ほんのり香るシャンプーの香り。普段出かけるときにはお目にかかることのない眼鏡姿。
「第一回、『理想の空論』!」
「「いえ~~い」」
今感じている高揚は、初コーナーをすることだけが理由ではない。ノイズが混じることなく耳まで届く肉声に、その存在を実感する。今日は、梅ちゃんとのお泊まり会なのだ。
前回についての謝罪と反省会を終えた私たちは、梅ちゃん発案のコーナーに移っていた。このコーナーでは、人生についてから具材についてなどまで、大小様々な理想について語る。
「そう、お金を貯めたら空き家を買いたいねんよ」
「うんうん、言ってたよな。なーちゃんの部屋も確保できるし魅力的よな~」
「せやねん! リノベーションで自分好みにしたりさ。理想はでっかくいこ!」
ころころと声を弾ませながら理想を語る梅ちゃんとともに、ルームシェアに対する欲を募らせていくのだった。