京王5000系 本八幡〜橋本.m4a
日中に運転が行われている都営新宿線 本八幡〜京王相模原線 橋本の運用を録音しました。都営新宿線は各停で京王線は区間急行となる。
〜京王5000系〜
外観
従来車両よりシャープで立体的な前面形状が採用されており、京王の車両としては初めて前面が大きく傾斜している。前面はスマートな列車を表現するためカラーリングに黒が多用され、窓上部に京王レッドの、窓下部に京王ブルーの帯が巻かれており、包容感を感じさせる温かみの中に気品のある表情を持たせ、コーポレートカラーをシンプルにまとう上品なデザインでまとめている。傾斜した前面形状で運転台スペースが制約される中、高運転台構造を維持しつつ必要な機器を収めるため、前面貫通扉を正面から見て左側に配置した。正面窓下左右側に前照灯、尾灯、装飾灯からなる標識灯ユニットが配置されており、いずれの光源もLED照明。車体は溶接組立構造のステンレス製であり、外板をレーザー溶接でつなぎ合わせる総合車両製作所製のsustina構体を採用。これにより、これまでのステンレス車体に見られた板と板を重ねる「せぎり」がなくなり、車体全体を滑らかに美しく仕上げているとともに、連続したレーザー溶接によりシール部の施工箇所を削減することでメンテナンス性の向上を図っている。
20 m両開き4扉、扉間に窓2枚の基本レイアウトが採用されたが、扉間の窓2枚の幅は異なっており、広い方の窓のみ下降窓となっている。前頭部はFRP製で、先頭車運転台側は中間車より台車中心から車端までの長さが500mm延長された。スカートも3次元的形状となり、コーポレートカラーである京王レッドに塗装。前面窓上と、側面中央部窓上にフルカラーLED式の表示装置が設置され、側面のものは従来車より大型化。
内装
内装は高尾山の木々と織物の街・八王子の絹という多摩地域の色と素材にこだわった、華やかな室内空間を表現したデザインとしており、座席表皮は「多摩織」をモチーフとした上質な高級感を演出
。室内は上に行くほど色が明るくなっており、天井両側を凸曲面とすることで開放感がある室内空間とし、ガラス製の扉部仕切りと妻引戸の採用で奥行きのある開放感をもたせている。また車内の快適性を確保するため、床に静粛性の高い素材を、側窓にUVカットガラスをそれぞれ採用しており、手すりには清潔感を出すため電解加工を施して指紋が付きにくくしている。
京王電鉄の車両としては初めてクロスシートとロングシートの転換機構を備えたデュアルシートを採用し、座席指定列車として使用される際はクロスシート、それ以外のときは基本的にロングシートとなる。転換機構付き座席は総合車両製作所とコイト電工が共同開発し、コイト電工が製造を担当した。扉間には1人あたり座面幅460mmの偏心機構によって回転する2人掛け座席が片側3組配置されている。この座席は新規に開発が行われた座席であり、通勤電車として運用されるのと回転中の座席同士の干渉を避けるため、座席幅の確保については困難を極めたが、回転軌跡上にある窓枠下部の窓きせの形状の見直しとともに、2人掛座席の両側にある肘掛けの内側を削ることで1人あたり座面幅460mmを確保。クロスシート状態時の手動での座席転換は、肘掛けの後ろにあるレバーを引くことで座席が回転して転換する。
車端部には、総合車両製作所とシロキ工業が共同開発しシロキ工業が製造を担当した1人あたり座面幅505 mmの固定式3人掛け座席が設けられ、座席間には肘掛けが設置。座席座面と背もたれ下部は茶系の色の明暗により凹凸を表現したモケット織、背もたれ上部は濃い茶色のモール織が採用。全車両に設置された車椅子・ベビーカースペースには、壁掛け型のヒーターと立ち客が利用できる腰当てが設けられている。
室内灯は、総合車両製作所とコイト電工が共同開発しコイト電工が製造を担当したLED式の調光・調色式照明となり、朝の通勤時には爽やかな色、夜の座席指定列車時では落ち着いた暖色系の色に変えることが可能であり、天井両側の曲面部に照射するように配置した間接照明を採用している。クロスシートとロングシートのどちらで使用されている場合でも画面が見やすいよう、各扉上部と客室天井部の枕木方向に三菱電機製の17インチワイド液晶式案内装置が2台一組で各車両14組28台設置された。右側の画面には運行情報を、左側には広告が表示される。放送装置は、八幡電気産業製の高音質ステレオ方式を採用しており、ステレオ効果が最大限に得られるように車内スピーカーはKEF社製の物が1両あたり8台設置されている。天井面の左右にLとRが交互に配置されているほか、制御装置に音源を内蔵することで、イベント時にBGMを流すことができる。また、外部プレーヤが接続可能なステレオミニジャックを設けている。
