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Remi’s Social media
https://www.instagram.com/piumaneri/
愛と税金とオレジの皮
――裏切りより苦いのは、レモンか、オレジか。
バー「果汁100%」は、夜になると静かに灯る。
マスターのガン太は無口な男で、元・税理士。
過去に顧客の愛人とのスキャンダルがバレて廃業したが、税金への恨みだけは今も胸に生きている。
その横で、やたら声がデカく、色気のないスーツに身を包むオレジがカクテルを振っている。
柑橘系男子を名乗りつつ、最近「果汁10%」と陰で呼ばれているのに本人だけが気づいていない。
そこへ毎晩やってくるのが、常連のレーナ。
営業帰りにスーツのまま、カウンターで「男ってさ、バカよね」と笑うその姿に、
ガン太もオレジも、胸の何かを絞られていた。
三人の関係は、言うならば“沈黙の三角関係”。
ガン太は言えず、オレジは見せびらかし、レーナは火をつけて、どこかへ去る。
そんなある夜、レーナが言った。
「ねぇ、今日、どっちかに決めようと思うの」
カウンターが凍る。
ガン太は手元のグラスを、オレジは自分の髪型を気にしていた。
「ガン太も、オレジも、それぞれ魅力的なのよ。
だけど、やっぱり私は……」
そのとき、ドアの奥からひょっこり顔を出したのは、会計係のミカ。
ボブヘアに無表情。愛想はないが、計算は早い。
レーナが笑った。
「……私は、ミカにする」
「……は?」
「私ね、女の子の方が合ってるって最近気づいたの。ミカとは、もう1ヶ月くらい…その、ね?」
沈黙。
ガン太はグラスを落とした。
オレジは鏡で自分の顔を見た。
なんでこんなにツヤがないのか、と。
「……俺の皮、全部むかれてたんだな」
「愛も、税金も、控除されるんだな……」
ミカが一歩、前に出る。
「ちなみに、レーナの保険も私が組んでます。愛も金も、既に確保済みです。」
レーナが笑って言う。
「これからは、果汁100%の女だけの夜会、始めるから」
男たちは、ただカクテルを振るだけの果物となった。
酸っぱいのは、レモンか、それとも人生か――。
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愛と税金とオレジの皮
――裏切りより苦いのは、レモンか、オレジか。
バー「果汁100%」は、夜になると静かに灯る。
マスターのガン太は無口な男で、元・税理士。
過去に顧客の愛人とのスキャンダルがバレて廃業したが、税金への恨みだけは今も胸に生きている。
その横で、やたら声がデカく、色気のないスーツに身を包むオレジがカクテルを振っている。
柑橘系男子を名乗りつつ、最近「果汁10%」と陰で呼ばれているのに本人だけが気づいていない。
そこへ毎晩やってくるのが、常連のレーナ。
営業帰りにスーツのまま、カウンターで「男ってさ、バカよね」と笑うその姿に、
ガン太もオレジも、胸の何かを絞られていた。
三人の関係は、言うならば“沈黙の三角関係”。
ガン太は言えず、オレジは見せびらかし、レーナは火をつけて、どこかへ去る。
そんなある夜、レーナが言った。
「ねぇ、今日、どっちかに決めようと思うの」
カウンターが凍る。
ガン太は手元のグラスを、オレジは自分の髪型を気にしていた。
「ガン太も、オレジも、それぞれ魅力的なのよ。
だけど、やっぱり私は……」
そのとき、ドアの奥からひょっこり顔を出したのは、会計係のミカ。
ボブヘアに無表情。愛想はないが、計算は早い。
レーナが笑った。
「……私は、ミカにする」
「……は?」
「私ね、女の子の方が合ってるって最近気づいたの。ミカとは、もう1ヶ月くらい…その、ね?」
沈黙。
ガン太はグラスを落とした。
オレジは鏡で自分の顔を見た。
なんでこんなにツヤがないのか、と。
「……俺の皮、全部むかれてたんだな」
「愛も、税金も、控除されるんだな……」
ミカが一歩、前に出る。
「ちなみに、レーナの保険も私が組んでます。愛も金も、既に確保済みです。」
レーナが笑って言う。
「これからは、果汁100%の女だけの夜会、始めるから」
男たちは、ただカクテルを振るだけの果物となった。
酸っぱいのは、レモンか、それとも人生か――。