Share 朗読のアナ 寺島尚正
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主人公は黒い野良猫が泰然と近所を徘徊する姿を目にします。そのうちに家のなかに勝手に入り込んでくるようになり、ついには祖母に捕らわれます。療養生活を送ってきた主人公は、黒猫の周囲を意に返さず孤塁を守るような佇まいに共感を覚えますが、祖母にとってその黒猫は害悪でしかありませんでした。
お茶を飲もうと口元に引き寄せた茶碗の中に、思いもかけぬものが現れます。不思議は何のかかわりもなく突然に、身に降りかかってくることがあります。理由も因縁も描かれていないこの短編を完結させるのは、あなたの想像力です。
満員電車で座ることの出来なかった主人公は、車内を観察しながら、席に着くべき人や譲るべき人について思いを巡らします。他人の自分勝手な態度に立腹しますが、思いやりや優しさを失わずに過ごしていくことはそう簡単ではありません。正しくありたいと思っている自分に、醜さを発見し愕然とします。
日本が近代化に向かうなかで、持つ者と持たざる者の差が開く一方で、労働者階級の意識も高まり連帯して労働条件を変えようという運動が盛んになったころのことです。若く真面目な青年機関士が、薄幸な運命を生きる女と知り合いますが、思わぬ仲間の行動が女の運命を変えてしまいます。
谷崎潤一郎のマゾヒズム小説のなかでも人気の高い作品です。気難しそうな哲學者蘿洞先は、取材に来た記者の質問になに一つまともに答えず、教職者としての熱意も一向に感じさせません。記者は取材の帰り際に、そんな先生の思わぬ姿を目にします。
昭和の初めの大阪、当時の下働きの使用人の暮らしぶりや人生をしみじみと感じさせる話です。商家での雇われの身は、今の労働者や被雇用者でもなく、勤め人とも違う住み込みで、職場そのものが人生の置き場でした。同じ毎日を繰り返していた使用人の人生が、大金を持って使いに出されたことで変わっていきます。
中国の唐の時代を舞台にした短編です。地方官吏が常日頃から悩まされている持病の頭痛を、貧しい身なりで流浪する僧が直してくれます。その力に驚いた官吏は、その僧から本当に凄い人物のことを教えられます。森鴎外が子供を楽しませるために話した内容を、小説に仕立て直しました。
宮沢賢治作品のなかでも人気の高い寓話です。時の流れとともに土地も暮らしも変わっていきますが、いつの時代にも人の心を豊かにしてくれるものがあります。その価値がわかるのは、利にさとい人でもなく、自分を賢いと思っている人でもなく、純粋な心を持った人です。
菊池寛が歴史について書いた作品は、大衆向けでわかりやすくエピソードなどを織り交ぜながら飽きさせずに歴史の面白さを教えてくれます。特に時代を動かした人物については、ポイントを抑えながら生き生きと描き出すことに定評がありました。
山本周五郎の滑稽ものには、ときおり粗忽者が登場します。この短編には幾人もの粗忽者が登場しますが、舞台が落語の長屋と違い堅苦しい作法にしばられた武家社会だけに、ひと味違う可笑しみがあり、劇的な役割を果たすことになります。
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