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弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツ(Andrew Sheets)が、利下げに対するFRBのアプローチ、季節的なトレンドおよび米大統領選挙に着目し、クレジットの将来にとって来月が極めて重要な機会である理由をご説明いたします。
このエピソードを英語で聴く。
----- トランスクリプト -----
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
このエピソードは9月12日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
今年、弊社は資産クラスとしてのコーポレート・クレジットに注目しており、今後6-12ヵ月の見通しは引き続き有望と考えています。より広い視野で見ると、クレジットには緩和が適合すると言う点で、緩やかな経済成長、穏やかなインフレ、米国および欧州の金融政策の緩和は、引き続き弊社エコノミストの予想通りになっています。その一方で、ミクロのレベルでは企業のバランスシートは健全で、債券に対する旺盛な需要が持続しており、こうした動向は急激には変わらないと弊社は考えています。
しかし、こうしたクレジットの良好なストーリーは、極めて重要な時期に直面しています。最近このポッドキャストで検討したように、FRBは、金利を引き下げるべきであると示唆する要因が増えているにもかかわらず、高い水準に金利を据え置き、金融政策でリスクを取っています。米国のインフレ率は急速に沈静し、市場は現在、向こう2年間のインフレ率がFRBの目標を下回ると考えています。労働市場は減速しており、国債市場は現在、FRBがはるかに大幅に政策を調整する必要があると想定しています。
したがって、これは競争になっています。経済指標が今後数ヵ月間持ち堪えられれば、FRBが段階的な利下げの最初の一歩を踏み出す一方で、金融政策は妥当かつ経済の基調に沿っていると再確認する助けになるでしょう。しかし、今後、経済指標がさらに悪化すると、市場は下振れしやすくなっています。金融政策の作用は遅れて表われるので、利下げが直ちに助けになる訳ではありません。このため市場にとっては、経済成長が過度に減速しており、利下げしても手遅れだろうと心配する方が容易になります。
第2の喫緊の課題は、いわゆる季節要因です。ほぼ1世紀近い間、9月は他の月よりも大幅に低調なパフォーマンスになっています。季節要因には常に神秘主義的な要素がありますが、例年9月前後に市場が苦戦しがちな具体的な理由として、2つの要因を指摘したいと思います。第1は、夏場に小休止した後、社債発行を含む新規発行が増える傾向がある点です。そして株式に関しては、会社側が通期予想を実績に合わせようとするため、9月に業績予想の下方修正が増えるケースは少なくありません。大量の供給と企業業績の下方修正は、しばしば厳しい組み合わせになります。
この極めて重要な機会のもう一つの要素は、米国大統領選挙が近付いていることです。今回は政策の優先事項が全く異なる候補者の間で、極端な接戦になっている模様です。投資家が金融政策の調整に誤算があったとして神経を尖らせるか、季節要因が足を引っ張るなら、来たる大統領選挙も投資家を尻込みさせる要因になります。
これらすべてが、来月がクレジットにとって極めて重要な機会と弊社が考える理由であり、今年に入ってからこれまでよりも若干、慎重姿勢を強める理由でもあります。ただし同時に、
弱含む局面があっても、一時的なものと考えています。11月初頭までに米国大統領選挙は完了する予定で、経済成長は持ち堪え、インフレ沈静が続き、利下げはかなり進行していると弊社は予想しています。そして、9月は過去の例から見て株式とクレジットにとって良くない月ですが、10月下旬以降は、そうではなく、ストーリーは大きく改善します。目先は軟調になっても、年末にかけて強含むと見られます。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツ(Andrew Sheets)が、利下げに対するFRBのアプローチ、季節的なトレンドおよび米大統領選挙に着目し、クレジットの将来にとって来月が極めて重要な機会である理由をご説明いたします。
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----- トランスクリプト -----
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
このエピソードは9月12日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
今年、弊社は資産クラスとしてのコーポレート・クレジットに注目しており、今後6-12ヵ月の見通しは引き続き有望と考えています。より広い視野で見ると、クレジットには緩和が適合すると言う点で、緩やかな経済成長、穏やかなインフレ、米国および欧州の金融政策の緩和は、引き続き弊社エコノミストの予想通りになっています。その一方で、ミクロのレベルでは企業のバランスシートは健全で、債券に対する旺盛な需要が持続しており、こうした動向は急激には変わらないと弊社は考えています。
しかし、こうしたクレジットの良好なストーリーは、極めて重要な時期に直面しています。最近このポッドキャストで検討したように、FRBは、金利を引き下げるべきであると示唆する要因が増えているにもかかわらず、高い水準に金利を据え置き、金融政策でリスクを取っています。米国のインフレ率は急速に沈静し、市場は現在、向こう2年間のインフレ率がFRBの目標を下回ると考えています。労働市場は減速しており、国債市場は現在、FRBがはるかに大幅に政策を調整する必要があると想定しています。
したがって、これは競争になっています。経済指標が今後数ヵ月間持ち堪えられれば、FRBが段階的な利下げの最初の一歩を踏み出す一方で、金融政策は妥当かつ経済の基調に沿っていると再確認する助けになるでしょう。しかし、今後、経済指標がさらに悪化すると、市場は下振れしやすくなっています。金融政策の作用は遅れて表われるので、利下げが直ちに助けになる訳ではありません。このため市場にとっては、経済成長が過度に減速しており、利下げしても手遅れだろうと心配する方が容易になります。
第2の喫緊の課題は、いわゆる季節要因です。ほぼ1世紀近い間、9月は他の月よりも大幅に低調なパフォーマンスになっています。季節要因には常に神秘主義的な要素がありますが、例年9月前後に市場が苦戦しがちな具体的な理由として、2つの要因を指摘したいと思います。第1は、夏場に小休止した後、社債発行を含む新規発行が増える傾向がある点です。そして株式に関しては、会社側が通期予想を実績に合わせようとするため、9月に業績予想の下方修正が増えるケースは少なくありません。大量の供給と企業業績の下方修正は、しばしば厳しい組み合わせになります。
この極めて重要な機会のもう一つの要素は、米国大統領選挙が近付いていることです。今回は政策の優先事項が全く異なる候補者の間で、極端な接戦になっている模様です。投資家が金融政策の調整に誤算があったとして神経を尖らせるか、季節要因が足を引っ張るなら、来たる大統領選挙も投資家を尻込みさせる要因になります。
これらすべてが、来月がクレジットにとって極めて重要な機会と弊社が考える理由であり、今年に入ってからこれまでよりも若干、慎重姿勢を強める理由でもあります。ただし同時に、
弱含む局面があっても、一時的なものと考えています。11月初頭までに米国大統領選挙は完了する予定で、経済成長は持ち堪え、インフレ沈静が続き、利下げはかなり進行していると弊社は予想しています。そして、9月は過去の例から見て株式とクレジットにとって良くない月ですが、10月下旬以降は、そうではなく、ストーリーは大きく改善します。目先は軟調になっても、年末にかけて強含むと見られます。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。