第15回目のエピソードへようこそ!
今回は、最近ずっと頭の中でぐるぐるしていたことをお話しします。きっかけは、Tim Ferrissのインタビューでした。『The 4-Hour Workweek』(邦題:『「週4時間」だけ働く。』)で有名なアメリカのポッドキャスター、作家、投資家です。
彼が言っていたこと——「1日4時間どころか、たった2時間でもいい。何かひとつのことだけに、邪魔されずに集中できたなら、アテンション・エコノミーの観点から見て、あなたはトップ1%のパフォーマーになれる」。
たった2時間。でも——ひとつのことだけに、ずっと集中し続けるって、なんて難しいんだろう。そこから自然と、「じゃあ私は?私が何かを習得しようとしたとき、何をしていたんだろう」って考えはじめました。
私はアメリカの大学に行っていて、寮と図書館と——あとは、24時間開いていた練習室にこもっていました。エクササイズを自分で歌って、テープレコーダーに録音して、数分歌ったら巻き戻して、聞き返して。地道な繰り返し。今思うと、あれができたのは、選択肢がなかったからでもあります。スマホもない、インターネットもまだほとんど使っていなかった時代。
Malcolm Gladwellの『Outliers』に出てくる「1万時間の法則」。そしてRobert Greeneという作家をご存知ですか?『The 48 Laws of Power』(邦題:『権力に翻弄されないための48の法則』)や『Mastery』で知られる著者です。
彼が『Mastery』を書いたきっかけは、2010年頃、「クリックひとつで何でも手に入る時代に、若い人たちが"すぐに手に入らないもの"に耐えられなくなっている」という危機感でした。
人間の脳には「ニューラルパスウェイ」という道があって、何かを繰り返すたびに、その道が作られ、強化されていく。あの練習室での時間が、私の脳に道を作っていたんだ、と。
Greeneが言っていたこと——"Success at anything requires time, effort, boredom, and tedium."「何かで成功するには、時間と努力、そして退屈と単調さに耐えることが必要だ」。
ずっと下手な時期が何年も続く。その間を乗り越えられるかどうか。近道があるように見えても、ここだけは通り抜けることができない道がある。
1万時間を超えると、考えなくても体が動くようになる。ペレやリオネル・メッシが、誰も見たことのないパスを生み出せるのは、もう考えていないから。2万時間に達した人は、もはやスーパーヒューマン。
ジャズピアニストの上原ひろみさん、Stevie Wonder——あのゾーンに入ったときの演奏。もはやスキルとか技術とか、そういう言葉では説明できない何かがある。「マスタリー」って、そこまで行くことなんじゃないかと思うんです。
そして今も、私は同じプロセスの入り口に立っています。フランス語とスペイン語を、ちゃんと学びたいと思っているんです。プラトー——停滞期を乗り越えて、いつかジョークがわかるくらいになりたい。そのために今日も、せこせことDuolingoを開いて、ストリークを守ろうとしている私がいます(笑)。
近道はない。でも、続けるしかない。退屈に耐えた時間が、自分を作る。
トピック:
- Tim Ferrissの「2時間の集中」
- 練習室での地道な繰り返し
- Robert Greene『Mastery』
- ニューラルパスウェイと脳の仕組み
- 退屈と単調さに耐えること
🔗 今回のリンク:
- Tim Ferriss "2 Hours of Focus Will Put You in The Top 1%": https://youtu.be/7s4icOMMAfs?si=1ATxAXWEv9yuOPCM
- Diary of a CEO × Robert Greene インタビュー: https://youtu.be/Qv70RMUFlu0?si=0BD5da1MNn6A43HK
- Robert Greene が『Mastery』を自ら語る(字幕あり): https://youtu.be/6KUEigk4JCA?si=Dwp_r6aBcEK7_bmL
退屈と単調さに耐えた先に、マスタリーがある。そんなお話です。ぜひ聴いてみてくださいね!
番組へのメッセージや、ボイスレッスンに興味がある方は、[email protected] までお気軽にご連絡ください。