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1.論文のタイトルSociety of Critical Care Medicine Guidelines for the Treatment of Heat Stroke
2.CitationCrit Care Med. 2025. doi: 10.1097/CCM.0000000000006551
3.論文内容のまとめ本ガイドラインは、熱中症(熱射病)患者の治療におけるエビデンスに基づいた推奨事項を提示したものである。集中治療、救急医学、スポーツ医学などの多職種専門家パネルが、GRADE手法を用いて策定した。
冷却療法については、受動的な冷却方法よりも能動的な冷却方法を強く推奨している。特に、1〜5℃の氷水または9〜12℃の冷水への浸漬が最も冷却速度が速く、利用可能な場合にはこれらを優先すべきとしている。治療の目標は、熱射病の症状を認識してから30分以内に目標体温(39℃未満)に到達させることであり、毎分0.155℃以上の冷却速度を達成できる方法を選択することが推奨される。
薬物療法に関しては、体温調節に影響を与える薬剤の使用を避けるよう勧告している。具体的には、ダントロレンの使用は死亡率の低下や冷却時間の短縮に寄与しないため、推奨されない。また、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、サリチル酸塩などの解熱剤は、熱中症に対して効果があるというエビデンスがなく、むしろ臓器障害のリスクを高める可能性があるため、日常的な使用を避けるべきとしている。さらに、予防的な抗菌薬や抗けいれん薬の投与については、現時点で有益性を示す臨床研究がないため、研究目的以外での使用は控えるべきであると結論づけている。
4.批判的吟味(内的・外的妥当性など)
内的妥当性:本ガイドラインは、系統的な文献レビューとGRADE手法に基づいた厳格なプロセスを経て策定されており、推奨事項の導出過程には透明性がある。専門家パネルの選定においても利益相反の管理が徹底されている。しかし、根拠となるエビデンスの確実性は全体として「非常に低い」と評価されている。これは、熱中症患者を対象とした無作為化比較試験の実施が倫理的に困難であるため、多くのデータが健康なボランティアによる実験的な高体温症モデルや、過去の症例報告、後ろ向き研究に依存していることに起因する。そのため、観察された冷却速度や予後への影響が、実際の重症患者にそのまま当てはまるかについては、統計的な不確実性が残る。
外的妥当性:労作性熱中症と古典的(非労作性)熱中症の両方を網羅しており、プレホスピタルから集中治療室まで幅広いケアの連続性を考慮している点は、臨床現場での汎用性を高めている。一方で、推奨される氷水浸漬は、設備のない austere environment(厳しい環境)や、多数の負傷者が発生した災害現場、資源の限られた地域では実施が困難な場合がある。ガイドライン内でも言及されている通り、臨床医は利用可能な資源や患者の個別の状況に合わせて、これらの推奨事項を適宜調整して適用する必要がある。
By deepER1.論文のタイトルSociety of Critical Care Medicine Guidelines for the Treatment of Heat Stroke
2.CitationCrit Care Med. 2025. doi: 10.1097/CCM.0000000000006551
3.論文内容のまとめ本ガイドラインは、熱中症(熱射病)患者の治療におけるエビデンスに基づいた推奨事項を提示したものである。集中治療、救急医学、スポーツ医学などの多職種専門家パネルが、GRADE手法を用いて策定した。
冷却療法については、受動的な冷却方法よりも能動的な冷却方法を強く推奨している。特に、1〜5℃の氷水または9〜12℃の冷水への浸漬が最も冷却速度が速く、利用可能な場合にはこれらを優先すべきとしている。治療の目標は、熱射病の症状を認識してから30分以内に目標体温(39℃未満)に到達させることであり、毎分0.155℃以上の冷却速度を達成できる方法を選択することが推奨される。
薬物療法に関しては、体温調節に影響を与える薬剤の使用を避けるよう勧告している。具体的には、ダントロレンの使用は死亡率の低下や冷却時間の短縮に寄与しないため、推奨されない。また、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、サリチル酸塩などの解熱剤は、熱中症に対して効果があるというエビデンスがなく、むしろ臓器障害のリスクを高める可能性があるため、日常的な使用を避けるべきとしている。さらに、予防的な抗菌薬や抗けいれん薬の投与については、現時点で有益性を示す臨床研究がないため、研究目的以外での使用は控えるべきであると結論づけている。
4.批判的吟味(内的・外的妥当性など)
内的妥当性:本ガイドラインは、系統的な文献レビューとGRADE手法に基づいた厳格なプロセスを経て策定されており、推奨事項の導出過程には透明性がある。専門家パネルの選定においても利益相反の管理が徹底されている。しかし、根拠となるエビデンスの確実性は全体として「非常に低い」と評価されている。これは、熱中症患者を対象とした無作為化比較試験の実施が倫理的に困難であるため、多くのデータが健康なボランティアによる実験的な高体温症モデルや、過去の症例報告、後ろ向き研究に依存していることに起因する。そのため、観察された冷却速度や予後への影響が、実際の重症患者にそのまま当てはまるかについては、統計的な不確実性が残る。
外的妥当性:労作性熱中症と古典的(非労作性)熱中症の両方を網羅しており、プレホスピタルから集中治療室まで幅広いケアの連続性を考慮している点は、臨床現場での汎用性を高めている。一方で、推奨される氷水浸漬は、設備のない austere environment(厳しい環境)や、多数の負傷者が発生した災害現場、資源の限られた地域では実施が困難な場合がある。ガイドライン内でも言及されている通り、臨床医は利用可能な資源や患者の個別の状況に合わせて、これらの推奨事項を適宜調整して適用する必要がある。