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終戦80年──「核武装論」がSNSで呼び起こした議論と2つの現実
原爆投下から80年の節目を迎えた今年、熊本市の大西一史市長がSNSに投稿した一言が、日本社会に大きな波紋を広げました。核兵器をめぐる賛否両論、そしてその先に見えてきた“2つの現実”についてお伝えします。
🔶発端は1つのSNS投稿です
今年7月8日、アメリカのトランプ前大統領が原爆投下を正当化する発言を行いました。これに対し、大西市長はX(旧Twitter)で
「核兵器をなくすことは、政治家としても人間としても、私たちの責務だと強く思っています」
と投稿しました。
この投稿は28万5千回以上閲覧され、多くの賛同と同時に反対意見も巻き起こしました。
賛同派は「日本こそ核廃絶を訴えるべきだ」とし、反対派は「時代が変わった今、日本も核武装して国を守るべきだ」と主張しました。
🔶再びの発信、そして拡大する反響です
大西市長は7月21日、「あらためて言わせてもらって、よかですか?」という言葉で始まる投稿を行いました。
そこでは、
「日本が核兵器を持つことは、法的にも現実的にも人道的にもできません」
「核に頼らない世界を実現することこそ、日本に求められる本当の強さです」
と明確に表明しました。
この2度目の投稿は848万回以上閲覧され、「いいね」は9万5千件、リツイートは2万8千件に達しました。
現職の政治家がSNS上でここまで強い立場を公にすることは珍しく、反響の大きさを物語っています。
🔶現職政治家の発信が持つ意味です
ライブ配信ディレクターの斉場俊之さんは、この発言について
「市長という肩書きだけでなく、一人の政治家として譲れない思いを示した。政治家が自らの言葉で立場を明確にすることは、SNS時代において非常に意義がある」
と語ります。
現職の政治家は支持層や立場への配慮から、賛否を分けるテーマへの発言を避けがちです。しかし今回、大西市長はその“踏み込まなさ”の壁を越えました。
🔶賛否を分けた「2つの現実」です
斉場さんは、大西市長の発信によって2つの現実が可視化されたと指摘します。
「誰も核兵器を“良いもの”とは思っていない。なくせるならなくしたい。ただし世界情勢の中で『持たなければ守れない』という意識も根強いです」と斉場さんは話します。
🔶避けて通れない議論です
核兵器をめぐる議論は、平和な日常の中では意識されにくいものです。しかし、現実的な安全保障を考えれば避けて通れないテーマです。
「重要なのは、この議論が分断を生まないことです。互いを否定し合うのではなく、異なる立場からより良い答えを探ることが大切です」と斉場さんは強調します。
🔶SNSが議論の場になる時代です
SNSは時に“石の投げ合い”の場になりますが、それでも多様な意見を交わす貴重な空間です。スマートフォン1つで誰もが平和について語り合える場でもあります。
「小さな声でも集まれば大きな力になります。自由で多様な意見交換の中から、未来に向けた新しい答えを見つけていきたいです」と斉場さんは語ります。
出演:ライブ配信ディレクター 斉場俊之
聞き手:RKKアナウンサー 後生川凜
終戦80年の夏に観る、心を揺さぶる3本の話題作
🔷 若き命が見た“地獄”──『長崎 ~閃光の影で~』
2025年の今年、終戦から80年を迎える8月に、戦争の記憶を呼び起こす1本の映画が公開されました。
『長崎 ~閃光の影で~』(8月1日公開)は、原爆投下直後の長崎で、負傷者の救援に奔走した3人の看護学生の手記をもとに描かれた実話ベースの作品です。
爆心地にほど近い町で、それぞれの家族の安否もわからぬまま、命の現場で懸命に働いた10代の少女たち。助けられる命と、救えなかった命のはざまで葛藤し、泣きながらも成長していく姿が丁寧に描かれています。
主演は若手実力派女優・菊池日菜子。彼女のインタビューでは、鋭い思考力と深い感受性が光っており、23歳とは思えない成熟した言葉に驚かされました。演技にもその深みが感じられます。
監督は長崎出身の松本准平。自身の故郷への想いと、世代を越えて語り継がれるべき記憶を、映像として見事に再現しています。
▶︎公式サイトはこちら👉 https://nagasaki-senkou-movie.jp/
🔷 空港の密室で試される“ふたり”の真実──『入国審査』
