渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

龍と詩人


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📖『龍と詩人』朗読 – 洞穴に封じられた龍と若き詩人の魂の邂逅🐉📜

深い洞穴の中で潮の満ち干きとともに身をうねらせる龍のチャーナタ。朝日が水底の岩の凹凸を浮かび上がらせ、赤や白の海の生き物たちを美しく照らし出します。幾千由旬の海を自由に漕ぎ、清らかな空を翔ける力を持ちながら、龍は呪いによってこの洞穴から出ることができません。「聖龍王よ、わたしの罪を許し、わたくしの呪をお解きください」──龍が嘆く声が洞穴に響く中、外から若々しい人の声が聞こえてきます。

瓔珞で身を飾り、黄金の太刀を佩いた立派な青年スールダッタ。彼は前日の詩賦の競いの会で歌い、みんなから大変褒められました。最も偉大な詩人アルタからも称賛を受け、アルタは自らの座を譲り、草蔓の冠をスールダッタに被せ、賞賛の偈を歌った後、遠く東の雪山の麓へと去っていったのです。花の雨に埋もれ、人々の賞賛に酔いしれながら家路についたスールダッタでしたが、夜更けに不思議な囁き声を耳にします。「若者のスールダッタは、洞に封ぜられているチャーナタ老龍の歌を盗み聞いて、それを競いの会で歌い、古い詩人のアルタを東の国に去らせた」──この言葉に足が震え、一夜を草原で悶え苦しんだスールダッタは、ついに龍のもとを訪れることを決意します。

岬の上で毎日座り、歌い、考えては眠る日々の中で、雲暗い風の日の昼間のまどろみに聞いたような気がするあの美しい歌。それが洞穴の龍の歌だったのではないかという疑念に苛まれたスールダッタは、灰をかぶって街の広場で謝罪することも覚悟していました。しかし龍チャーナタが語った言葉は、スールダッタの予想を遥かに超えるものでした。

果たして龍チャーナタは、この若き詩人の訴えにどのような答えを返すのでしょうか。千年の昔、風と雲を得たときに自らの力を試すために人々に不幸をもたらしたため、龍王によって十万年この洞穴に封じられているという龍の口から語られる言葉とは。そして罪悪感に苛まれるスールダッタの運命は——。

朝の光が洞穴を照らし、青い水面が揺らめく中で交わされる、時を超えた魂の対話。詩とは何か、創造とは何か、そして人と自然、過去と現在が織りなす不思議な邂逅の物語が、静寂な海辺で静かに展開されていきます。

美しい韻律と深い哲学的思索に彩られた、宮沢賢治独特の幻想世界。時を超えた魂の対話と、芸術創造の神秘を描いたこの珠玉の物語を、朗読の響きとともに心ゆくまでお楽しみください。

📌 ※本作には部分的に不明な文字があり、その部分は朗読にも含まれておりません。


#心象スケッチ #芸術

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渡部龍朗の宮沢賢治朗読集By 渡部製作所