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弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、先週のFOMCを踏まえた投資の見通しを検討し、株式市場が最近の調整から本格的に反発できるか予測する上で重要なシグナルを列挙します。
このエピソードを英語で聴く。
トランスクリプト
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン.
今回は最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、最近の株価上昇と、それが持続可能な理由についてお話します。
このエピソードは3月24日 にニューヨークにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
先週のFOMC会合の結果に多くの市場参加者は安堵したようです。というのは、パウエル議長はFRBの使命において経済成長の重視を若干強め、インフレに対する懸念を重要視しなかったように見えたためです。FRBはまた、バランスシート縮小のペースを若干緩めることも決定しました。この展開は一部の予想より早いもので、FRBが必要に応じて行動する体勢にあることがうかがわれます。今後について見ると、現在、投資家の注目はもっぱら相互関税の発表が予定される4月2日に集まっています。これがカタリストとなって関税の税率や対象となる国や製品の範囲が一段と明確になる可能性はありますが、これですべてが決まるのではなく、むしろ関税交渉の出発点になると弊社は考えています。要は、労働市場が大幅に軟化するか、クレジットおよび資金調達市場が一段と不安定になる必要があるとは見られるものの、FRBプットは、トランプ・プットよりもイン・ザ・マネーに近いように見えます。
これまでのところ、DOGEによる人員削減は、新規失業保険申請件数や全体の失業率といった指標にはほとんど影響を与えていません。大半に解雇手当が支給されるため、職員のレイオフから失業者として表われるまでに時間がかかる可能性もあります。労働市場に関するより重要な疑問は、最近の株価下落、信頼感の低下および経済や貿易の不透明感の強まりが、民間部門のレイオフにつながるのかどうかです。弊社エコノミストの基本ケースでは、こうした要因が今年は失業サイクルにはつながらないと想定しています。しかし、雇用者数、失業保険申請件数および失業率は、今後の見解にとって極めて重要な、注視すべき情報とみています。
通常通り、S&P 500株価指数だけを見たのでは、株式市場の調整の度合いを完全に説明することにはなりません。先週申し上げたように、株式市場は2022年の弱気相場と同じ程度の売られ過ぎになりました。これが底なのか、それともより厳しい状況の始まりなのでしょうか?経験から申し上げますと、株価のモメンタムが底にある局面で、ボラティリティが終息することは稀です。ただし、こうした状況から力強く上昇する可能性もあります。これが、3月13日にS&P 500が上期の予想取引レンジの底である5,500ポイントをつけた時に、弊社が上昇の始まりを予想した理由です。その後これまでに、より低クオリティ、高ベータの銘柄が先行する形で株価は反発してきました。目先はこれが持続し得ると弊社は見ています。ただし、去年 昨年11月以降低調な業績修正を考慮し、中期的にはよりクオリティの高い銘柄をポートフォリオの中核とするのが良いとの見解に変わりはありません。
より具体的には、米国の業績予想修正の主な平均値は1年を通じてまだマイナスにとどまっており、底入れの兆しは見られません。しかし、水面下では業績予想修正トレンドに興味深い変化が見え始めています。その最も顕著な変化は、急激に低下したマグニフィセント7の業績予想修正が、下げ止まったように見えることです。これにより決算発表シーズンを前に、目先、超大型株のアンダーパフォーマンスに歯止めがかかり、2週間前から弊社が予想しているように、S&P 500の下げ止まりに寄与する可能性があります。
これはまた、資金の流れを米国に呼び戻す一因になる可能性があります。米国株式市場をリードしていた高クオリティ銘柄がアンダーパフォームし始めたことが、海外に資金がシフトした一因であると弊社は見ています。したがって、このグループが相対的に力を取り戻せば、ローテーションは米国株に戻るでしょう。
さらに、ドル安によって、欧州企業と比較した相対的な米国の業績下方修正トレンドが反転する可能性があります。昨年末時点では、弊社が直前予想したように、第4四半期決算発表において、大幅なドル高が相対的な業績予想修正の逆風になっていました。これが第1四半期決算の発表では追風に転じ、少なくとも一時的に米国株に資金が戻る可能性があります。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、先週のFOMCを踏まえた投資の見通しを検討し、株式市場が最近の調整から本格的に反発できるか予測する上で重要なシグナルを列挙します。
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「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン.
