小山ナザレン教会

境界線を乗り越える友(稲葉基嗣) ー ルツ 1:1−22


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2023年 11月 5日 三位一体第22主日
説教題:境界線を乗り越える友
聖書:ルツ記 1:1−22、ガラテヤの信徒への手紙 3:26−28、ヨハネによる福音書 14:5−6、詩編 32
説教者:稲葉基嗣
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【説教要旨】
異文化の中で暮らすナオミを襲った悲劇は、彼女の夫と息子たちの死です。男性優位の社会において、この当時の女性たちが生き延びる手段は、結婚することであり、自分の息子に助けてもらうことでした。けれども、夫も息子たちも亡くしたナオミにとって、頼る当てはありませんでした。
ナオミの状況は絶望的でしたが、彼女はモアブの野で噂を聞きました。神がイスラエルの民を顧みて、食べ物を与えてくださっている、と(6節)。故郷に戻れば、生きていく手段が見つかるかもしれない。そんな望みを抱いて、ナオミは旅立つことにしました。
ベツレヘムへ戻る上で問題となったのは、義理の娘たち、オルパとルツでした。モアブ人に対して良い印象を抱いていないイスラエルの社会に彼女たちを連れて行くなど、現実的に無理な話です。説得の末、オルパと別れることはできましたが、ルツは離れませんでした。ナオミはやむを得ず、ルツと一緒にベツレヘムへと旅立ちます。
10年ぶりの故郷ベツレヘムへの到着はどのようなものだったでしょうか。ベツレヘムの町に住む女性たちが騒ぎ立ちながらも、喜んで彼女を歓迎している様子が描かれています。一見、事態は好転しているように思えます。ベツレヘムに食料はあります。ナオミを歓迎してくれるコミュニティがあります。でも、ナオミは失望し、絶望で打ちひしがれています。彼女は自分の苦しみは不当なものだと感じ、神に訴え、抗議し続けています。
そんなナオミと一緒に居続けることを選んだのがルツという女性でした。モアブ人であるルツは、ベツレヘムの人びとから敵視されていた外国人です。人びとの無理解や偏見がルツを襲ったことでしょう。自分の生活を優先し、ナオミと別れてモアブに残れば、もっと快適に暮らす生活が待っていたかもしれません。けれど、ルツはナオミのいる場所へ共に行くために、境界線を越える決意をし、そこで受ける傷を引き受けようとしました。
ルツの生き様は、わたしたちが無意識のうちに引いてしまう境界線を越えてわたしたちが誰かと出会える可能性を伝えているかのようです。苦しみ、失望しているナオミに対して、ルツが境界線を越え、ナオミに寄り添い、共に歩もうとしたように、苦しむ誰かのために境界線を越えていくことが出来る。そんな生き方があることをルツはわたしたちに教えてくれます。
イエスさまもまた、苦しむ誰かに寄り添うために、境界線を越えようとしました。あらゆる境界線を越えて、イエスさまはすべての人のもとに訪れ、わたしたちの生涯のあらゆる時に、わたしたちと共にいてくださる方です。この事実は、わたしたちにとって大きな慰めです。
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