同じく8月1日に公開された『入国審査』は、心理的な緊迫感が支配するサスペンス映画です。舞台はトランプ政権下のアメリカ。スペインから移住を試みた若いカップルが、ニューヨークの空港で思わぬ事態に直面します。
入国審査の場で突如、別室に連れて行かれた2人。そこで待ち受けていたのは、次々とプライバシーに踏み込む質問の嵐。やがて、互いに隠していた事実や本音が浮かび上がり、2人の関係性が静かに揺らいでいきます。
上映時間はわずか77分。にもかかわらず、詰め込まれた内容の密度と心理描写の鋭さには圧倒されるほどです。実際に監督自身が入国審査で経験した理不尽さをもとにした作品ということで、そのリアリティにも注目が集まっています。
▶︎公式サイトはこちら👉 https://movies.shochiku.co.jp/uponentry/
🔷 恐竜、再び。陸・海・空で繰り広げられる壮大な冒険──『ジュラシックワールド/復活の大地』
この夏、親子で楽しめる超大作として注目されているのが、『ジュラシックワールド/復活の大地』(8月8日公開)です。シリーズ通算7作目にあたる本作は、原点回帰ともいえる展開が魅力。
舞台は初代『ジュラシックパーク』の島。心臓病の新薬開発に必要な恐竜のDNAを採取するという極秘ミッションを背負った女性工作員と科学者たちが、未知の恐竜世界に挑みます。
注目は、陸・海・空すべての環境に生息する三大恐竜たち。特にオープニングの海中シーンは、スティーヴン・スピルバーグ監督による第1作を彷彿とさせる臨場感で、映画ファンにはたまらない演出です。
主演のスカーレット・ヨハンソンが銃を構え、恐竜に立ち向かう姿も印象的。女性ヒーローの時代を象徴するようなカッコよさが、スクリーンで鮮やかに映えます。
▶︎公式サイトはこちら👉 https://www.jurassicworld.jp/
🔶 この夏、映画館で“記憶”と“冒険”に出会う
戦争の悲劇を見つめ直す作品、現代社会を鋭く切り取るサスペンス、そしてド迫力のアドベンチャー。ジャンルは異なれど、心に残る作品が揃った8月の映画館。
暑さを忘れて没入できる珠玉の3本。ぜひ、涼しい映画館でご体感ください。
🎤 解説:上妻祥浩 🎙 聞き手:江上浩子
🔶静かに成立した“重大法案”
通常国会の終盤、日本学術会議を特殊法人に移行する法律が2025年6月11日に成立した。自民党・公明党・日本維新の会の賛成多数によって可決されたこの法案は、2026年10月の施行をもって、戦後75年近く「国の機関」として存在してきた学術会議の在り方を大きく変える。
一方でこの法改正に関するメディアの扱いは限定的であり、多くの国民がその本質に触れる機会を持たないまま、重要な節目が通過していった。
🔶 端緒は“6人任命拒否”問題
この問題の発端は2020年、当時の菅義偉首相が日本学術会議の会員候補105人のうち、6人の任命を拒否したことに遡る。従来の政府見解では、学術会議から提出された候補者は"形式的に"首相が任命するのが慣例とされてきた。
菅首相は「総合的・俯瞰的観点から」とのみ説明し、それ以上の理由は明かさなかった。この曖昧さが「学問の自由の侵害」として多くの学者・市民の批判を呼んだ。
「理由を言わないことが最大の問題。説明責任を放棄することで、学者に“忖度”を促すような空気が生まれてしまう」――と、宮脇利充さんは警鐘を鳴らす。
🔶恐怖による支配構造と“政治忖度”の懸念
理由なき拒否は、政府にとって都合の悪い学者を排除する“サイン”にもなり得る。中国での事例(企業関係者がスパイ罪で拘束され、その根拠が不透明なまま重罰を受けるケース)を引き合いに、宮脇さんは「恐怖による自己規制が広がる構図は、民主主義にとって非常に危険だ」と指摘する。
「このままでは、学問の独立性が損なわれ、政権の顔色を伺う研究者が増えてしまう可能性すらある」
🔶日本学術会議の本来の役割とは
学術会議は1949年、第二次世界大戦で科学が軍事に利用された反省から誕生した。「軍事研究は行わない」という立場を堅持しつつ、政府に対して科学的知見から勧告や提言を行う、独立性の高い組織として存在してきた。
「学者の役目は政府の下請けではない。人類全体の幸福のために、真理を追求し続けること」――宮脇さんの言葉は、学術会議が果たしてきた歴史的背景を物語る。
🔶法改正の“実質的な中身”とは?
