SCB PODCAST#133は『アメリカ現代文学の新鋭 キャサリン・レイシー『PEW』を読む』です。人はアイデンティティを持たないと、社会的に存在することが出来ないのだろうか。この物語の語り部PEWは、一見して人種もジェンダーも分からない人物として描かれる。形のないものを絶対的になものとして、信じてしまう怖さを感じた作品でした。それでもPEWの飄々と何者にも臆さない態度はなんか良いんですけどね。【作品紹介】舞台はアメリカ南部の小さな町。教会の信徒席で眠る「わたし」を町の住人はピュウ(信徒席)と名づけた。外見からは人種も性別もわからず、自らも語ろうとしないピュウの存在に人々は戸惑う。だが次第に町の隠れた側面が明らかになり……。気鋭の作家、キャサリン・レイシーが人種や性の枠組みを揺さぶる、挑発的な意欲作。