偸盗が書かれたのは昭和三十六年のこと。山本周五郎このとき五十八歳
前年に書かれた青ベか物語が文藝春秋読者賞に推された(辞退している)。この頃、体力の衰えから作品数は少なくなったが、反面代表作にあげられるような名作がでそろった。長編「虚空遍歴」もこの年の三月に連載がはじまっている。
偸盗は平安時代を舞台に、自らを酷薄無残であると連呼しながら、どこかしら間抜けでお人好しの自称大泥棒が、貴族ばかりを狙いながら、いつも煮え湯を飲まされ、最後には姫君の誘拐に手を出すけれど、これにも悲喜劇的な結末が待っていて……というお話。
同年に書かれた地蔵にもどこか通ずるような、著者得意の滑稽物なんですが、偸盗は語りに仕掛けがあって、主役の鬼鮫が、読者にむかってたびたび語りかける、という手法がとってあります。この幕間の呼びかけによって、鬼鮫の滑稽ぶりがいっそう際立つという仕掛けで、さすが円熟期の山本周五郎。ぶっとび姫のキャラもたっていて、笑える一編となっております。
■登場人物
鬼鮫……盗人。
耳助……左大臣家の小舍人。鬼鮫の手先を勤める。
つねみち……左少弁。左大臣の甥。
品子姫……中将の娘。鬼鮫に誘拐される。
中将……綾小路。品子姫の父。
■用語集
■「偸盗」目次
0:00 一
16:25 二
21:36 三
40:48 四
1:00:38 五
1:06:59 六
1:13:06 七
■そのほかの傑作職人もの
ちいさこべ → https://youtu.be/Wmzd48OURso
おたふく三部作 → https://youtu.be/I1rRxXQgWvo
立春なみだ橋 → https://youtu.be/rTwRZPWo7Os
■山本周五郎サムライ劇場
ちくしょう谷 → https://youtu.be/G_EzCJ9XFwo
日日平安 → https://youtu.be/4Aw1GrJCaj0
夜明けの辻 → https://youtu.be/Q9AbUKM73zY
町奉行日記 → https://youtu.be/1lhBF39QdGk
いさましい話 → https://youtu.be/QCcLS3e3VX4
大炊介始末 → https://youtu.be/gDXEmePeaH0
人情裏長屋 → https://youtu.be/dw4QwHmyJHQ
泥棒と若殿 → hhttps://youtu.be/W88fJoaBSOQ
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