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S2#30 キスマークの話


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「キスマークは誰のもの」



昼休み、ファビオが首筋にキスマークをつけて出社してきた。


「マジで?どうしたのそれ…」

「ん〜、まあ……来ちゃったのかもな、俺のモテ期」


妙に自信に満ちた笑顔。

その日を境に、ファビオのまわりに女が寄ってきた。


ミキは弁当を分けてくれ、ユリは彼の手にわざと触れ、ついにはあの高嶺のアオイまでが夜の公園で「キス、してもいいですよ」と言った。


ファビオは勘違いした。

これは運命だ、と。

愛されている、と。

自分が“選ぶ側”になったのだ、と。


でも全部、最初のキスマークが原因だった。


ただの飲み会ノリで、酔っ払ったゲイの同期がつけたやつ。

それが“リアルな女の証拠”に見えたことで、噂が立ち、周囲が「ファビオって実はモテる?」と錯覚し始めたのだ。


アオイのキスも、罰ゲームだった。

ユリの触れた手は、手汗チェックだった。

そして唯一、純粋に彼を好いていたミキは——

ファビオが「お前はキープで」と言ったLINEを見て、泣いて辞めた。


数日後、ファビオはまた一人になった。

キスマークの痕だけを、そっと指でなぞりながら。

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