその晩はゆっくりいびきをかいて寝ておりました
するとフクロウもこっくりこっくりする夜中の真ん中のそんな時間にまず太郎の枕元に雷様が立って1つ種を寝ている太郎の枕元に置いておきました
そして太郎の一言話ました
太郎やこれは金のなる木の種じゃ、朝起きるとな家の前の畑にこの種を一粒うえてそしてその日から朝昼晩と毎日毎日水をやるのじゃ365日毎日水をやるとな、この種は大きな金のなる木となってお前さんのおうちもくわも籠も畑も
全部この金ですぐ買えるもんだから、必ず忘れずに朝昼晩と水をやるんじゃぞ
そういうと雷様は今度は次郎の枕元に立って同じことを言いました
太郎も次郎も朝起きると枕元に1粒の種があるので
なんじゃろの?あれはほんとのことかいの?
半信半疑で太郎も次郎も自分の家の前の畑に種を植えることにしました
働き者の太郎はその日から朝昼晩と水をやっていたけども次郎のほうはなかなかそうはいかずに1週間ほど雷様の言う通りに水をやっていたけどもな
とうとうそれもめんどくさくなって、水をやるのもやめてしもうたんじゃ
しばらくするとな
太郎も次郎の畑にも次郎ちっちゃなちっちゃなひとつの芽が生えてきて半年もすると太郎と次郎の背丈ぐらいある木になったんじゃ
毎日 朝昼晩とな水をやっている太郎に村の子供たちや裏山のちっちゃな動物、たぬきや猪そして熊なんかもやってきて
太郎どん、何やってるんじゃ
太郎さん太郎さんまいみ水をやってるそうじゃなぁ
面白そうなんでワシも手伝わせてくれや
子供達も動物達も手伝ったりする様になったんじゃな
一方次郎は何にもしなかったから木は元気になっていたけども
子供達も山の動物達もなかなか声をかけずにいたもんじゃ
そしてとうとう365日経った日の朝、次郎の家の前には立派な金のなる木が1本
その木にはには大判小判がびっくりするほどなっていたもんでな
それを見て次郎はありゃー、ワシは途中から水をあげてなかったけども雷様はワシにこんけのお金をさずけてくれたんじゃの、そして毎年この日が来ると金がなるんじゃのう
そういってせっせとその木の大判小判を摘んで街へ買い物に出かけました
一方働き者の太郎の家の前の木は、大判小判ではなくてイガイガの栗の実がたくさんなっていたんじゃ
それを見た太郎は
ありゃ?金のなる木と雷様が言っていたが栗がなったんじゃのう
いやま、栗でも十分ありがたい
早速とって手伝ってくれた子供たちと、裏山の動物たちに栗でも焼いて食べてもらおう
そう言って大きな籠で栗を摘み始めました
それを見ていて、おかしいなぁ…とつぶやいたのは雲の上の雷様です
太郎の家にはなんで栗しかならんのじゃ
そうつぶやきながら左手の指と指の間を見てみると、なんとまぁ金のなる木がひと粒手にくっついてるじゃないか
びっくりした雷様は、ありゃこれは1年前に太郎にあげるはずの金のなる木の種じゃ
と言う事はワシは、金のなる木の種と栗の木の種を間違えて太郎に渡したもんじゃな
そうです。あの時雷様は太郎に間違えて金のなる木の種の代わりに栗の木の種を渡してしまいました
しかしまぁ1年も経ってしまったので今更太郎に金のなる木の種を渡すこともできず雷様はそそくさと遠くの山の雲の上行ってしまいました
栗をたくさんとった太郎は子供たちや裏山の動物たちとたくさん栗を食べて楽しんでおりましたが
村の爺様や婆様、そしてお父さんお母さんも「いい栗じゃのう、ワシにもひとつおくれ」と言いながら
毎日毎日太郎の家にやってくるもんですから太郎も大変人気が出てきました
そして爺様や婆様ははあまりにおいしい栗だったのでもらいに来るたんびに畑でとれたイモや米、港でとれた魚など持ってきては太郎にあげて
裏山の動物たちも力仕事なんかがいる時は太郎の手伝いをするもんでした
そうやって人の流れがたくさんあり、毎日毎日作物いっぱいもらうもんだから
太郎の家はゆっくりゆっくり栄えていきました
一方で金のたくさんたくさんなった次郎の家は最初のほうは街の庄屋や若旦那
そしていろんな国から商売人が来て豪華な反物やきらきら光る器なんかを持ってきては次郎に売り付けて
人も賑わっておりましたが、なんとその次の年次郎の金のなる木は真っ黒に枯れてしまいました
ずーっと水もやらなかった次郎の金のなる木は
一度だけ頑張ってお金を実らせたけども
次の年にはとうとう死んでしまったのです
そうすると街の若旦那やいろんな国からの商売人はピターっと来なくなって
次郎は毎日朝から晩までひとりでぼーっとするようになりました
それから毎日次郎は枯れた金のなる木に向かって
来年こそは実ってくれやの
そう言って何年も何年もつぶやいているのでした
となりの太郎の栗の木はと言うと、大きく大きく毎年実はたくさんならせてひっきりなしにやってくる村の人たちが持ってきたいろんなものも家に積み上がってそして山から手伝いに来る動物達のおかげで
畑の作物もいっぱい実って、金は無かったけども仲間もたくさん出来て
ずっと豊かに暮らしました
この話はこれでおしまい
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