今回の法改正では、以下の変更点が含まれている:
会員数の拡大(210人 → 250人)
任命主体の移行(首相から会議へ)
勧告権の維持
財政支援の継続
一見、自由度が増したかのように見えるが、実態は異なる。新たに加わる“外部識者”による選考介入、首相による監事と評価委員の任命など、政府による影響力の強化が進む。
「外から見ると良い改革のように見えるが、中身を見れば“支配構造の強化”ともとれる内容。これが将来的に学問の自由を脅かさないかどうか、慎重な監視が必要だ」
🔶アカデミズムと政治の距離感
学術・科学・メディアへの圧力は、海外でも見られる。宮脇さんは「アメリカのトランプ政権を例にとっても、まず最初に攻撃されるのはメディアと学問だった」と話す。
「科学的知見が権力にとって“不都合な真実”であるとき、それを封じ込めようとする力が働く。それは民主主義社会の健全性を蝕む第一歩になる」
“自由”の本質は、異なる意見が共存できることにある。
日本学術会議の制度改正が、学問の自由と政治の距離にどのような影響をもたらすのか。いま改めて、私たち一人ひとりがこの問題に目を向けるべき時期に来ている。
聞き手:江上浩子(RKKアナウンサー)
話し手:宮脇利充(元RKKアナウンサー)
熊本市立出水南中学校 校長・田中慎一朗さんが語る、夏休みの本質的な価値
「思ったようにいかないこと」「期待した返事が返ってこないこと」「理由もなくうまく進まないこと」。
こうした“エラー”や“ノイズ”は、できれば避けたいものとして扱われがちだ。
しかし田中慎一朗さんは、「むしろそれこそが人を育てる」と語る。
🔶生成AIが“一番わかってくれる”という時代
近年、生成AI、とりわけChatGPTに代表される対話型AIが、若者の相談相手になっているという。
田中さんによれば、中高生の中には「自分のことを一番わかってくれるのは友達でも親でもなく、スマホの中のChatGPTだ」と感じる生徒が少なくないという。
「音声入力で会話する中で、ChatGPTはユーザーの“好み”や“言葉の傾向”を学びながら、もっとも心地よい返答を返してくれます。ある意味、自分の分身と対話しているようなものです」
AIは否定せず、評価もせず、ただ自分の言葉を“整理して返してくれる”。これは心理カウンセラーが実践する“傾聴”とよく似ているという。だからこそ、生成AIとの対話は心地よく、孤独の癒やしにもなりうる。
🔶 だが、世界は“自分の枠”の外にある
ただし田中さんは、そうした“心地よさ”だけに浸っている危うさにも触れる。
AIとの対話はあくまで自分の枠内に閉じた世界。そこには偶然の出会いや、違和感、不快感といった“摩擦”が存在しない。
「なぜアナウンサーになったのか」「なぜ教員になったのか」と問われたとき、私たちの多くは“偶然の出会い”や“予期せぬ経験”をきっかけに、人生の進路を決めている。
田中さん自身も、かつて「教員なんて絶対なりたくない」と思っていたが、たまたま目にした“夏休みの宿題の表紙の海の写真”がきっかけで、海外の日本人学校で働きたいと思うようになり、教職の道へと進んだのだという。
「きっかけはジグソーパズルのピースのように、何気ない日常に転がっているんです。ノイズやエラーといった思わぬ出来事の中に、人生を変える出会いがあるかもしれない」
🔶 エラーは「成長の素」。ノイズは「飛び出す契機」
人は誰かと関わる中でこそ、違いや不快感に出会い、自分の価値観を揺さぶられる。田中さんはそれを「怒りや悲しみといった感情は、厄介だけれども、その感情があるからこそ新たな行動が生まれる」と表現する。
生成AIとの対話では、そうした感情が起こりにくい。逆に人と人とのリアルな関わりでは、“嫌な気持ち”や“衝突”もつきものだ。しかし、そこからしか得られない発見があるのだ。
「感情的になることを恐れず、違和感を大事にしてほしい。それが新しい自分や価値観との出会いになるはずです」
🔶夏休みこそ、“無駄に挑戦”する時間を
夏休みは、自由な時間が多く、普段はできないことに挑戦できる季節。
田中さんは、「だからこそ、AIの中にとどまるのではなく、あえて“無駄なこと”や“関係なさそうなこと”に飛び込んでみてほしい」と語る。
「トライ&エラーとよく言いますが、エラーを恐れず、“挑戦そのもの”を楽しんでほしい。むしろエラーやノイズこそが、自分の人生を深めてくれる“宝”になる可能性があるのです」
ChatGPTは確かに便利で、自分を理解してくれるように感じる。しかし、自分の世界を広げるのは、いつだって“外側”にある体験なのだ。
