アメリカ・シアトル郊外で働く日本人エンジニア、コモダ&イワイが、イエローストーン国立公園を走る車の中からお届けする"移動収録"回。セルラーもWiFiもほぼ届かない公園で、持ち込んだスターリンクがあっさり100Mbps出た体験をきっかけに、なぜ低軌道でなければいけないのか、レイテンシーと光速の壁、そしてアンテナの大きさが最後はロケットのコストに行き着く話までを掘り下げます。後半は宇宙スーパーコンピューター衛星へ話が飛び、一番の課題が排熱だという設計の面白さから、地上のデータセンターと宇宙はどちらが安いのかという議論まで語ります。
--------------------------------------------------------------------------------
収録内容について、以下の訂正・補足があります(2026年9月7日確認)。
字幕中の[訂正][補足][未確認]は収録後の編集注です。
・18:59/22:04 ロケットの搭載量:Falcon 9の公表LEO最大搭載量は22.8トンです。実際の搭載量は軌道や回収条件で変わります。Starshipは公式ユーザーガイドでLEOへ100トン超を目指す設計で、「2〜3トン」ではありません。[1][2]
・24:39 衛星数:「10万台」と話していますが、FCC資料では最大100万基の申請です。申請日は2026年1月30日で、衛星の設計発表日とは区別する必要があります。[3]
・28:53 許可について:確認したFCC文書は申請の受理と意見募集であり、承認書ではありません。「NASAなどから許可を得ているはず」とは、この資料から断定できません。[3]
・17:17 太平洋の地上局問題:衛星間レーザーで別の衛星へ中継し、離れた地上局へ接続できます。利用者と同じ衛星から地上局が見える必要はありません。ただし、利用にはサービス地域・契約・遮蔽物などの条件があります。[4]
・20:11 排熱:宇宙空間への最終的な排熱は熱放射が中心ですが、機器から放熱板への熱輸送には液体ループも使えます。発言を「液体冷却は不可能」と解釈するのは不正確です。また実物は理想的な黒体ではなく、放射率や温度に応じて放熱します。[5]
・27:50 ルイジアナ施設:州の発表は年間数千回の打ち上げを支える計画で、2027年末までの着工、早ければ2029年の初打ち上げが目標です。「3年で投資回収」という根拠は、確認した資料では見つかりませんでした。[6]
・10:24/35:10 衛星通信と動画・ゲーム:静止衛星でも動画視聴は可能です。遅延と帯域は別の指標で、Starlinkの「20〜40ms」も常時保証値ではありません。公表仕様の例では陸上25〜60ms、遠隔地では100ms超の場合もあり、ゲームの可否は相手までの経路、遅延の揺れ、パケット損失、ゲームの仕様によります。[7][8]
・36:12 日米間の「数ms」:太平洋を横断する通信には小さすぎる値です。例として距離8,000kmなら、真空中でも片道約27ms・往復約53msが下限です(距離÷光速による概算で、実測値ではありません)。光ファイバーや実際の経路ではさらに増えるため、ルーターだけで遅延が決まるわけではありません。[9]
・30:10 au Starlink Direct:メッセージに加え、対応機種では対象アプリのデータ通信も利用できます。任意のメール・ブラウザー・動画アプリが使えるわけではありません。[10]
・19:47 AI1の電力:「1,500Wくらい」と話していますが、SpaceX公式ページの計算ペイロードの公表仕様は平均175kW・ピーク最大250kWです(2026年9月7日確認)。衛星全体の消費電力や演算性能そのものを示す数値ではありません。[11]
・20:05 AI1の大きさ:公表仕様は展開高30m・翼幅75m、展開式液体ラジエーター160m²、太陽電池210kW・電力密度250W/m²です。太陽電池面積はこの2値から約840m²と計算でき、ラジエーターより大きくなります(840m²は公表値からの概算)。「一番大きいのはラジエーター」という説明は訂正します。冷却には能動的な液体冷却と冗長ポンプループを採用しています。以上は公表仕様で、軌道上の実測値ではありません。[11]
・27:30 宇宙の方が3〜5年で安くなる、という話は将来の採算予測です。打ち上げ費以外に寿命・交換・通信・保守も関係し、確定した結果として扱いません。
https://new.spacex.com/vehicles/falcon-9
[2] SpaceX:Starship Users Guide(2020年版の設計値)
https://www.spacex.com/media/starship_users_guide_v1.pdf
[3] FCC:申請受理・意見募集(2026年2月4日)
https://docs.fcc.gov/public/attachments/DA-26-113A1.pdf
[4] Starlink:衛星間レーザーと通信構成
https://starlink.com/us/technology
https://www.nasa.gov/smallsat-institute/sst-soa/thermal-control/
[6] Louisiana Economic Development:SpaceX計画
https://www.opportunitylouisiana.gov/spacex
https://starlink.com/legal/documents/DOC-1525-57370-71
[8] Hughesnet:衛星インターネットでの動画視聴
https://www.hughesnet.com/blog/satellite-internet-fast-enough-all-your-streaming-needs
https://physics.nist.gov/cuu/Constants/Value/c.html
[10] au:Starlink Direct対応サービス
https://www.au.com/mobile/service/starlink-direct/
[11] SpaceX:AI1仕様(OVERVIEW/THERMAL/SOLAR、2026年9月7日確認)
https://www.spacex.com/spacexai/starmind
00:00 オープニング/イエローストーンの車中から
00:40 スノーロッジの夕食とバイソンの肉はどこから来たのか
04:05 国立公園でスターリンクが100Mbps出た話
06:40 なぜスペースXは大量に衛星を打ち上げるのか
08:10 低軌道550km vs 静止衛星36,000km、レイテンシーという本丸
12:15 帯域はアンテナの大きさ、そしてロケットのコストに帰着する
16:00 地上局問題:太平洋のど真ん中は繋がるのか
19:20 宇宙スーパーコンピューター衛星、一番でかいのはラジエーター
24:45 なぜ宇宙の方が安いのか、地上データセンターの立地難
27:20 3〜5年で逆転する?鍵はすべて打ち上げコスト
30:10 auのスターリンク・ダイレクトと登山者の需要
31:30 知らない分野をAIに教えてもらうという学び方
35:10 レイテンシー20〜40msの世界と、名古屋→東京の思い出
37:20 まとめ:買わないと、そこまで興味は持てない