
Sign up to save your podcasts
Or


小雨の朝、Kの一棟目のハウスで中島は録音を始めた。鎌を手に作物の脇の草を刈ったところだ。一時間後には取材が来る。それだけの理由で、畑は少しだけ人に見せる顔をする。しかし人が数えようとしなければ気づかなかった数字がある——枝物を除いてなお九十種。中島自身、七十のつもりでいた畑だった。
雨が弱まるにつれ、体は自然と動き出し、気分は一から二を経て三へと上がっていく。植物と同じように、人もまた環境に応じて姿勢を変えるのだと、この朝は静かに教えている。
草に負けたAの畑、そこから生き残った株だけを掘り上げて作った新しい場所へ。量は去年に及ばないが、来年への期待はすでに芽吹いている。畑はきれいに管理されているというより、草より花のほうが元気に生きられる場所のように管理している。中島はそれを、ナチュラルガーデンと呼んだ。
By ハナボウズ小雨の朝、Kの一棟目のハウスで中島は録音を始めた。鎌を手に作物の脇の草を刈ったところだ。一時間後には取材が来る。それだけの理由で、畑は少しだけ人に見せる顔をする。しかし人が数えようとしなければ気づかなかった数字がある——枝物を除いてなお九十種。中島自身、七十のつもりでいた畑だった。
雨が弱まるにつれ、体は自然と動き出し、気分は一から二を経て三へと上がっていく。植物と同じように、人もまた環境に応じて姿勢を変えるのだと、この朝は静かに教えている。
草に負けたAの畑、そこから生き残った株だけを掘り上げて作った新しい場所へ。量は去年に及ばないが、来年への期待はすでに芽吹いている。畑はきれいに管理されているというより、草より花のほうが元気に生きられる場所のように管理している。中島はそれを、ナチュラルガーデンと呼んだ。