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〇#12のテーマは、「Travel Companion(トラベルコンパニオン)」
Toriiが新たに立ち上げた「Travel Companion」キャンペーン。その背景には、単なる“支援する/される”という関係を超えた、長年のパートナーシップの試行錯誤がありました。
清水がインドでの活動を通して出会った「co-traveller(共に旅をする人)」という言葉。資金提供者と受け手のあいだに無意識に生まれるヒエラルキー、本音を言えば関係が壊れるかもしれないという恐れ、それでも隣に居続けるという選択。喧嘩や葛藤、涙を重ねながら育まれてきた関係性に、あとから与えられた名前が「co-traveller」でした。
Travel Companionとは、完成された成果を“支える人”ではなく、不確実で揺らぎの多いプロセスそのものを共に歩む存在。うまくいかない時も、心が折れそうな時も、離れずに隣にいるという在り方です。
変化が激しく、正解の見えない時代の中で、Toriiはどんな関係性を紡ぎたいのか。そしてその先で、声が届かない人たちの旅のコンパニオンになるとはどういうことなのか。
このエピソードでは、「支援」を超えた“共に旅をする”という関係性の意味を、実体験をもとに深く辿ります。
〇Travel Companionとは
Travel Companionは、従来「マンスリーサポーター」と呼ばれてきた継続寄付のかたちを、「支える人/支えられる人」という構図ではなく、同じ問いを携えながら、それぞれの場所で歩み続ける仲間として捉え直したい、という願いから生まれた名前です。
何かを「してあげる」存在であることよりも、迷いながら、立ち止まりながら、それでも同じ方向を見ている。Travel Companionは、そんな関係性を大切にしています。
Toriiにとって継続的な寄付は、活動を続けるための資金であると同時に、「この歩き方を信じて、一緒に進んでくれる人がいる」という、関係性そのものの証でもあります。
Doing(何をするか)よりも、Being(どう在るか)を大切にしながら、社会の見え方が少しずつ変わっていくプロセスに立ち会う仲間です。
Travel Companionになると、どんなことがあるの?
① 旅の途中から届く、小さな記録(すべてのTravel Companionへ)
定期的に、ToriiからZineやvlogが届きます。それは、成果報告や活動紹介ではありません。
Toriiの中で交わされている思考や迷い、立ち止まり、沈黙、問い。そうしたものを、きれいに整えすぎず、そのまま束ねた小さな記録です。
たとえば、
忙しい日には、ぱらっと目を通すだけでも構いません。何かを理解しなくても、反応しなくても大丈夫です。
それでも、「あなたもこの旅の途中にいる」という感覚だけが、静かに残ることを願っています。
② もう少し内側に入ってみたいとき(希望のあったTravel Companionへ)
もし余白があるとき、もう一歩だけ近づいてみたいと思ったら、こんな場も、少しずつひらいていきます。
※第1回は、2026年7月上旬にインドでの実施を予定しています
どれも、「参加すること」が前提ではありません。入る/入らないは、いつでもご自身で選んでいただけます。
私たちが大切にしているのは、同じ場に、同じ時間で、居合わせること。その関係性を、急がず、ともに育てていくことです。
〇トラベルコンパニオンへのご登録はこちら
キャンペーンは2月22日に終了していますが、トラベルコンパニオンへご登録は今後も随時受け付けています。
※単発寄付ではなく「継続寄付」がトラベルコンパニオンに該当しますので、お手続きの際にどうぞご確認ください。
〇#11のテーマは、サバイバーリーダーシップ
「人によって受けた傷は、人との関係性のなかでしか癒されない。」
インドでの実践を手がかりに見えてくるのは、一人で乗り越えるリーダーシップではなく、「同志」とともに育っていくプロセスです。
声を上げようとしたとき、「言ってもいい」と思える誰かがそばにいること。失敗しても、泣いても、受け止めてくれる関係性があること。その存在が、人を次の一歩へと導いていきます。
この回で語られるサバイバーリーダーシップは、遠い国の特別な誰かの話ではありません。
不確実さの中を生きる、私たち一人ひとりに返ってくる関係性のなかで育つリーダーシップの話です。
〇トラベルコンパニオン