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話し手:熊本市立出水南中学校 校長 田中慎一朗
聞き手:江上浩子
ライブ配信ディレクターでラジオパーソナリティの斉場俊之さんが、自他ともに認める「混雑嫌い」の性格を持ちながらも、2025年に開催中の大阪・関西万博を訪問。今回は「混雑が嫌いなサイバーが万博に行ってみた」というテーマで、自身の体験を振り返りながら、万博の魅力や注意点を語った。
🔶 並ばない万博は本当か?実際は…
「並ぶのが大嫌い」と話す斉場さんは、比較的空いているとされる7月の平日を選んで万博会場へ。朝9時の入場を目指し、開場30分前に到着したものの、入場ゲートを通過するまでに約40分、全体で70分ほどの待機時間がかかったという。
「日陰がほとんどないので、帽子と水分は必須」と語るように、炎天下での待機には注意が必要だ。
一方、11時や12時の入場枠では比較的スムーズに入場できる傾向もあるとのこと。
ただし、万博では入場時間帯ごとに入場者が制限されるため、早い時間に入ると比較的空いた状態で会場内を回れるというメリットもある。
事前予約は2ヶ月前と7日前の抽選による2回のチャンスのみで、最大2つのパビリオンしか予約できない。また、当日や3日前からの先着順予約はほとんど埋まっているのが現状だ。
「結局、並ぶことを前提に楽しんだほうがストレスが少ないかもしれません」と斉場さんは率直な感想を述べた。
🔶 「大屋根リング」は圧巻。回り方のコツも伝授
「まず目を引くのが、世界最大級の木造建築とされる『大屋根リング』です」と語る斉場さん。
全長約2キロメートルのリング型構造物は、万博会場の中心を囲み、その上に登れば会場全体を一望できる。
「私はその大きさに圧倒されて全部は回れませんでしたが、建築物としての迫力は本当に圧巻でした」
また、会場は日陰が少ないため、こまめな水分補給と帽子の着用が欠かせない。給水ポイントや自動販売機も設置されているので、活用しながら無理のない行動を心がけたい。
🔶 並ばないコツは「空いているところに入る」
「私は基本的に、行列が少ないパビリオンを見つけたら迷わず入るスタイルでした」と語る斉場さん。
人気施設に固執せず、そのとき空いている場所を優先することで、館内で過ごす時間を最大化し、暑さ対策にもなるという。
特に、聞き慣れない国や中小の国々のパビリオンに足を運ぶことで「こんな国があるんだ」と多くの学びが得られたと語る。また、複数の国が共同出展している「コモンズ館」では、次々と多国の文化に触れられる“プチ世界旅行”のような体験ができたという。
「それぞれのパビリオンに入ると、その国ならではの香りが漂ってくるんです。お香だったり食べ物の香りだったり。五感で楽しめるのが万博の醍醐味です」
🔶「映像だけでは物足りない」というリアルな感想
今回の万博では、多くのパビリオンで映像コンテンツが主軸となっていた印象を受けたという。
「炎天下で並んで、入ってみたら映像を見るだけ。私は映像に関わる仕事をしているからこそ、もっとリアルな体験や本物に触れる仕掛けがあってほしかった」
実際、イタリア館のように本物の美術品が展示されていたり、音楽やダンスなどの“体験”ができる施設には来場者が多く集まっていた。
「みんな目が肥えてるんだと思います。本物やリアルな体験に価値を感じているのがよくわかりました」
🔶 現実と夢が繋がる万博に
企業館では未来的な展示が多く並び、「こんな未来が来るといいな」と思えるような内容もあるが、斉場さんは「夢の提示だけでなく、今の課題とどう繋がるのかを示してほしい」と感じたという。
「交通問題や地域の課題に取り組む立場として、もう少し現実に寄り添った内容があると、未来への説得力が増すのではと思いました」
🔶 地理の教科書を片手に、万博へ
最後に斉場さんは「地理の教科書を読んでから行くと、より楽しめるかもしれません」と締めくくった。万博はまさに“生きた世界地図”。
混雑が苦手という自分の殻を破って飛び込んだことで、多くの新しい発見や学びを得られた今回の体験。読者にとっても、万博の楽しみ方を見つけるヒントとなるはずだ。
🔵ライブ配信ディレクター:斉場俊之さん
🔵聞き手:江上浩子
解説:上妻祥浩(映画解説研究者)/聞き手:江上浩子
🔶 長崎の街を舞台に描く静かな再生の物語
『夏の砂の上』(7月4日公開)
