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『怒りの矛先、間違えてますよ?』
ラッキー君はコンビニ前でストローを噛みながら言った。
「さぁ今日も一日、不細工にぶち壊されたわ」
ドラゴニア君は缶コーヒーを開けると鼻で笑った。
「またブスか?お前の生活、ブスで構成されてるのか?」
「違ぇよ。朝の満員電車で、前に立ってた女の鼻の穴がデカすぎて。俺、それ見て一日テンション死んだんだよ。もう穴に吸われるかと思った」
「お前が見なきゃいいんだろ」
「見たくなくても目に入ってくるのよ。あれもう武器だろ。顔面生物兵器。整形って防災じゃね?」
ドラゴニア君は笑いながらも、顔が引きつっていた。
「俺も今日は地獄だったよ。昼休み、職場の派遣が俺の弁当見て『うわ、男のくせに手作りですかぁ?女子力~』とか言ってきてさ」
「うわ、それは刺すやつだ」
「だろ?で、そいつインスタで“#自炊男子尊い”とかタグつけてイケメンの弁当にはいいね押してんの。つまり俺は尊くないの」
「お前が尊くないのは元からじゃね?」
「お前にだけは言われたくねぇ」
ふたりとも目の下にクマ、口には悪意。
それでも日々を生きていた。
「でもなぁ、最近気づいたんだわ」
ラッキー君が煙草に火をつける。
「結局、可愛い子が笑ってるとイラッとするのは“幸せそうだから”で、ブスが笑ってるとムカつくのは“何か勘違いしてるから”なんだよな」
「人としての感情が腐ってるな。俺でも引くわ」
「お前も毒持ってんだろ、吐いてけよ」
ドラゴニア君はしばらく黙っていたが、やがて小さく呟いた。
「俺、昨日アイドルの推しが結婚して、祝福コメント送ったけど……内心、“こいつも裏でクソして寝てるだけの女か”って思ってた」
ラッキー君は爆笑した。
「お前もだいぶ病んでんな。もう人間やめよっか」
「いいね。全人類ブロック機能が欲しい」
「てか地球ごとミュートにしてぇわ」
笑ってんのか怒ってんのかもわからず、ふたりは残った毒を吐き合いながら、夜の闇に紛れていった。
『怒りの矛先、間違えてますよ?』
ラッキー君はコンビニ前でストローを噛みながら言った。
「さぁ今日も一日、不細工にぶち壊されたわ」
ドラゴニア君は缶コーヒーを開けると鼻で笑った。
「またブスか?お前の生活、ブスで構成されてるのか?」
「違ぇよ。朝の満員電車で、前に立ってた女の鼻の穴がデカすぎて。俺、それ見て一日テンション死んだんだよ。もう穴に吸われるかと思った」
「お前が見なきゃいいんだろ」
「見たくなくても目に入ってくるのよ。あれもう武器だろ。顔面生物兵器。整形って防災じゃね?」
ドラゴニア君は笑いながらも、顔が引きつっていた。
「俺も今日は地獄だったよ。昼休み、職場の派遣が俺の弁当見て『うわ、男のくせに手作りですかぁ?女子力~』とか言ってきてさ」
「うわ、それは刺すやつだ」
「だろ?で、そいつインスタで“#自炊男子尊い”とかタグつけてイケメンの弁当にはいいね押してんの。つまり俺は尊くないの」
「お前が尊くないのは元からじゃね?」
「お前にだけは言われたくねぇ」
ふたりとも目の下にクマ、口には悪意。
それでも日々を生きていた。
「でもなぁ、最近気づいたんだわ」
ラッキー君が煙草に火をつける。
「結局、可愛い子が笑ってるとイラッとするのは“幸せそうだから”で、ブスが笑ってるとムカつくのは“何か勘違いしてるから”なんだよな」
「人としての感情が腐ってるな。俺でも引くわ」
「お前も毒持ってんだろ、吐いてけよ」
ドラゴニア君はしばらく黙っていたが、やがて小さく呟いた。
「俺、昨日アイドルの推しが結婚して、祝福コメント送ったけど……内心、“こいつも裏でクソして寝てるだけの女か”って思ってた」
ラッキー君は爆笑した。
「お前もだいぶ病んでんな。もう人間やめよっか」
「いいね。全人類ブロック機能が欲しい」
「てか地球ごとミュートにしてぇわ」
笑ってんのか怒ってんのかもわからず、ふたりは残った毒を吐き合いながら、夜の闇に紛れていった。