“ Travel Companion (トラベル・コンパニオン)”は、従来マンスリーサポーターと呼ばれる継続寄付者に、「提供する人ー受け取る人」という構図ではなく、同じ問いを携えながら、異なる場所でかもしれませんが、一緒に歩んでいく仲間でありたい、という願いをこめてネーミングしました。Travel Companionは、DoingからBeingに私たちのフォーカスをシフトさせたいという願いを込めています。Toriiにとって、継続的な寄付は資金であると同時に、「この歩き方を信じて一緒に進んでくれる人がいる」という関係性の証です。多くの方と一緒に、この先のToriiのトラベルを一緒に歩んでいきたいと願っています。
→ Travel Companionへのご登録は、こちらから
〇Torii Academy
Torii初のインド・フィールドスタディプログラムです。
インドというフィールドで、Toriiが長年関係を育んできたコミュニティを訪れ、当事者の声を、 誰かの解釈を通すのではなく、直接、その場で受け取る。学ぶために「教えられる」のではなく、関係性のなかで、自分自身の立ち位置が揺さぶられていくプログラムです。
第1回実施時期:2026年7月11日~18日
お問い合わせ:担当行政(ゆきまさ)[email protected]
〇エピソード内で紹介したフィルム「Beyond Survival - 傷が、語りだす」(13分)
〇エピソード内で触れた過去エピソード
#9 声とサイレンスのあいだで
https://open.spotify.com/episode/762pQ9I8Sn35iDOk6qc7Ie?si=thzilQXZQSCqhXsL4qeUhA
〇 #10 のテーマは、レジリエンス
2026年最初のエピソードでは、Toriiのこれまでとこれからを静かにつないでいる「レジリエンス」というエッセンスを手がかりに話しました。
13年間続いてきたインドでの人身取引事業。
そして今、Toriiとして動き始めている、ロヒンギャ難民支援、脆弱性の高い若者に向けたリーダーシップ育成、オンライン詐欺・闇バイトという新しい形の人身取引への取り組み。
テーマも場所も異なるこれらの事業は、一見すると別々のものに見えるかもしれません。
けれど、そこには確かに同じ「手触り」が流れています。
それは、誰かを「弱い存在」として扱うのではなく、人がもともと持っている力が、関係性や環境のなかで再び息を吹き返していくプロセスに目を向けること。
インドでの具体的な経験を振り返りながら、レジリエンスを「個人の強さ」ではなく、「関係性のなかで立ち上がる力」として捉え直していきます。
一見つながっていないように見えるものが、実は深いところでつながっている。
その感覚は、「これまで」と「これから」が地続きであるという、ささやかな希望にもつながります。
新しい年のはじまりに、自分の中や自分のまわりで、どんな関係性や空気がレジリエンスを育てているのか。
そんな問いを、そっと手元に残すエピソードです。
〇ことばの水脈コーナー【レジリエンス】
※テーマに関連する言葉(例:レジリエンス、正義、差別、境界など)をひとつ取り上げて、その語源や歴史、文脈、誤解されやすい点などを簡単にひもとくコーナーです
「レジリエンス」という言葉は、もともと物理学の分野で「跳ね返る」「元に戻る」といった意味を持つ言葉でした。そこから心理学や社会科学の文脈に取り入れられ、困難や逆境に直面したときに、再び立ち上がる力、回復する力として語られるようになります。
レジリエンスはしばしば「折れない強さ」や「我慢して乗り越える力」として使われますが、悲劇や大きな困難を「乗り越えた証」としてだけ現れるものではありません。レジリエンスは、個人の内面にある資質ですが、あるかないか、だけではなく、育てていくことのできる資質です。人との関係性や、置かれている環境との相互作用のなかで育まれ、時に失われたり、取り戻されたりするものです。だからこそ、レジリエンスについて知ることは「その人が弱いか強いか」を判断するための言葉ではなく、組織や社会のなかで、どんな関係性や環境が、その人が持っているレジリエンスを引き出し、あるいは奪っているのかを読み解くためのレンズにもなると考えています。
最近Torii共同代表の清水が、共同通信でこの「レジリエンス」に関する全8回の連載を行ってきました。12県の地方紙で掲載されていますので、ご興味がある方はお問い合わせください。Podcastのこのエピソードでは、「レジリエンス」という言葉を手がかりに、これまでの実践や、いま動き始めている取り組みのあいだを流れている、目には見えにくいけれど確かに存在している水脈を、少しずつたどっていきたいと思います。