👉 公式サイトはこちら:https://natsunosunanoue-movie.asmik-ace.co.jp/
舞台は坂の町・長崎。
事故で幼い息子を失い、妻(松たか子)とも別居中となった主人公・小浦治(オダギリジョー)は、仕事も失い、人生の袋小路に立たされています。
そんな彼のもとに現れるのが、妹・阿佐子(満島ひかり)の娘である姪・優子(髙石あかり)。事情があり、彼女を一時的に預かることになったことで、思いがけない二人暮らしが始まります。
この作品は、坂や階段、路面電車など長崎の“日常の風景”が丁寧に描かれており、観光地としての長崎ではなく、“暮らしの長崎”を体感できるのが魅力です。
共演は森山直太朗(元同僚・陣野)、高橋文哉(優子のバイト先の先輩・立山)、篠原ゆき子(陣野の妻・茂子)、光石研(元同僚・持田)ほか、豪華なキャスト陣が脇を固めます。
静かに心を動かされる再生のドラマ。
この夏、ぜひ劇場で体験したい一作です。
🔶沖縄の記憶に刻まれた実話――
『木の上の軍隊』(7月25日公開)
👉 公式サイトはこちら:https://happinet-phantom.com/kinouenoguntai/
本作の原作は、故・井上ひさし氏が沖縄戦の実話をもとに舞台化しようとしていた未完の作品。その構想を引き継ぎ、舞台劇として完成・上演され、今回ついに映画化されました。
物語の中心は、沖縄・伊江島でガジュマルの木の上に逃れた二人の兵士。戦争が終わったことを知らぬまま、二年間、木の上でサバイバル生活を続けていたという驚くべき実話がベースです。
主演は堤真一(本土出身の上官)と山田裕貴(地元出身の兵士)。
この対比は、本土と沖縄の関係性を象徴的に映し出し、それぞれの葛藤や希望が丁寧に描かれます。
特に印象的なのは、故郷を戦場にされた地元兵・慎平の「日常を取り戻したい」という切実な思い。その叫びは、熊本地震の記憶とも重なり合い、観る者の心を深く揺さぶります。
実際に2人が潜んでいたガジュマルの木は、今も伊江島に残されています。
🔶伝説の爆破スリラー、50周年で蘇る!
『新幹線大爆破』(7月19日よりリバイバル上映)
👉 公式サイトはこちら:https://daiichieigeki.com/3891/
7月19日(土)〜27日(日)、本渡第一映劇(天草)にて、1975年公開の伝説的サスペンス映画『新幹線大爆破』が35mmフィルムでリバイバル上映されます!
時速80kmを下回ると爆発する爆弾が仕掛けられた新幹線。そのスリリングな展開と社会派ドラマの融合は、今なお色褪せない傑作です。
犯人役を演じるのは名優・高倉健。
上映料金はワンコイン500円。この貴重な機会、ぜひ天草でお楽しみください。
🔶 編集後記
今月は、“日常”をどう描くか、どう再構築するかが共通のテーマとして浮かび上がる作品が揃いました。
長崎の坂と心の坂道を重ねた『夏の砂の上』
本土と沖縄の分断を静かに問う『木の上の軍隊』
昭和の列車に込められた社会の緊張感『新幹線大爆破』
ぜひそれぞれの劇場で、心に残る“今月の一本”を見つけてみてください。
2020年7月4日未明、熊本県南部・球磨地方を襲った記録的な豪雨により、球磨川流域では50名の命が奪われ、住宅やインフラにも甚大な被害が及んだ。あれから間もなく5年。地域住民は生活再建や事業の立て直しに懸命に取り組んできた。
そんな中、「川辺川ダム建設」が静かに、しかし着実に再び動き出している。元RKKアナウンサーであり、かつてから川辺川ダム問題に関心を寄せてきた宮脇利充さんは、「なぜ今、ダム建設が再び進んでいるのか」「果たしてその必要性は本当にあるのか」と問いかける。
🔶かつて白紙撤回されたはずのダム計画が…
川辺川ダム建設計画は、2008年に当時の熊本県知事が「白紙撤回」を表明し、実質的に中止された。しかし2020年の水害を受けて、今度は「流水型(穴あき型)ダム」として再び構想が浮上した。これは、治水に特化し、通常は水をためず、豪雨時のみ水量を調整するという形式だ。
2027年度には本体基礎の掘削工事に着手し、2035年の完成を目指すという。完成すれば日本最大級、あるいは「最後の大型ダム」となる可能性もある。
しかし、この計画には大きな疑問が残る。
🔶「同じ豪雨が再来しても、ダムでは救えない」――市民調査が突きつけた事実
市民グループや専門家による調査では、2020年の豪雨で亡くなった方々の多くが、球磨川本流ではなく支流の氾濫や山腹崩壊による土砂災害によって命を落としていたことが判明している。
