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📖『なめとこ山の熊』朗読 – 雪と月光の峯々で交わる、命と命🐻❄️
静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『なめとこ山の熊』。
なめとこ山は霧と雲を吸ったり吐いたりする大きな山。熊の胆で名高いこの山で、熊撃りの名人・淵沢小十郎は、犬を連れて谷を渉り、峯を越えて歩きます。実は、なめとこ山の熊どもは小十郎のことが好きでした。木の上から、崖の上から、おもしろそうに小十郎を見送っています。けれども、小十郎が鉄砲を構えるときは別でした。小十郎は熊を撃つたび、こう語りかけます。「おれも商売ならてめえも射たなけぁならねえ」「てめえも熊に生れたが因果ならおれもこんな商売が因果だ」と。
ある春の夕暮れ、小十郎は月光の中で母熊と子熊に出会います。二疋は向うの谷の白いものを見つめて語り合っています。「雪だよ」「雪でないよ」「霜だねえ」——やがて母熊が気づきます。「あれねえ、ひきざくらの花」。小十郎は音を立てないようにこっそりと戻っていきます。またある夏、樹の上の熊は小十郎に向かって叫びます。「もう二年ばかり待ってくれ」と。そして約束の二年目、その熊は小十郎の家の垣根の下で倒れていました。
山では名人と呼ばれる小十郎も、町では荒物屋の主人の前で叮寧に頭を下げ、安い値で毛皮を買い叩かれます。豪気な山の主と、みじめな町での姿。殺す者と殺される者、それでもどこか通い合っている小十郎と熊たち。月光、雪、ひきざくらの花——自然の中で繰り広げられる命のやりとり。
淵沢川の水音と、白い雪の峯々。なめとこ山を舞台に紡がれる、小十郎と熊たちの物語を、朗読でじっくりとお楽しみください。
#怒り #人と動物 #月
By 渡部製作所📖『なめとこ山の熊』朗読 – 雪と月光の峯々で交わる、命と命🐻❄️
静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『なめとこ山の熊』。
なめとこ山は霧と雲を吸ったり吐いたりする大きな山。熊の胆で名高いこの山で、熊撃りの名人・淵沢小十郎は、犬を連れて谷を渉り、峯を越えて歩きます。実は、なめとこ山の熊どもは小十郎のことが好きでした。木の上から、崖の上から、おもしろそうに小十郎を見送っています。けれども、小十郎が鉄砲を構えるときは別でした。小十郎は熊を撃つたび、こう語りかけます。「おれも商売ならてめえも射たなけぁならねえ」「てめえも熊に生れたが因果ならおれもこんな商売が因果だ」と。
ある春の夕暮れ、小十郎は月光の中で母熊と子熊に出会います。二疋は向うの谷の白いものを見つめて語り合っています。「雪だよ」「雪でないよ」「霜だねえ」——やがて母熊が気づきます。「あれねえ、ひきざくらの花」。小十郎は音を立てないようにこっそりと戻っていきます。またある夏、樹の上の熊は小十郎に向かって叫びます。「もう二年ばかり待ってくれ」と。そして約束の二年目、その熊は小十郎の家の垣根の下で倒れていました。
山では名人と呼ばれる小十郎も、町では荒物屋の主人の前で叮寧に頭を下げ、安い値で毛皮を買い叩かれます。豪気な山の主と、みじめな町での姿。殺す者と殺される者、それでもどこか通い合っている小十郎と熊たち。月光、雪、ひきざくらの花——自然の中で繰り広げられる命のやりとり。
淵沢川の水音と、白い雪の峯々。なめとこ山を舞台に紡がれる、小十郎と熊たちの物語を、朗読でじっくりとお楽しみください。
#怒り #人と動物 #月