〇トラベルコンパニオン・キャンペーンがはじまりました
https://syncable.biz/campaign/9256
Toriiは、社会課題を「解決する」前に、 その問いと向き合う私たち自身との関係性に、静かに立ち戻ることを大切にしています。
私たちは、継続的に関わってくれる人たちを ”Travel Companion(トラベル・コンパニオン)”と呼んでいます。
それは、支援する人/される側という関係ではなく、同じ問いを携えながら、それぞれの場所で、ともに歩く仲間でありたいからです。
私たちは多くの方と一緒に、社会の見え方が少しずつ変わっていくプロセスの旅を、ともに問い続け、ともに歩んでいきたいと願っています。
〇 #9 のテーマは、「声とサイレンスのあいだで」
今回のエピソードでは、「声を出すこと」と「語らないこと」のあいだに広がる、見えにくい領域について語り合いました。
社会のなかでは、「声を上げること」が前に進むための力として期待される場面が多くあります。
一方で、語ることで消耗してしまうもの、言葉にした瞬間に整えられてしまう体験、そして、声にならないまま抱えていたい感情も、確かに存在しています。
まだ言葉になっていないサイレンス。
あえて言葉にしないことを選ぶサイレンス。
自分の安全や呼吸を確かめるためのサイレンス。
サイレンスは、何も起きていない空白ではなく、必要なタイミングを待つための時間なのかもしれません。
ナビゲーターの行政杏奈と清水友美が、サバイバーリーダーシップの現場や、それぞれの個人的な経験を手がかりに、
「語ること/語らないこと」が持つ力、そして自分で自分を沈黙させてしまう瞬間について、静かに言葉を重ねていきます。
声だけで世界を見ないこと。
語られなかったものにも、同じだけの敬意を向けること。
2025年最後の配信となる今回は、これまでのエピソードを振り返りながら、
声とサイレンスのあいだに息づく痛みと、あたたかさ、そして尊厳にそっと光を当てます。
〇2025年、ToriiのPodcastを聴いてくださったあなたへ
2025年にはじまったばかりのToriiのPodcast「ぽんと、とぶ」を聴いてくださり、本当にありがとうございました。
忙しい日々のなかで、立ち止まって耳を傾けてくださったこと、その時間そのものに深い感謝を感じています。
この番組は、はっきりと言葉になった声だけでなく、まだ語られていない問いや、声にならなかった感情にも、そのままホールドする時間をつくりたいという思いから始まりました。
皆さんが聴いてくださったことで、その試みは「ひとりの思考」から「誰かと分かち合う時間」へと変わっていったように思います。
2026年も、急がず、整えすぎず、社会と自分のあいだに浮かぶ違和感や沈黙に、静かに耳を澄ませていきたいと思います。
来年もまた、「ぽんと、とぶ」があなたの日常にそっと寄り添えたら嬉しいです。
どうぞ、よい年をお迎えください。そして来年も、よろしくお願いします。
〇 #8 のテーマは、「コラボレーション」
part2 も引き続き、ゲストの青木健太さんとともに対話を進めます。part1 では、コラボレーションがむずかしくなる“背景”を見つめました。
part2 では、その視点を日本のNPOセクターに重ねながら、「では、ここからどうつくっていけるのか」を探ります。
歴史が浅く、組織学習や振り返りの文化がまだ十分に根づいていない日本のNPOセクター。さらに、助成金の構造がプログラム単位に紐づくため、“コラボレーションによる社会的成果”より“自団体の成果”を優先せざるを得ない現実があります。
そんななかでもコラボレーションが実現していったケースは、どのような土台の上に成り立っていたのか。
かものはしインド事業部での経験を起点に、制度・資金・文化・関係性・言語化という複数のレイヤーが重なる場所をたどっていきます。
Toriiとのコラボレーションを考えてくださっている方々にとって、スタンスと言葉と行動の接続が腑に落ちる時間になることを願って収録しています。
〇ゲスト:青木健太さん2002年東京大学在学中に友人と 3人で子どもの人身売買の撲滅に取り組むNPO法人かものはしプロジェクトを創業。 2009年にカンボジアに移住しソーシャルビジネスと教育事業に取り組んできた。2018年かものはしのカンボジア撤退に伴いカンボジアの公教育改革、教師育成に取り組むSALASUSUを設立。2022年よりかものはしプロジェクト理事長兼務、2025年トラストベースドフィランソロピージャパン創業
〇参考URL
