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父を亡くしたあと静かに暮らす母娘。娘は年ごろとなり、十八歳違いのまだ若い母がいます。荷風らしく娘の心理や家庭内の微妙な空気を流麗な筆致ですくい上げた叙情的な作品です。大正の終りに発表された作品です。
成就しなかった恋愛に秘められた謎を、江戸川乱歩らしく暗号で解き明かします。兄は遺品の中にあった日記帳を開いて、それまで知らなかった弟の姿を知ることになります。弟が心のうちに隠していたものは何だったのでしょうか?
現代の推し活にも通じる大正時代の恋愛の話です。久しぶりに再会したかつて馴染みだった女は、手の届かない相手に恋をしていました。一方的な恋心のエゴと儚さが、可笑し味をもって描かれます。
山本周五郎が昭和9年に発表した作品で、時代ものではなく書いた時代を舞台とした当世小説です。旅の滞在先で知り合った老人の話から、人生のかけ違いや、もしかするとありえたもう一つの人生について、しみじみと考えさせられる作品です。
貴金属店に勤める清三は、仕事を終えた帰り道、男に尾行されているような気がする。徐々にそれは確信に変わる。なぜなら清三には心当たりがあった。尾行されているうちに、やましい思いに追い詰められ、清三は一つの決心をして行動に出ますが・・・。
夏の海岸の岩かげにいると、別れ話が聞こえてきます。別れを言い渡す女が気になり、その姿をかげからのぞき見ると、あまりにも魅力的で、忘れられなくなってしまう。夏の休暇が終わり戻った街で、思わぬ時に、思わぬ場所で女と再会します。その女の正体こそ、最も思いかけないものでした。
狐が化けて人を騙す話は日本各地に残されています。昔からおかしなことに出くわすと、人は狐のせいだといいますが、本当にそうなのでしょうか?正々堂々まっすぐに生きていれば、狐は寄ってこないともいわれます。人間はどんな時に、狐に騙されるのでしょうか?
粋人の旦那に囲われ、そのおかげで芸事に通じ教養を身につけて一流の芸者になったものの、彼女の幸せはそこに無く、つまらぬことで恵まれた環境から逃げてしまいます。その出来事を題材に話し合う大正時代のインテリたちの会話に、高踏的な憂鬱が感じられる作品で、当時の芥川の心境を映し出した作品とも言われています。
各地が焦土と化した敗戦から、日本はわずか十数年で高度成長の波に乗り復興を成し遂げます。終戦直後は一家の支柱を喪失した家族も多く不安のなかで道徳も乱れましたが、復興とともに家族の幸福も取り戻されていました。戦後の混乱期に秘密の出来事を共有した二人が、偶然再会し探り合うようなやりとりをはじめます。
芥川龍之介の切支丹物と言われるジャンルの作品です。処刑場に引き出されたキリシタンの少女は、崇高な信仰心と俗世を生きる人間の現実との間で揺れ動きます。宗教の殉じた少年を描き傑作と評される「奉教人の死」と対をなす作品で、時を経るにつれ再評価の声が高まっている短編です。
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