序）「聖絶」の物語が神のことばである意味

・「聖絶」＝「ヘレム（ヘブル語）」の訳語として創られたもの。「全滅される」という訳語が他に見られるが、正確ではない。

・ヨシュア記全体の中で「聖絶」は繰り返されるキイワードである。聖絶なくして、約束の実現はない。

１）「聖絶」―その意味と目的

・基本的な意味は「使用禁止にすること」英語で言えば BAN cf.垢バン

・ある生活世界への進入が禁止され、追放状態になると、いのちが絶たれるに等しい場合が起こる。からだは生きていても、新しい生き方を探さなくてはならない、死んだ状態に陥る。

・基本的な目的は「神様との純粋な関係を保つこと」ヘレムと同じ語源から「ハーレム」という言葉ができる。婚姻関係にある男女の間に別の異性の進入を許さないのが「ハーレム」これが神との関係に適用される。

２）エリコの聖絶とアカンの聖絶

・エリコの聖絶＝エリコとその中にあるすべてのものをイスラエルの中に取り込まないこと。それは偶像礼拝が入り込むことを防ぐため。

・エリコの人々はどうなったのか。ラハブは聖絶から除外され、イスラエルに加えられる。それ以外の人々は①戦争捕虜としてイスラエルに入ることがない②剣の刃（強制力をもって）「追い払われる」＝難民となる。③エリコの再建（再結集）が起こらないように王族は滅ぼされる。

・エリコの社会は、非常によくない状態に陥っていて、神様のさばきを受けた。イスラエルはその代行者として用いられた。

・この戦いにおいて、アカンは使用禁止のもの（ヘレム）を中に取り込んだ。それゆえ、イスラエルは神の器として使用禁止になった。

３）新約における聖絶―「使ってはいけないもの」

・新約の神の民＝教会が使ってはいけないのは、この世にある誇り（出自、経済力、学力や学歴、職歴や業績、社会的地位等）

・ガラテヤ人への手紙は新約における「ヘレム」＝「アナテマ」を扱っている。教会の中にランク付けがされることが起こったなら、決然とした対処が必要で、放置されると教会が教会でなくなる。

・クリスチャン個人としても、これを絶つことなしに、成長はない。

結）私たちの聖絶―十字架によって達成されたこと

・主イエスを信じた時、私の古い人はキリストとともに十字架で聖絶された。だから十字架を誇りとすることに立ち続ける戦いにより、約束の実現に近づく。