認定NPO法人かものはしプロジェクトのインド事業部からTorii誕生の詳細については、かものはしプロジェクト2024年度年次報告書をご覧ください。 annual_report_2024
〇 #8 のテーマは「コラボレーション 」
今回のエピソードは、ゲストとしてに青木健太さん(認定NPO法人かものはしプロジェクト理事長)を迎えてお届けします。
Part 1では、「コラボレーション」は理念としては語りやすいのに、実践すると途端に難しくなる――そんな“静かな現実”から出発します。
同じイシューに取り組む団体同士でも、関係がぎこちなくなる。相手の意図を勘ぐってしまう。
普段なら言わないような言葉を使ってしまう。気づけば「なぜだろう」と思いながら、前に進まなくなってしまう。
そんな経験を持つ方も少なくないはずです。
インド事業でのNGO間の協働がうまくいかなかったケースを手がかりに、
その“うまくいかなさ”を、個人の問題ではなく、
組織が持つ歴史・痛み・価値観・誇りといった深い層から静かに読み解いていきます。
清水は「目の前のひとを支援する時に見るレンズ」と「社会システムを見るレンズ」を往復する重要性を、青木さんは「組織の哲学とアイデンティティが協働の前提条件をつくる」という視点を差し出します。
「協働が難しいのは誰のせいでもない」――
そのことに気づいたとき、ようやく見えてくるものがあります。
前編は、その入り口となる時間です。
〇ゲスト:青木健太さん
2002年東京大学在学中に友人と 3人で子どもの人身売買の撲滅に取り組むNPO法人かものはしプロジェクトを創業。 2009年にカンボジアに移住しソーシャルビジネスと教育事業に取り組んできた。2018年かものはしのカンボジア撤退に伴いカンボジアの公教育改革、教師育成に取り組むSALASUSUを設立。2022年よりかものはしプロジェクト理事長兼務、2025年トラストベースドフィランソロピージャパン創業
〇参考URL
認定NPO法人かものはしプロジェクトのインド事業部からTorii誕生の詳細については、かものはしプロジェクト2024年度年次報告書をご覧ください。 annual_report_2024
〇 #7 のテーマは、闇バイト/オンライン詐欺
Part 2では、前回に続き「闇バイト・オンライン詐欺」から見えてくる新しい人身取引の構造をたどります。
今回の焦点は、当事者が抱える「二重の立場」。
加害行為に関わったという事実と、同時に他者による強い支配や恐怖のもとで搾取され続けてきたという内側の体験。その二つが重なり合う場所に丁寧に光を当てていきます。
東南アジアの人身取引対策の現場で語られている、多様な「被害者」観。
KKパークをはじめとするスキャミングセンターの内部で起きている、身体的・心理的コントロール。
そして「逃げようと思えば逃げられたはず」という言葉が当事者に与える深い痛み。
制度や法律の枠では捉えきれない、加害と被害が交錯する複雑な領域を、清水智美とともに見つめながら、「私たちは社会としてどのレンズでこの問題を見るのか」という問いを静かにひらいていきます。
※番組内で触れた日経アジアの記事のリンクも概要欄に掲載しています。
〇 コーナー「影とひかり」
はじめてのコーナー「影とひかり」は、ひとつのテーマにある“裏と表”、“葛藤”をあえて露わにしていく時間です。
#7に共通する問いは――
「加害者と被害者、その線を引いた瞬間、私たちは何を見落としているのか?」
司法制度の中では、加害者と被害者を明確に区分することが必要です。
けれど、その枠組みだけで出来事を理解しようとしたとき、見えなくなる現実もあります。
加害者の中にある被害者感。
そして、加害として処罰することが、果たして根本的な解決につながっているのか。
Toriiのこれまでの調査や活動から見えてきたのは、司法の介入によって一定の効果は生まれるものの、それだけでは人の背景や社会の構造にまで光を当てきれないということ。
「影」と「ひかり」を往復しながら、私たちはこの問いを手放さずに語り続けます。
〇 関連ニュース紹介
【独自取材】「日本人の需要が一番高い」 カンボジアの巨大詐欺組織の闇に迫る 暗躍する中国系犯罪組織 その背後に潜む黒幕の正体は・・・RKB記者が現地ルポ(RKB毎日放送) - Yahoo!ニュースOsaka police arrest Japanese man linked to fraud group in Myanmar - The Japan Times「毎週のように日本人の救出要請がある」特殊詐欺拠点が集中するカンボジア…監禁場所からSOS相次ぐ 現地の日本大使が明かす深刻な実態(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース
『Nikkei Asia』 “Myanmar strikes on scam centers dismissed as smoke screen”(2025年11月6日配信)
ミャンマー国内での詐欺拠点摘発に関する報道。
「詐欺センター」と呼ばれる施設では、若者が高額収入を約束されて誘われ、実際には監禁・暴力・脅迫を受けながらオンライン詐欺に従事させられていた実態が明らかになっています。
記事では、軍政下での政治的混乱を背景に、こうした搾取型のスキームが放置されてきた構造にも触れています。
https://asia.nikkei.com/spotlight/myanmar-crisis/myanmar-strikes-on-scam-centers-dismissed-as-smoke-screen
〇 #7 のテーマは、闇バイト/オンライン詐欺
2023年に日本中を騒がせた“ルフィ事件”。
SNS上で「高額バイト」として誘われ、知らないうちに特殊詐欺などの犯罪に加担してしまう――。
ニュースの裏側には、経済的困難や孤立、搾取が複雑に絡み合う構造がありました。
今回のエピソードでは、闇バイトやオンライン詐欺を“新しいかたちの人身取引”として国際的に注目されているテーマんいついて、加害と被害の境界をどう捉えるのか、社会の構造的な問題として考えます。
ナビゲーターの行政杏奈と清水友美が、現場での調査や取材をもとに、
「誰が加害者で、誰が被害者なのか?」という単純な線引きを超えて、
社会の奥に潜む関係性と構造を丁寧にひもときます。
本エピソードは二部構成のpart1。
次回では、加害者の中にある被害者性=二重の立場(デュアルアイデンティティ)について、さらに問いを深めていきます。
〇 コーナー「影とひかり」
はじめてのコーナー「影とひかり」は、ひとつのテーマにある“裏と表”、“葛藤”をあえて露わにしていく時間です。
#7に共通する問いは――
「加害者と被害者、その線を引いた瞬間、私たちは何を見落としているのか?」
司法制度の中では、加害者と被害者を明確に区分することが必要です。
けれど、その枠組みだけで出来事を理解しようとしたとき、見えなくなる現実もあります。
加害者の中にある被害者感。
そして、加害として処罰することが、果たして根本的な解決につながっているのか。
Toriiのこれまでの調査や活動から見えてきたのは、司法の介入によって一定の効果は生まれるものの、それだけでは人の背景や社会の構造にまで光を当てきれないということ。
「影」と「ひかり」を往復しながら、私たちはこの問いを手放さずに語り続けます。
〇 ルフィ事件の概要
2023年初頭、東京・狛江市で発生した事件で、90歳の女性が被害に遭った強盗致死事件です。
報道では「実行役」と「被害者」がはっきり区分けされ、加害者として逮捕された人物が注目されました。
ですが、調べていくと、事件は単純な犯罪ではなく、SNS経由で募集された“闇バイト”や、海外からの指示系統など複雑な構造が背景にありました。
特に注目すべきは、フィリピンなど東南アジアからの遠隔指示や、詐欺拠点での軟禁・強制労働の構造です。
これらは、従来の人身取引とは異なる“新形態”として、現在ホットな議論になっています。
〇 関連ニュース紹介
『Nikkei Asia』 “Myanmar strikes on scam centers dismissed as smoke screen”(2025年11月6日配信)
ミャンマー国内での詐欺拠点摘発に関する報道。
「詐欺センター」と呼ばれる施設では、若者が高額収入を約束されて誘われ、実際には監禁・暴力・脅迫を受けながらオンライン詐欺に従事させられていた実態が明らかになっています。
記事では、軍政下での政治的混乱を背景に、こうした搾取型のスキームが放置されてきた構造にも触れています。
https://asia.nikkei.com/spotlight/myanmar-crisis/myanmar-strikes-on-scam-centers-dismissed-as-smoke-screen
〇#6 のテーマは、ドラマトライアングル
今回は、「ドラマトライアングル」というフレームワークを手がかりに、私たちが日常や社会の中で無意識のうちにとっている「ポジション」について語り合いました。
被害者、加害者、救済者――この三つの役割は、対人関係や組織、そして社会構造のなかで、知らず知らずのうちに私たちを動かしています。