サービス機器として、2人掛け座席の脚台および3人掛けロングシートの肘掛け部には、総合車両製作所とシロキ工業が共同開発しシロキ工業が製造を担当した電源コンセントが設けられ、UQコミュニケーションズ製フリーWi-Fi装置、パナソニックとJR東日本テクノロジーが共同開発した「nanoe(ナノイー)」搭載空気清浄機を天井中央部にあるラインフローファンのバックスペースに各2台設置されている。電源コンセントはクロスシートの時しか使えない設定となっている。各車両に4台ずつ日立造船製の逆光補正付き車内防犯カメラが設けられている。
客室扉の戸閉機は、京王電鉄としては初めてラック機構を有した電気式ドアエンジンを採用。ドアの挟まれを検知するとドアの推力を変化させて抜けやすくする戸挟み防止機能のほか、長時間の駅停車時の冷暖房効果を高めるための3扉閉機能のほかに、座席指定列車時での乗降をするドアを一部に限定にする限定扉機能を有している。
乗務員室
大きく傾斜した前面形状を採用しつつ、高運転台構造の維持と視界拡大、必要な機器の搭載などの要求を満足するため、機器配置の見直しと避難経路確保のための前面貫通路を正面向かって左側にするなど、従来車両とは乗務員室のレイアウトが大きく変更されている。運転室の配色はグレー系、運転台はユニットごとに取外しが可能な構造の総合車両製作所のユニット式運転台「フリージアコンソール」を採用。また、京王電鉄としては初めての採用となる3つの画面の運転台表示器を配置しており、速度計、圧力計、表示灯などの表示のほか、蓄電池とその残量、パンタグラフ、VVVFインバータ装置、主電動機との間で電気の流れを表示するエネルギーモニタ機能が備わっている。速度計や圧力計などの運転に必要な計器類は、従来のアナログ式を模した白背景の丸形計器のデザインとし、それらが、運転士の着座位置と主幹制御器の中心軸上に表示されるものとなった。
主幹制御器はデッドマン装置付きのT形ワンハンドルマスコンで、運転士の操作がロータリエンコーダにより信号に変換された後に二重系で出力され、各機器に伝送される。保安装置として、京三製作所製京王線内用ATCに加え、日立製作所製新宿線用D-ATCを装備する。新たにホーム検知装置(ジェイアール西日本テクノス製)が備えられている。これは、乗務員室の運転士背面の中央部にホームの検知状態を示す表示灯とドア開操作の誤操作を注意喚起するブザーで構成された報知盤が設置されており、ホームの有無を車両側のセンサーで検知して、ホームが検知できない側で誤ってドア開操作をしても、ドアの開操作は行われず、ブザーで注意喚起する。事故発生時の記録を目的として、両先頭車に日立造船製の前方監視カメラを設置している。
主要機器
伝送指令システム
京王電鉄で初めてサービス機器への指令のみならず力行・制動などの主要機器への指令も伝送指令とし、車両の引通し線の削減を図ったK-TIMS(Keio Train Information Management System)と呼ばれる三菱電機製の伝送指令システムを採用。システム全体が二重化されるとともに、主要機器への伝送経路も二重となっており、クロス/ロングシート転換座席の回転指令、室内LED灯の調光・調節指令、電源コンセントの入切指令、各機器の自動試験などがモニタ装置から実行できる。力行と回生ブレーキ時での主電動機のブレーキトルクを編成で一括管理して制御することで効率的で省エネルギー性の高い運転が可能としている。車両の車内案内装置を制御する編成間の伝送路には、K-TIMSと連携した100 Mbpsのイーサネット伝送が使用されている。
主制御装置、主電動機
