都営6300系 西高島平〜神保町.m4a
〜都営6300形〜
車体
車体は軽量ステンレス製車体であり、JR東日本の209系車両向けに開発された2シート貼り合わせ工法を採用している 。連結妻はビード構造の外板とし、妻面窓を設けた。車体には三田線のラインカラーであるブルーのラインと東京都交通局の情熱を表す赤のラインを巻いている。
先頭部はFRP成形品として、ステンレス色の塗装を施している。フロントガラスは大形の曲面ガラスを使用しており、前面は地下鉄線内における非常口としてプラグドアが設置され、緊急脱出用のハシゴを用意。外観デザインは「スピード感」「近未来」「ハイテクイメージ」をテーマとしている。前面下部にはスカートを装着。
現在は全編成が三田線のホームゲート連動機能およびホーム上の監視カメラからのミリ波映像受信装置および車上ITV(車上モニター画面)を装備している関係で、ホームモニターの視認性を確保するため、プラグドアや助士側も含めてフロントガラスの上方にスモークフィルムが貼り付けされている。
車内内装
化粧板は白色系のものを使用し、床材は1・2次車は中央部を朱色系の石目模様、外側は灰色のツートンカラー品、3次車は灰色の単色品を使用している。
座席モケットはベネチアンレッドの赤系色、優先席はバイオレット(薄紫色)である。1人分の掛け幅は450mmであり、いずれもバケットシートを採用している。1・2次車では脚台(蹴込み)は車端部を除き、後退させて座席下を広くしたほか、車端部には各車両1か所に都営地下鉄の車両で初めての対面式クロスシートを設置。3次車では脚台がすべて大形となり、車端部のクロスシートは廃止されている。
荷棚はパイプ式で、座席端の袖仕切形状は1・2次車は石目柄のローズグレー成形品を、3次車では浅草線用の5300形用に類似した化粧板貼り付けの板を使用。
側窓は車端部が固定式、ドア間の2連窓は開閉可能な下降窓としており、遮光用にロール式カーテンが設置してある。1・2次車では樹木の柄入りを、3次車は無地のものを使用している。車椅子スペースは2号車と5号車(車号末尾2と7の車両)の2か所に設け、この場所には安全手すり、車椅子固定ベルト、非常通報器を設置。この非常通報器は乗務員と相互通話可能なもので、各車に4台設置している。
側出入口は片側4か所に設けられ、側引戸は1,300mm幅の両開き式である。外板はステンレス製で、室内側は1・2次車では内装と同じ化粧板仕上げであるが、3次車ではステンレス無塗装とされた。
一部を除き、各貫通路には貫通扉が設けられている。基本的に片開き構造だが、車椅子スペースに隣接する部分は車椅子での移動を考慮して貫通路幅を広く確保したことから両開き構造。1・2次車は石目柄ローズグレーの化粧板仕上げ、3次車はステンレス無塗装である。扉の機構はドアクローザー付きで自動的に閉まるようになっている。
つり革形状は1・2次車では三角形、3次車は丸形である。優先席付近のものは2006年(平成18年)初めからオレンジ色の三角形に交換。ただし、3次車の一部車両の扉上にある優先席つり革のみオレンジの丸形である。
非常用ドアコックは6000形では全ドアを開けるタイプが壁面に、それ以外が座席下の扉付近に設置されていたのに対し、本形式ではすべて座席下の扉付近に設置されており、うち1か所が全ドアを開けるタイプになっている。
冷房装置は屋根上に能力48.84kW(42,000kcal/h)の集中式を一基搭載し、装置はマイコンによる5段階制御が可能。車内はラインフローファン方方式とし、中央に補助送風機としてラインデリアが3基×2組装備されている。空調運転モードは冷房・暖房・除湿・送風(ラインデリア運転)がある。
案内機器
行先表示器は前面・側面ともにLED式を採用。書体は明朝体とし、側面表示のみ英字併記である。2006年9月以降列車種別を表示するようになった。ただし、三田線内での種別表示は目黒線方面行き急行列車のみである。正面には向かって左端は運行番号表示器があり、表示器には急行標識灯が用意されている。
車内案内表示器は東京メトロ南北線用の9000系に準じた2段式のLED文字表示式で、本系列ではドア上部に千鳥配置をしている。表示器の設置していないドア上部には戸閉開閉予告灯と路線図が掲出されている。ドアの開閉に合わせてドアチャイムが鳴動する。
表示内容は三田線内では上部は「次は ○ ○ ○」「まもなく ○ ○ ○」などだけを固定表示、下部はドアの開く方向(固定表示)・行先・英語表記・日本語と英語の乗り換え案内(スクロール)を表示する。駅停車中は駅名を大きく、下に英語と駅番号を小さく固定表示する。
走行機器など
1次車は三菱電機、2次車は日立製作所のGTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御 (T-INV6) を、3次車は三菱のIPM-IGBT素子によるVVVFインバータ制御 (T-INV6A 2500V/500A) をそれぞれ採用。素子の冷却方式は1次・2次車では冷媒(パーフロロカーボンクーラント)を使用するが、3次車では列車走行風を利用した自然通風ドライパネル冷却方式を採用している。
1・2次車は1台の制御装置で180kW/h出力の主電動機4台を制御する1C4M制御方式、一方3次車は1台の制御装置で2個の主電動機を制御する1C2M方式2台搭載(1C2M2群制御)である。なお、3次車は2003年(平成15年)より順次純電気ブレーキ対応に変更されている。
補助電源装置はIGBT素子を使用した静止形インバータ (SIV) であり、出力は三相交流440Vとし、補助用回路には変圧器で単相交流200V、整流器で直流100Vを出力する。1次車は東芝製、2次車は東洋電機製造製の170kVA出力品を、3次車は三菱電機製の150kVA出力品を搭載する。
電動空気圧縮機は5300形と同じく横型低騒音タイプのレシプロ式C-2000LB形で、電動機には三相誘導電動機を採用している。
ブレーキ装置は電気指令式空気ブレーキを採用しており、本形式ではATO運転時のブレーキの応答性を高めるため、台車中継弁を設置している。常用ブレーキは手動運転時には7段だが、ATO運転時には31段ステップに分割して乗り心地の向上を図っている。
1・2次車では両先頭車に一体箱構成のATC/ATO装置を搭載する。3次車では同装置を片置き式として1号車に集約しており、6号車にはATC/ATO制御伝送装置を搭載して両先頭車間を制御伝送することで艤装配線の削減とコストダウンを図った。
両先頭車にはホームゲートとの連動機能などを行う戸閉制御装置を搭載している。ATO送受信器は1号車に搭載、さらに列車無線装置 (SR) 本体ならびに2台のSRアンテナは6号車に集約して設置をしている。
台車
台車は浅草線用の5300形と同じコイルばねを併用した筒形積層ゴムプッシュ式の空気ばね台車である(近畿車輛製・動力台車:KD-308形、交通局形式:T-6A/付随台車:KD-308A形、交通局形式T-6B形)。基礎ブレーキは電動車が片押し式踏面ブレーキ、付随車は踏面ブレーキ併用ディスクブレーキとしている。この踏面ブレーキには交通局初のユニットブレーキが採用されている。