今回から2回にわたってサステナビリティ経営をテーマに、そもそもサステナビリティ経営とは何か、サステナビリティ経営に企業が取り組む意義、またはメリットは何かについて話していきます。サステナブルあるいはサステナビリティという言葉は最近様々な場所で見ることができるかと思います。サステナビリティまたはサステナブルというのは今のブームの言葉ともいえるかもしれません。このブームといえるサステナビリティを経営に取り入れたものがサステナビリティ経営となるのですが、これはいったい何を意味するのでしょうか。まずはこのあたりを話していきます。
SDGsとサステナビリティ、実は接点が結構あります。SDGsのSもそうですが、サステナビリティは持続可能性という意味の言葉がありそれを形容詞化したものがサステナブルになります。サステナビリティ経営とは、直訳すれば長期にわたり持続可能な経営となります。長く続く経営ということです。このように説明するとたまに学部の学生からは長期にわたり倒産しない経営ですか、老舗の話ですかという質問がきますが、サステナビリティ経営はこれとは少し異なります。企業の経営と成長が長く続くための経営という面では老舗の経営と共通した意味がありますが、サステナビリティ経営において、持続可能性への配慮やアクションが求められる範囲は企業の経営に限らずより大きなものになります。簡単に言えば企業の事業の存続や企業そのものの存続だけではなく、社会や環境経済、それそのものへの持続可能性への配慮や貢献が求められるのがサステナビリティ経営になります。簡単に定義すればサステナビリティ経営とは企業活動が社会や環境や経済に大きな影響を与えることを自覚して、これらの要素も持続可能なように配慮することによって自ら自社の経営の持続性を向上させる経営となります。つまり、社会や環境への負担というものを考えないで、これらを一方的に利用して自社の利益を追求するような経営をするのではなく、社会環境経済にとっても自社にとっても良い、いわば企業と社会環境経済がwin-winになる経営、これを目指すことがサステナビリティ経営の本質であるといえるかもしれません。
これまでこのように社会環境経済と企業の経営がwin-winになる経営を目指す概念、これは非常に多く提示されてきました。特に1980年代以降は様々なものが提示されています。たとえば企業が事業を通じて社会課題の解決に対応することで経済的価値と社会的価値の両方を創造することを試みたアプローチである「共通価値の創造」、マイケル・ポーターが提唱したCSV(Creating Shared Value)と呼ばれるものですが、これもその1つになります。また、身近なものでは事業活動における環境負荷の発生を抑制して、さらにグリーン調達や環境配慮製品の提供などを通じて持続可能な消費と生産を促進する環境配慮経営、これもその1つであると考えられます。ただしサステナビリティ経営は社会環境経済の持続性に対して以前の概念よりも積極的な貢献を求めている点、ここが大きく異なります。特に違う点は企業の基本的な経営の視点を企業の事業や資源をベースにしたインサイドアウトなアプローチから、社会が直面する持続可能性に関する課題に焦点をあてたアウトサイドインのアプローチにシフトすることを企業に求めている点が、サステナビリティ経営がそれまでの概念と大きく異なる点であると指摘できます。
ここが一番理解しにくいところだと思います。まず、これまでの視点であるインサイドアウトのアプローチとは、簡単に言えば企業が今持っている商品やサービス、技術力などの経営資源をもとに解決できる社会的課題を探して取り組むアプローチといえます。他方で、新しいアウトサイドインのアプローチとは企業の外部、すなわち世界や社会で解決すべき課題は何か、これを中心に考えてその解決をするために自社がやるべきこと、設定すべき目標を定めていくというアプローチになります。より簡単に言えば、インサイドアウトなアプローチが今できることをベースとしている点に対して、アウトサイドインのアプローチは出来る、出来ないはいったん横に置いておいて、世界や社会に対してすべきことをベースとして社会環境経済の持続性に貢献できることを探すアプローチになります。世界的な社会課題の解決にはどこかで「できっこない」をやらなくてはという発想も必要になり、今お話したアウトサイドインのアプローチが求められ、これをサステナビリティ経営では求めていることになります。
今日のまとめです。サステナビリティ経営とは企業活動が社会環境経済に大きな影響を与えることを自覚し、これらの要素が持続可能なように配慮することによって企業経営の持続性を向上させる経営となります。サステナビリティ経営では世界的な社会課題の解決に対して企業がより積極的な役割を果たせるようにアウトサイドインのアプローチが求められています。