今月の初めにニューヨークのマディソンスクエアガーデンで開催されたVerzuzで、Dipsetと対戦したThe LOXのスタイルズ・Pは、相手をフルボッコにした勝因が、若手ラッパーの研究の成果であったと明かした。
有名アーティスト同士が自身のヒット曲を10曲ずつ交互に流し、どちらの方が総合的に観客を魅了したかを競い合う、新感覚のバトルエンターテイメント、Versuzで、Dipsetを痛々しいほどの袋叩きにしてしまったThe Loxだが、どうやら戦いの前準備として現在のヒップホップシーンのトレンドを研究していたことが分かった。
スタイルズ・PはGQのインタビューで次のようにコメントした。”少しインターネットでリサーチをしたんだ。観客の予想を覆したかった。そのためにはニュージェネレーションの研究が必要だった。今の若い子たちは、キャラ的に面白かったり、とことんふざけたことを言うアーティストに耳を傾けてると思った。だからそういう意味ではDipsetに分があったと思う。俺はネットでTekashi 6ix9ineを見つけて、彼のスタイルを分析した。ラップと関係ないことで笑いを取るヤツがウケるんだと知った。だから俺も普段自分のキャラと違うことをしようと思った。それがうまくいったんだよ。”
Dipsetとの戦いで勝利したThe LOXに対して、ヒップホップ界の各方面から称賛の声が寄せられており、このバトルを見たカニエ・ウェストはThe LOXのパフォーマンスに感化され、翌日に自身のアルバム”Donda”への参加をオファーした。なんとも話が早く、動きがスピーディな世界である。
ただ、伝説のバトルとなったThe LOXとDipsetのバトルだが、開始直前までDipsetのリーダーのキャムロンが出演を拒んでおり、一時は会場から帰ってしまうところだったが、大会主催者のスイズ・ビーツが本人を説得し、会場に戻ってステージに上がったとされている。キャムロン的には、戦いの前から敗戦の予感がしていたのかもしれないですね。