また、豪雨の降雨域は川辺川上流とは大きく離れており、仮にそこにダムが存在していたとしても、「命は救えなかった可能性が高い」と指摘されている。
それにもかかわらず、国土交通省と熊本県はこれらの調査結果に十分な応答を示さないまま、ダム建設を推し進めているのが現状だ。
🔶「手続きの裏側」で進んだ国の戦略
さらに注目すべきは、国交省が旧計画(多目的ダム)の廃止手続きを正式に行わなかったことだ。白紙撤回後も10年以上計画を「寝かせ」、新たなダムを「継続案件」と位置づけることで、環境アセスメント(影響評価)を回避。結果として、スピーディに新計画を推進できる道筋をつけた。
これにより2023年には土地収用法に基づく「事業認定申請」まで進んでおり、建設に反対する地権者の意向にかかわらず、土地の使用が可能となる段階にまで来ている。
🔶「声を上げづらくなった」地域の空気感
2008年の白紙撤回時には県内外で大きな議論と盛り上がりを見せた川辺川ダム問題。しかし2020年以降、報道も少なく、地域の関心も盛り上がっているとは言いがたい。
その背景には、国交省が「ダムがあれば人吉市周辺の浸水範囲は6割減少した」と発表したことがある。多くのメディアはこれをそのまま報じ、「ダムがあれば救われた命があったかもしれない」という空気が広まった。
「声を上げづらくなった」というのは、かつて環境保全を訴えていた住民や団体の率直な気持ちだ。自分たちの行動が、あの被害と関係していたのでは――という悔恨のようなものが、声を押し殺している。
🔶今、本当に必要なのは何か?
「穴あきダム」であっても、川の自然環境は大きく変わる。山の崩壊や支流の氾濫が主因であることがわかっている今、約4900億円とも言われる巨額の予算を「山林の再生」や「地域の防災力強化」に投じる方が、よほど効果的ではないか――。宮脇さんはそう訴える。
「川辺川ダム建設が進む今こそ、再び私たち一人ひとりが考えるべき時です。『本当に命を守る方法とは何か』を、冷静に、丁寧に、向き合っていく必要があるのではないでしょうか」
ゲスト:宮脇利充さん(元RKKアナウンサー)
聞き手:江上浩子
🔵「褒める」とは何か――熊本市立出水南中学校校長・田中慎一朗さんに聞く
「褒める」という行為は、子どもの成長や自信を育む上で重要だと広く言われています。
しかし、その褒め方や意図次第では、子どもの心に届かないどころか、逆効果になることさえある――。
熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長は、「褒めるとは何か」について、私たち大人が改めて考える必要があると語ります。
🔶褒めることは「伸ばす前提」になっていないか
私たちはしばしば、「褒めて伸ばす」という表現を使います。
これは一見、子どもの良さを引き出すポジティブな姿勢に見えます。
しかし田中校長は、この「伸ばす前提」の褒め方に疑問を投げかけます。
「褒めることで、子どもに何かを期待したり、伸ばそうとしたりする気持ちが先行してしまうと、子どもは『自分が本当に評価されているわけではなく、大人の意図でコントロールされようとしている』と感じることがあるのです」
特に中学生は、その鋭い感受性で大人の意図を敏感に察知します。
無理に褒めようとしたり、表面的な言葉で取り繕うと、むしろ反発を招くこともあるのです。
🔶大切なのは「その子の努力や変化を見つける視点」
田中校長は、子どもの頑張りに気づくためには、日頃からの観察と関心が不可欠だと強調します。
「たとえば、45分間の授業でずっと座っていられたこと。それは、動きたくて仕方がない子にとっては大きな努力の結果なんです。その小さな変化を見つけて、『頑張ったね』『今日は落ち着いて聞けていたね』と声をかける。それが本当の意味での褒める、認めるということだと思います」
褒めることは、点数や目に見える成果だけで判断するのではなく、その子の努力や成長に寄り添うこと。それが子どもにとっての「自分は見てもらえている」という安心感につながります。
🔶外発的動機づけと内発的動機づけ――どちらを育むか
「100点を取ったらご褒美をあげる」という外発的動機づけは、短期的には効果的かもしれません。
しかし田中校長は、長い目で見れば「内発的動機づけ」、つまり子ども自身の内側から湧き上がる興味や意欲こそが重要だと言います。
「知識を得ることが面白い、もっと知りたい、学ぶって楽しい――そう思えるような関わりを、日常の会話や学校の授業の中で積み重ねていく必要があります」
褒めることはそのための手段であり、目的ではないのです。
