YMCAトーク

【キャンプディレクターラジオ#01】キャンプディレクター目線の映画批評〜仲間とは?掟とは?ガヤに生きる「セデック・バレ(2019)」


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日本統治下の台湾で起きた原住民族・セデック族による抗日暴動「霧社事件」を描く台湾の歴史超大作。

http://www.u-picc.com/seediqbale/

祖先から受け継いできた「豊かな狩場」のために戦うことを誇りとし、

真のセデック人=セデック・バレになって、死後には「虹の橋」を渡って「尽きることのない豊かな狩場」にいくという「ガヤ(掟)」のために生きる人々を描いている。

男は狩場で狩をし、女は男にパワーを与える。自然と一体となり、祖先をすぐ近くに感じる。

大規模定住により忘れ去られた「人間らしさ」が、狩猟採集生活の丁寧な描写の中に感じることができる。

キャンプ場では、国内では多くて150名くらいの人々が共に生活する。

ダンバー数では、人間が仲間になれる人数は150名が限度だとされている。

キャンプディレクターという、キャンプを指揮する立場にある私たちは、

この映画から、「仲間」と何か?をリアルに感じ取ることができる。セデック族のような生活こそしていないものの、動物と接近する感覚、自然(や人)に対して抱く緊張感、仲間を感じる(感じない)瞬間を想像できるからだ。

またなぜ「ガヤ(掟)」が大切なのか?

仲間のためにだけ生きているセデック族には、文章に書かれた(言葉で表された)法律や憲法(成文憲法)はない。
彼らにとってそれは「ガヤ(掟)」なのだ。
幼い頃から長老の話を聞き、一緒に狩に出かけ、獲物を狩る。
女たちは村にいて、男のために衣服を編み、男の顔に刺青を掘る。
「共にいる」ことで「ガヤ(掟)」継承される。

これは私たちに、とても大切なことを教えてくれる。

「法律を守らなければ生きていけいない人間など、もはや人間ではないのである」

日本軍がセデック族の伝統を破壊したことは言うまでもなく、

史実について理解することも含めて、セデック・バレはぜひ観て欲しい映画だ。

キャンプディレクターの阪田晃一、山本亮司、そうちゃんで議論した。

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YMCAトークBy Kobe YMCA Camping Service