小山ナザレン教会

ここに居場所がある(稲葉基嗣) ー ルツ 2:1−23


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2023年 11月 12日 三位一体第23主日
説教題:ここに居場所がある
聖書:ルツ記2:1−23、エフェソの信徒への手紙3:20−21、マタイによる福音書6:25−34、詩編147
説教者:稲葉基嗣
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【説教要旨】
ベツレヘムの人びとにとって、ルツは外国人であり、よそ者です。ベツレヘムの人たちから煙たがられ、ときには無視され、軽蔑される存在として、ルツはベツレヘムの町で目立っていました。ベツレヘムは、ルツにとってあまり居心地の良い場所ではありませんでした。
ある日、ルツはひとりで畑に出て行こうとします。モアブ人であるルツにとって、ひとりで畑に出かけることは危険が伴いました。ベツレヘムの人びとから嫌がらせを受ける可能性があったでしょう。けれど、ナオミはそのようなことには一切触れず、ルツを畑へと送り出しています。ルツが、彼女の置かれているその現実を身をもって知り、モアブに戻る決断をするきっかけとなると考えたのかもしれません。
ルツはどうなったでしょうか?ベツレヘムの人びとの外国人差別を知ってひどく失望し、大した収穫も得られずに、手ぶらでナオミのもとに帰ってきたのでしょうか?夕方になり、ルツが帰ってきた時、ナオミは驚きました。ルツは手ぶらではありませんでした。その上、モアブ人であるために嫌がらせを受けるどころか、畑の所有者からとてもよくしてもらった経験を彼女はナオミに話し始めます。
この出来事はルツにとって、神の導きのみによるものではありませんでした。畑の所有者であるボアズの温かな配慮に触れた経験があったからこそ、この出来事を神の導きとして受け取ることが出来ました。一見、ボアズの畑で、何事もなく安全に過ごしたように見えるルツですが、実は、彼女は危険と隣り合わせでこの畑にいたことが想像できます。「私は僕たちに、あなたの邪魔をしないように命じておきます」(2:9)というボアズの言葉が、そんなルツを守りました。ボアズは言葉だけではなく(2:12)、彼女に神の守りが実際に行く届くように、彼にできる具体的な行動をしています(2:15−16)。彼は自分の畑で働く人たちに、ルツに危害を加えないように何度も伝えます。そうやって、ボアズはルツのために環境を整え、安全な場所を作っていきました。そして、彼女はこの畑で築かれている共同体の中へと、招かれていきました。
わたしたちが暮らす世界は、力のない人たちから、居場所を奪う世界です。ルツ記がわたしたちに語りかける世界に、耳を傾け、目を注ぎ続けるとき、わたしたちはこの世界の原理とは、違う原理が働く世界があることを知らされます。それは、排除するのではなく、招き入れる世界です。居場所を奪うのではなく、居場所を与え、居場所を作り出していく世界です。何よりも、「ここに、わたしのもとに、あなたの居場所があるよ」と、イエスさまはわたしたちに語りかけてくださっています。
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