🔶大人自身が「リスペクト」をもって接する姿勢を
田中校長自身、「自分ができないことを、子どもができている場面に出会うことがある」と言います。
そんなときこそ、「すごいね、それどうやってるの?」と素直に尋ね、リスペクトを示すことが大事だと話します。
「褒めるために無理にポイントを探すのではなく、その子の良さ、強みを認め、リスペクトする。そうした積み重ねが、子ども自身の自信や次の挑戦への意欲につながると思うのです」
🔶普段からの関わりが、褒める力になる
最後に田中校長は、こう結びます。
「子どもたちは、大人の言葉や視線をとてもよく見ています。だからこそ、日々の関わりの中でその子を知り、小さな変化や努力に気づいて声をかけてほしい。それが子どもたちの心に届く“褒める”ということなんです。ぜひ、子どもたちと対話を重ね、認める言葉をかけてあげてください」
「褒める」とは、子どもを育てるだけでなく、大人自身の成長を促す営みでもあるのかもしれません。
出演
熊本市立出水南中学校校長・田中慎一朗さん
聞き手:江上浩子
🔵ニュース515+plusのコメンテーターとしておなじみの斉場俊之さんが、思いがけず「自転車レースデビュー」を果たしました。
きっかけは、日々の生活における渋滞ストレスからの脱却。
気軽に利用できるシェアサイクル「チャリチャリ」から始まった自転車生活は、ついに海を越えて長崎県・壱岐島でのレース出場へとつながりました。
🔶「ツール・ド・壱岐島」――島全体がサーキットになる一大イベント
斉場さんが挑んだのは、6月8日に開催された「ツール・ド・壱岐島(壱岐サイクルフェスティバル)」。
1989年から続く歴史ある大会で、今年で第37回を迎えました。
一般市民も参加できる本格的なレースであり、当日は島内の道路が完全封鎖され、交通規制のもと自転車だけが走行を許されるという、まさに“島がサーキットになる”特別な一日です。
全長50キロのコースを、斉場さんは見事1時間52分で完走。
「スポーツとは無縁の人生だった」という本人の言葉からも、その達成感はひとしおだったようです。
🔶島全体で支え合う応援と安全の仕組み
「沿道には、消防団の方や島民の皆さんがずっと立って応援してくださっていて、あの声援がなかったら完走はできなかったかもしれません」
スタート前は緊張で心拍数が上がっていたという斉場さんですが、島民の温かな応援に心が落ち着き、走るリズムを取り戻せたと語ります。競技中に沿道の人々に手を振り返す余裕もあったとのこと。
地域をあげてのこの大会は、競技者だけでなく、島全体が一つの空気で包まれる“お祭り”でもあります。
🔶52歳の挑戦「成長するって、まだできるんだ」
今回のレースに向けて、斉場さんは1か月間にわたるトレーニングを積んだそうです。
坂道の多いコースに備え、菊池や山鹿の山道でアップダウンを意識した走行を重ね、「少しずつ速くなっていく自分」に驚きと喜びを感じたと言います。
「この年になると“成長”ってなかなか実感しづらい。老化の方が気になる年齢だけれど、努力すれば成果は出る。何かを始めるのに年齢は関係ないと実感できました」
年齢を重ねてなお、新しい挑戦の中で自分をアップデートできるという体験は、きっと多くの人の背中を押すでしょう。
🔶自転車の楽しさ、そして危険性への意識
元々は渋滞回避のための移動手段だった自転車。
斉場さんは、今回の経験を通してその「楽しさ」自体に目覚めたと言います。
「サーキット化された道路を、ノンストップで全力で漕ぐ。普段の生活では決してできない体験でした。気持ちよかったですね」
一方で、スピードが出る分、危険性への注意も必要だと強調します。
レース中には転倒者も出ており、日常の走行では特に、交通ルールの遵守やヘルメットの着用といった安全対策が重要であると呼びかけました。
🔶きっかけは「渋滞が嫌」でも、人生は思わぬ展開へ
「まさか自分がレースに出るなんて思ってもいなかった」という斉場さん。
だからこそ、「自分には向いていない」と決めつけず、興味がわいたことには一歩踏み出してみてほしいと語ります。
「うまくいかなかったら途中でやめてもいい。でも、やってみると案外自分に合っていることってあるんです。僕は来年もまた壱岐に行って、2回目の挑戦をしたいと思っています。よかったら皆さんも一緒に行きませんか?」
斉場さんの挑戦は、「変化を恐れずに踏み出す勇気」が新たな景色を見せてくれることを教えてくれます。次はあなたの番かもしれません。
