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オースチンの成長とIC2の役割(その2)


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今回も、ハイテク・クラスターとして著名な米国テキサス州オースチンの成長と、そこでIC2という組織が果たした役割について解説する。
去る2月末に久々にオースチンのIC2を訪問して、副所長のGreg Pogue氏との間で、技術商業化の教育プログラムの在り方、および学生のアントレプレナーシップ醸成方法に関して意見交換を行ったので、その一端を紹介する。
IC2がイノベーション・エコシステムを形成するには、6つのM(Management、Member、Maker、Mentor,Market,Money)が重要だったと言う。まず最初のManagementは、スタートアップ企業を立ち上げて成長させるために不可欠な経営チームを指し、この中核メンバーが業務のオペレーション計画や資金調達、事業戦略を策定する。この人材育成で、テキサス大学のビジネススクールが担う役割は大きい。
次のMemberは、各種ビジネスの業務を担う人材で、事業開発やマーケティング、コミュニケーション(ソーシャルメディア活用などを含む)、エンジニアリング(技術と製品開発)などを行う。
次のMakerは少しユニークだ。この10年程度で話題になった"メーカー・ブーム"と同様と理解できる。すなわち、自らのビジネスアイデアに基づいて、3Dプリンターやレーザーカッターなどを活用して素早くプロトタイプを制作し、ユーザー・ニーズに合致するか否か仮説検証を重ね、製品イメージを具体化していく初期の活動を担う人材と、それら人材が集まってモノづくりができる"メーカー・スペース"の存在が重要になる。
次のMentorは、近隣に在住する成功した起業家で、スタートアップ初期"わからないことだらけ"の状況をどのように切り抜けて事業を創るか相談に乗ってくれ、場合によってはエンジェルとして投資をしてくれる。
次のMarketは、スタートアップがターゲットとする市場を指す。リスクを取って挑戦するに値するだけの規模の市場があり、そこに参入して勝つための競争優位性をスタートアップが持てるかがカギとなる。
最後のMoneyは、行政の補助金や大学のギャップファンド、エンジェルもしくはベンチャーキャピタルのシード投資を指す。とにかく初期フェーズは不確実でリスクが高いので、これら初期のリスクマネーの調達が重要になる。
これら6つのMを地域内でスムーズに切れ目なく供給できると、その地域エコシステムは成熟していると言えるのだ。加えて、産学官民連携の中心に位置する"インフルエンサー(ビジョンを示し、周辺の関係者に影響力をもたらして巻き込む人物)"の存在が極めて重要であり、オースチンではそれがジョージ・コズメツキーであり、組織としてのIC2だったのである。
Pogue氏曰く、エコシステム形成の初期はオースチンでも時間がかかったそうだ。そして成功の鍵は、スタートアップ支援サービスと6つのMの近接性を高めることだという。それによって学生たちは、たとえ経験が不足していても必要なリソースを手に入れやすくなり、結果的に「これなら自分でもやれるかも・・・」と思い始めて(=自己効力感を持つ)、結果的に起業に結びつくのであり、それが現在までのオースチンの成長の鍵だったのだ。
【今回のまとめ】
ハイテク産業を育成しようとすると、6つのMが地域内に近接して存在することが重要で、そのような環境が整っている地域のエコシステムは成熟していると言える。
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