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S2#3 偏見と固定概念の話


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「オーガニック・ブラザーズ」



ヒロシとタケシは、都会の喧騒にうんざりしていた。日々のストレスが二人を追い詰め、とうとう「自然に帰ろう!」とオーガニックな生活を求めることにした。しかし、問題は二人とも農業の「の」の字も知らなかったことだ。


第一章:「旅立ちの時」


タケシが会社を辞めた日は、まさに劇的だった。大都会のオフィスで、彼は突然立ち上がり、「もうやってらんねぇ!」と叫んでデスクを蹴り飛ばした。そして、そのままヒロシの元へ。「お前も来いよ、俺たちでオーガニック農業をやるんだ!」と勢い込んで誘った。


ヒロシは驚いた。真面目で計画的な彼にとって、こんな無茶な誘いは聞いたことがない。だが、仕事で疲れ果てていた彼は、「一度くらい、流れに身を任せてみるか」とタケシの誘いに乗ることにした。


第二章:「初めての土いじり」


田舎の古びた小屋に二人が到着した日、空は青く、鳥たちが楽しげにさえずっていた。二人は畑を前に立ち、夢見るような眼差しを交わした。


「俺たちの未来、ここにあるんだな!」タケシがスーツ姿で大声を上げた。


「ちょっと待て、スーツで農業する気か?」ヒロシは目を疑った。


「これが俺の農業スタイルだ!」タケシは胸を張るが、畑に一歩踏み出した瞬間、スーツは土で真っ黒に。「ああ、これじゃオーガニックどころか、ただの泥んこ遊びだ!」タケシは苦笑しながら、結局ジーンズに着替えることに。


ヒロシは真剣な表情で、インターネットで得た知識を元に畑を耕し始める。ところが、野菜の苗を上下逆さまに植えてしまうという大失態。「どうして芽が土の中に生えてこないんだ?」と首をかしげるヒロシに、タケシは大爆笑。


第三章:「オーガニックな夕食」


数週間後、二人はついに自分たちの畑で収穫した野菜で夕食を作る日が来た。ところが、収穫した野菜は虫食いだらけだった。


「まあ、虫もオーガニックだし、栄養価高いっしょ!」とタケシは楽観的だが、ヒロシは絶望の表情。「このままじゃ、オーガニックどころか、生き残れない!」と悲鳴を上げる。


結局、二人のオーガニック夕食はカップラーメンで済ませることになった。「次は絶対にもっと上手くやる!」と誓いながら、ラーメンをすする二人。


第四章:「収穫の喜びと笑いの涙」


そしてついに、二人が苦労の末に育てた野菜が実を結んだ。田舎の住民たちを招いて、収穫を祝うパーティーを開くことにした。テーブルには色とりどりの野菜が並び、二人は満面の笑みを浮かべていた。


ところが、タケシがふとヒロシに耳打ちした。「なあ、あれ、ちょっとスーパーで買ったんだろ?」


ヒロシは顔を真っ赤にして、「バレるか?」と小声で返す。タケシは大笑いしながら、「味さえ良ければオーガニックさ!」と声を上げ、パーティーの雰囲気は一層和やかに。


エピローグ:「次こそは本物のオーガニックを」


パーティーが終わり、畑の真ん中で二人は肩を組んで空を見上げた。「次こそは、スーパーには頼らないぞ!」とヒロシが言うと、タケシはニヤリと笑って「もちろんさ、だって俺たち、オーガニック・ブラザーズだろ?」と答えた。


その言葉に二人は再び大笑いし、星空の下で新たな決意を胸に刻んだ。次の収穫まで、まだまだ笑いと苦労の日々は続くだろうが、それこそが彼らのオーガニックな人生の一部だった。


終わり。

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