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S2#17 プレゼントのトラウマの話


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星降る夜に、最後の贈り物



雪がちらつく田舎の村。両親を亡くしたミオは、唯一の身寄りであるおじさん・タケルと一緒に暮らしている。


ミオは7歳。幼いながらも両親を失った悲しみを胸に抱えながら、小さな村の静かな日々を過ごしていた。一方で、タケルは無口でぶっきらぼう。都会から逃げるように戻ってきた男で、どこか孤独を漂わせていた。


タケルが子供の扱いに慣れていないことは明らかだった。それでもミオは毎晩、タケルに「絵本読んで」とお願いしていた。タケルは仕方なく古びた絵本を広げ、ぎこちない声で読むのが日課になっていた。


ある日、ミオは村の古い教会で「星に願いを込めれば叶う」という話を耳にする。純粋な彼女は目を輝かせ、「おじさんもお願いしてみて!」とタケルに提案するが、彼は苦笑しながら「くだらない」と一蹴する。


しかしクリスマスが近づくにつれ、タケルはある思いを胸に抱え始める。それは、ミオに“最後の贈り物”を渡すことだった。


クリスマスイブ


その夜、タケルはミオを連れて村の小高い丘に向かった。冷たい空気の中、満天の星が輝いている。タケルはポケットから小さな箱を取り出し、ミオに手渡した。


「これは、お前の母さん…俺の妹が大事にしてたものだ。ずっと渡すタイミングを迷ってたけど、お前が星にお願いをするなら、これを持っていなきゃ意味がない。」


ミオが箱を開けると、そこには星型のペンダントが入っていた。


「お母さん、これつけてたの?」

「そうだ。どんなに辛い時も、これを握りしめて前を向いてた。」


ミオはペンダントを握りしめ、夜空に向かってこうつぶやいた。

「お母さん、お父さん、いつかまた会えますように。」


タケルはそっとミオの肩を抱き寄せ、空を見上げた。その目には、彼が長らく閉じ込めていた涙が光っていた。


この夜、タケルの心にもまた一筋の星が輝き始めていた。

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