「助けたい」という気持ちが、いつのまにか他者を弱い存在として扱っていないか。
「被害者」という言葉の裏に、自分を縛る物語が潜んでいないか。
「悪者」を作ることで、私たちは何から目をそらしているのか。
ナビゲーターの行政杏奈と清水友美が、自らの経験や日々の現場での実践を通して、このトライアングルを“内面の構造”としてひもときます。
社会の変化を語る前に、自分の中の「小さなドラマ」を見つめ直す――そんな静かな時間をお届けします。
〇ことばの水脈コーナー【ドラマトライアングル】
※テーマに関連する言葉(例:レジリエンス、正義、差別、境界など)をひとつ取り上げて、その語源や歴史、文脈、誤解されやすい点などを簡単にひもとくコーナーです
この概念は心理学者スティーブン・カープマンによって提唱されたもので、ドラマトライアングルとは、人間関係を3つの典型的な役割(加害者・被害者・救済者)にあてはめて理解するフレームワークです。この三角形の構造は、個人の日常のやり取りだけでなく、組織や社会の大きな関係性にもあらわれます。
特に職場のように緊張感のある場面では、発言の端々がこのドラマトライアングルの特定のポジションにはまり、関係性の循環に吸い込まれていきます。そして、一度誰かがポジションを取ると、他の人のポジションも自動的に決まってしまう。気づかないうちに、その場の関係性のフレームワークに引き込まれてしまうのです。
〇#5は特別編です
9月第2週にマレーシア・クアラルンプールで行われたロヒンギャ難民の実態調査をもとに、日経アジアの編集者であり、現在Toriiでボランティアをしてくださっている黒沼勇史さんをゲストにお迎えしました。
黒沼さんはTorii共同代表清水とインドで出会った後に2013年にインドの人身売買問題に関する記事を執筆され、その後も日経新聞記者としてバングラデシュ・コックスバザールでロヒンギャ難民を取材し続けてこられました。大学院ではロヒンギャ難民をテーマに研究もされており、長年にわたり現場と深く関わってこられた方です。今回、Toriiとしてはじめてお迎えするボランティアとして、群馬県館林やクアラルンプールで暮らすロヒンギャの人々と支援者に直接お話を伺い、調査を実現してくださいました。調査報告書は近日中にToriiの公式ウェブサイトから公開予定です。
ロヒンギャの問題はしばしば「膠着していて動かない」と語られます。しかし調査を通じて見えてきたのは、その奥に流れる人びとの想いや関係性に目を向けることで、問題を紐解き、新たな入口を開く可能性があるということでした。Toriiは、常に「人」と「関係性」にこそ前に進むための鍵があると考えています。
今回のエピソードでは、黒沼さんがこれまでの取材や研究で培ってきた視点、Toriiとの関わりのなかで感じた変化、そしてロヒンギャの人々への思いを、リスナーのみなさんとシェアします。時間の都合上、調査の細部までは触れられませんが、「人」と「関係性」に焦点を当て、その奥に流れる水脈のようなものを一緒にたどっていければと思います。
〇Part 2 ロヒンギャ難民の動かぬ現実 ― 日本・マレーシア・バングラデシュをむすぶ(ゲスト:日経アジア 黒沼勇史さん)
part2では、黒沼さんとともにロヒンギャ難民の現状を深掘りします。「ことばの水脈コーナー」からロヒンギャ問題の背景をたどり、今回実態調査を依頼した経緯を紹介。さらに、黒沼さんが群馬県館林・クアラルンプール・コックスバザールで目の当たりにしてきたロヒンギャ難民を取り囲む現状
をシェアします。
黒沼さんとの対話からみえてきたものは「ロヒンギャの問題は、戦争や紛争が終わったら解決するものではない」という厳しい現実と葛藤でした。
動かないとされるこの現実に、軽やかに前へ進めていける可能性があるとしたら、その問題やその人たちへの想いと、そこに流れる関係性が鍵だとToriiは思っています。
〇配信予定日
Part 1 :10/4 Sat 19:00
Part 2 :10/11 Sat 19:00
〇エピソード関連記事ロヒンギャ難民の第二の戦い:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23734390R21C17A1EAC000/
ロヒンギャ難民「未亡人キャンプ」の初夢:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39606400T00C19A1I00000/
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