定格3,300V・1,800AのSi-IGBT素子とSiC-SBD素子を組合わせたSiCハイブリッド素子による、日立製作所製VFI-HR2820W型VVVFインバータ制御装置が採用されている。1台の制御装置で4台の主電動機を制御する1C4M構成を1群としたものを2群搭載しており、制御方式は速度センサレスのベクトル制御としている。故障の際には2群のどちらかの1群(主電動機4台)の解放が可能な故障冗長性を持っており、全電気ブレーキと定速運転機能を持っている。デハ5000形に搭載されておりデハ5050形と電動車ユニットを組んでいる。
主電動機は出力150 kWの日立製作所製全閉型内扇冷却式かご形三相誘導電動機が、駆動装置は東洋電機製造製KD438-C-M形平行カルダン式(TD継手、TD230C-P)が採用されており、保守の軽減と騒音の低減を図っている。歯車比は85:14である。
さらなる省エネルギ性を推進する目的として新技術の車上蓄電システムを採用している。これは日立製作所製[22]のリチウムイオン電池を4直列4並列接続した680V、15.2kWhの電池モジュールを、編成中央の電動車(デハ5050形5100番台)1両の床下に2個搭載したものである。この蓄電システムには、ブレーキを掛けた際の回生ブレーキ時に主電動機から発生する電力を充電し、力行の時にはこれを走行用に放電することで電力消費量を削減する。また停電時には、この電池に蓄えられた電力を利用して1台のVVVFインバータ装置を起動することで編成内の電動車ユニット2両(1ユニット8モーター)を用いた自力走行が可能であり(この時では通常の6M4Tから2M8Tとなる)、橋梁上で列車が停止した場合などでも移動させることができる。
制動装置
制動装置は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキのナブコ製HRDA-1が9000系に続いて採用されたが、弁制御をアナログ電流制御方式からON-OFF方制御弁に変更され、ブレーキ性能の安定性向上を図っており、K-TIMSの編成ブレーキ制御により付随車の制動力を電動車の回生ブレーキで負担する遅れ込め制御をユニットごとの制御から編成全体の制御に変更しており、回生ブレーキのさらなる有効性を図っている。また、Tc車とT車には、フラット防止機能(滑走再粘着制御)を有しており、車輪の滑走によるブレーキ距離の増大と車輪のフラット防止を図っている。
台車
台車は9000系用をベースとした総合車両製作所製の軸箱支持装置が軸梁式のボルスタレス空気ばねのTS-1017C動力台車、TS-1018C付随台車(いずれも固定軸距2,200 mm、車輪経860 mm)が採用された。台車の牽引力を車体に伝達するけん引装置は一本リンク式であり、基礎ブレーキ装置は、踏面片押し式のユニットブレーキ。将来の最高速度向上に備え、設計最高速度を130㎞/hとしており、さらなる乗り心地の向上のため、台車枠先端部と軸箱支持装置の軸梁の間に軸ダンパの取り付けが可能な構造となっている。
集電装置
集電装置として、9000系と同形式の東洋電機製造製電磁かぎ外し装置付きばね上昇空気式シングルアームパンタグラフがデハ5000形全車と、5100番台を除くデハ5050形に搭載された。
補助電源装置
補助電源装置は、東洋電機製造製60 Hz、440V、出力260kVAのIGBT素子の3レベル静止形インバータ (SIV)が5000番台と5200番台のデハ5050形に搭載されている。一系が故障した場合でも、待機している二系がバックアップとして作動する待機二重系方式を採用している、一系・二系の両方が故障した場合でも、乗務員室からのモニタ装置の操作により、6号車のデハ5000形に搭載された受給電接触器を作動させて、もう片方の補助電源装置からの給電を可能としている。
空気圧縮機
空気圧縮機は、ドイツ・クノールブレムゼ製のオイルフリーレシプロ方式を採用。毎分吐出容量1,750リットルの除湿装置内蔵ピストン式電動空気圧縮機はコンパクトで環境への配慮とメンテナンス性の向上を図っており、5000番台と5200番台のデハ5050形に搭載。
冷房装置
三菱電機製の屋上集中式58.14 kW (50,000 kcal/h) の冷房装置が各車に1台搭載されており、全自動運転を基本としているが、状況によりきめ細かい空調管理ができるように、乗務員室のモニタ装置の操作により、送風(換気)と除湿モードを手動で選択できるようにしている。