映画解説研究者の上妻祥浩さんを迎え、6月に公開される注目の日本映画3本をご紹介いただきました。いずれも異なるテーマを持ちながら、観る者に深い感動と気づきを与えてくれる力作です。
🔶吉田修一原作の大作『国宝』――歌舞伎の美と闇に迫る壮大な人間ドラマ
(6月6日公開)
👉 公式サイトはこちら https://kokuhou-movie.com/
まず紹介されたのは、6月6日公開の映画『国宝』です。直木賞作家・吉田修一の同名小説を原作とした大作で、吉沢亮と横浜流星という豪華なW主演が話題となっています。
物語は、長崎のヤクザの親分の息子として生まれた少年が、偶然にして歌舞伎の才能を見出され、上方歌舞伎の大御所(渡辺謙)に引き取られ育てられるところから始まります。そこには、すでに渡辺の実の息子(横浜流星)もおり、2人は兄弟のように芸を磨き合い、互いに切磋琢磨していきます。
厳しい芸の世界で生きる苦悩と誇り、そして「どちらが主役を張るのか」といった葛藤が描かれ、物語は歌舞伎の美しい舞台裏とともに、深い人間ドラマとして展開します。
吉沢亮は「この作品は自分の代表作になった」と語っており、1年半に及ぶ徹底した役作りで歌舞伎役者としての所作や発声を習得。本作のクオリティの高さを物語っています。
また、寺島しのぶ演じる渡辺謙の妻も見逃せません。歌舞伎の家に生まれた彼女ならではの迫真の演技で、複雑な家族関係を繊細に表現しています。
🔶『フロントライン』――未知のウイルスと闘った医療現場の記録
(6月13日公開)
👉 公式サイトはこちら https://wwws.warnerbros.co.jp/frontline/
続いては、6月13日公開の『フロントライン』。2020年初頭、新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」を舞台に、医療関係者たちの奮闘を描いた実話ベースの作品です。
未知のウイルスに直面した最前線の混乱と葛藤を、リアルな描写で映し出しており、当時の緊張感と命を守る責任の重さを改めて思い出させてくれます。
出演は小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介など、いずれも実力派揃い。ヒーロー出身の俳優も2人おり、安心感と説得力を同時に感じさせてくれます。手探りの中で築かれた対応策が、後の日本の感染症対策に繋がっていく過程は、今だからこそ落ち着いて振り返ることのできる貴重な映像資料でもあります。
🔶『囁きの河』――水害を越えて希望を描く熊本発の物語
(6月27日 熊本ピカデリーで先行公開)
👉 公式サイトはこちら https://sasayakinokawa-movie.com/
最後に紹介されたのは、2020年に熊本県南部を襲った豪雨災害を背景にした映画『囁きの河』。6月27日に熊本ピカデリーで先行公開される本作は、実際の被災地・人吉球磨を舞台に、全編オールロケで撮影された「熊本の手作り映画」として注目を集めています。
主演は人吉市出身の俳優・中原丈雄。水害で家族や大切なものを失った人々が、それでも希望を見出しながら明日へと歩んでいく姿を、静かに、そして力強く描いています。
上妻さんは「自身の親戚も人吉におり、幼い頃から何度も被災してきた」と語り、この作品がいかに現実に根ざしたリアリティを持っているかを強調しました。また、俳優・中原丈雄の出演で作品に深みと落ち着きをもたらしています。
現在も水害の爪痕に苦しむ方がいる中で、本作は「再生」や「共に生きる」ことの大切さを優しく伝えてくれます。熊本に暮らす方々にとっては、特に胸に響く作品となるでしょう。
3本の作品に共通するのは、人間の弱さと強さを見つめ、そこから生まれる希望を丁寧に描いている点です。どれも一過性の話題ではなく、観た人の心に残る、深い余韻をもたらす作品ばかり。気になる一本があれば、ぜひ劇場で味わってみてはいかがでしょうか。
(聞き手:江上浩子)
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エンタメ・教育・ITの専門家が気になる話題を徹底解説!!
第1金曜日・・・映画解説・研究者 上妻祥浩さん
第2金曜日・・・ライブ配信ディレクター 斉場俊之さん
第3金曜日・・・熊本市立出水南中学校 校長 田中慎一朗さん
第4・5金曜日・・・元RKKアナウンサー 宮脇利充さん
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