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S2#26 人間関係よりカードゲームを選んだ男の話


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『ショユータ、蟲神器を極める』


1話:狂気の少年、カードを手にする


「これが……蟲神器か……」


廃ビルの屋上。崩れかけたフェンスにもたれかかり、少年・ショユータは震える指で一枚のカードを握りしめていた。

その目は異様にギラつき、口元は不敵に歪んでいる。


蟲神器——それは昆虫をモチーフにしたカードバトルゲーム。全国大会まで開催されるほどの人気を誇るが、ショユータにとっては今日が初めてのプレイだった。


「蟲……いいね……小さくて、強くて、残酷で、合理的……最高じゃないか……」


少年はハイエナのような笑みを浮かべた。



2話:天才、覚醒する


翌日——


「えっ、お前初心者なんだよな!? なんでそんな強ぇんだよ!」


カードショップ『バグズ・ネスト』。ショユータはたった二時間で店の常連を全員叩きのめした。

そのプレイングは異常だった。


「このターンでお前は詰んだよ。」


対戦相手がカードを引く前に、勝利宣言。だが、その通りになる。

相手のデッキ、手札、思考すら読んでいるかのような戦い方。


「いや、ありえねぇ! 初心者がそんな……」


「初心者……?」ショユータの目が狂気に濁る。「違うよ。俺は……全知全能の神さ。」



3話:戦いの舞台へ


「……大会、出るのか?」


カードショップの店長・タケオが呆れ顔で聞くと、ショユータは不敵に笑った。


「当然。蟲の王として、俺がこのゲームの頂点に立つ。」


かくして、狂気の天才は全国大会へと歩みを進めるのだった——。



4話:全国大会、開幕!


日本最大のカードバトルイベント——『蟲神器グランドマスターズ』。


全国から集まった猛者たちが一堂に会するこの舞台に、狂気の少年ショユータは現れた。

彼のデッキは、誰も見たことのない構築。**“バグ・エンペラー”**を中心にした超攻撃型で、誰もが「無理がある」と笑うようなデッキだった。


——だが、違った。


「この蟲たちは俺の分身さ。」


予選開始。ショユータは初戦から4ターンキルの連発。


「は、速ぇ! しかも、戦略が意味不明なのに勝ってる……!」


「バカな……! こいつ、カードを“操って”いる……?」


観客席がざわつく。対戦相手は恐怖で手が震えていた。


彼は、読んでいる。

デッキの流れ、相手の心理、すべてを超越した異常なプレイング。


そして、ショユータは決勝へと駒を進める。



5話:決勝戦——神を名乗る男


「決勝で待ってるぞ、狂気の天才くん。」


ショユータの前に立ちはだかったのは、蟲神器界のレジェンド——神無月(かんなづき)レイジ。


「ふーん……アンタがボスキャラか。」


「ほう、ボスキャラ扱いとは光栄だね。でも君に勝ち目はないよ。」


レイジのデッキは完全無欠。どんな戦法も通じない。

過去五年間、誰も彼を倒せなかった。


しかし——


「いや、俺が勝つよ。」


「……ほう?」


「俺は……すでに“見えている”んだ。」


ショユータは不敵に笑い、カードを引いた。



6話:世界を超越する一手


「行くぜ……《バグ・エンペラー—無限進化》発動!」


「なっ!?」


ショユータの場に、未発表のカードが現れる。

それは、公式すら存在を認めていないカード——


「ま、まさか……! お前、ゲームの枠を超越したのか……!?」


「そうさ……これは、俺だけの道……」


レイジの場は一瞬で制圧される。


「俺の勝ちだ。」


その瞬間——


レイジのライフがゼロになった。


ショユータ、優勝。

全知全能の神、誕生——。



7話:狂気の果てに


表彰式。優勝トロフィーを手に、ショユータは高らかに笑う。


「ははははは!! 俺は神だ!! 蟲神器の神だ!!」


だが、司会者が震える声で告げる。


「……実は、君の勝利は公式ルール上、認められない。」


「……は?」


「君の使ったカード、《バグ・エンペラー—無限進化》は……存在しないカードだ。」


「……いや、あるよ?」


ショユータはカードを掲げる。


「ほら、ここにある。俺の手に。」


しかし、誰もそれを見ることはできなかった。


「お前……何と戦ってたんだよ……?」


会場に、恐怖の沈黙が流れた——。


(完)

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