今回は最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、最近の株価上昇と、それが持続可能な理由についてお話します。
このエピソードは3月24日 にニューヨークにて収録されたものです。
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先週のFOMC会合の結果に多くの市場参加者は安堵したようです。というのは、パウエル議長はFRBの使命において経済成長の重視を若干強め、インフレに対する懸念を重要視しなかったように見えたためです。FRBはまた、バランスシート縮小のペースを若干緩めることも決定しました。この展開は一部の予想より早いもので、FRBが必要に応じて行動する体勢にあることがうかがわれます。今後について見ると、現在、投資家の注目はもっぱら相互関税の発表が予定される4月2日に集まっています。これがカタリストとなって関税の税率や対象となる国や製品の範囲が一段と明確になる可能性はありますが、これですべてが決まるのではなく、むしろ関税交渉の出発点になると弊社は考えています。要は、労働市場が大幅に軟化するか、クレジットおよび資金調達市場が一段と不安定になる必要があるとは見られるものの、FRBプットは、トランプ・プットよりもイン・ザ・マネーに近いように見えます。
これまでのところ、DOGEによる人員削減は、新規失業保険申請件数や全体の失業率といった指標にはほとんど影響を与えていません。大半に解雇手当が支給されるため、職員のレイオフから失業者として表われるまでに時間がかかる可能性もあります。労働市場に関するより重要な疑問は、最近の株価下落、信頼感の低下および経済や貿易の不透明感の強まりが、民間部門のレイオフにつながるのかどうかです。弊社エコノミストの基本ケースでは、こうした要因が今年は失業サイクルにはつながらないと想定しています。しかし、雇用者数、失業保険申請件数および失業率は、今後の見解にとって極めて重要な、注視すべき情報とみています。
通常通り、S&P 500株価指数だけを見たのでは、株式市場の調整の度合いを完全に説明することにはなりません。先週申し上げたように、株式市場は2022年の弱気相場と同じ程度の売られ過ぎになりました。これが底なのか、それともより厳しい状況の始まりなのでしょうか?経験から申し上げますと、株価のモメンタムが底にある局面で、ボラティリティが終息することは稀です。ただし、こうした状況から力強く上昇する可能性もあります。これが、3月13日にS&P 500が上期の予想取引レンジの底である5,500ポイントをつけた時に、弊社が上昇の始まりを予想した理由です。その後これまでに、より低クオリティ、高ベータの銘柄が先行する形で株価は反発してきました。目先はこれが持続し得ると弊社は見ています。ただし、去年 昨年11月以降低調な業績修正を考慮し、中期的にはよりクオリティの高い銘柄をポートフォリオの中核とするのが良いとの見解に変わりはありません。
より具体的には、米国の業績予想修正の主な平均値は1年を通じてまだマイナスにとどまっており、底入れの兆しは見られません。しかし、水面下では業績予想修正トレンドに興味深い変化が見え始めています。その最も顕著な変化は、急激に低下したマグニフィセント7の業績予想修正が、下げ止まったように見えることです。これにより決算発表シーズンを前に、目先、超大型株のアンダーパフォーマンスに歯止めがかかり、2週間前から弊社が予想しているように、S&P 500の下げ止まりに寄与する可能性があります。
これはまた、資金の流れを米国に呼び戻す一因になる可能性があります。米国株式市場をリードしていた高クオリティ銘柄がアンダーパフォームし始めたことが、海外に資金がシフトした一因であると弊社は見ています。したがって、このグループが相対的に力を取り戻せば、ローテーションは米国株に戻るでしょう。
さらに、ドル安によって、欧州企業と比較した相対的な米国の業績下方修正トレンドが反転する可能性があります。昨年末時点では、弊社が直前予想したように、第4四半期決算発表において、大幅なドル高が相対的な業績予想修正の逆風になっていました。これが第1四半期決算の発表では追風に転じ、少なくとも一時的に米国株に資金が戻る可能性があります。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。