
Sign up to save your podcasts
Or
モルガン・スタンレーの債券・テーマ別リサーチのグローバルヘッドが、来たるアメリカ大統領選の市場の反応に注目している投資家にアドバイスをします。
このエピソードを英語で聴く方はこちら。
-----トランスクリプト-----
「市場の風を読む」Thoughts on the Market へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
今回は、モルガン・スタンレーの債券・テーマ別リサーチのグローバルヘッドであるMichael Zezas(マイケル・ジーザス)が、来たるアメリカ大統領選と市場への影響について考察していきます。
このエピソードは2024年6月18日にニューヨークで収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
2024年のアメリカ大統領選を弊社が初めて取り上げたのは去年昨年の12月でした。大統領選まで約5ヵ月となった今、弊社が知りえた投資家に役立ちそうな論点を整理するのにちょうどよい時期になりました。手短にまとめると、今回の選挙を取り巻くノイズは多く、このノイズを認識することが、選挙関連の判断ミスを避ける第一歩となるでしょう。
まず第1に、自信をもって結果予測をするようなことは避けてください。あらゆる指標が、どちらの候補者が選挙に勝つかを選挙当日より前の段階で的確に判断することはほぼ不可能であることを示しています。これはおそらく選挙後の数日においてもそれは続くでしょう。世論調査では、いずれの候補者も誤差の範囲を超えるリードを確保できておらず、仮に今日投票が行われた場合、選挙人団を獲得できると思われる州の数は十分ではありません。
予測市場も世論調査モデルも五分五分の選挙戦となることを示しており、投票日まで接戦が繰り広げられることが示唆されています。郵便投票が着実な支持を得る中で、2020年の選挙時に見られたように集計のスピードに遅れが生じる可能性があり、その場合、選挙は翌週にもつれ込む可能性があるでしょう。
第2に、選挙年だという理由だけでポートフォリオに大きな戦略的変更を行うことは避けてください。先ごろ弊社はこの点について調査を行いましたが、選挙結果の類似性や接戦度などのフィルターをかけても、選挙前の期間における市場動向に傾向はほぼ存在しないことが分かっています。市場全体としては、アメリカ選挙の結果を事前に一貫性をもって織り込むことはないようです。結果が出た後に予想される政策の影響が織り込まれることはよく知られています。これが第3の点につながります。
選挙後の政策が経済へ影響を与えるだろうという過剰な確信を持つことは避けてください。経済成長にとって、片方の結果が悪いニュースであり、もう片方が良いニュースであることが明らかな場合、良いニュースを受けてリスク資産の購入を助言することはもちろんあり得るでしょう。ただし今回の選挙戦についていえば、ことはそれほど単純ではありません。
例えば、共和党が大統領選を制する場合、民主党が勝つケースと比較すると、関税の引き上げ、移民の抑制、そして共和党が議会も制する場合には、減税が実施され、結果として財政赤字の拡大が考えられます。こうした政策の構成とタイミングによって、成長率、インフレ、金融政策への影響は異なると弊社のエコノミストは説明しています。従って、少なくとも現時点では、経済成長にとってプラスかマイナスかといった単純な結論を導くことはできません。
結論として、選挙戦を巡るノイズをシグナルと取り違えないようにしてください。先ごろ弊社が配信したMid-year outlookレポートにおいてクロスアセット戦略の枠組みを提案していますが、このような枠組みに沿った行動をお勧めします。あるいは資本財や防衛のような、現在好位置にあり、かつ特定の選挙シナリオからもアップサイドが見込まれる、株式投資の一定のセクターに注目という事もあげられます。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
モルガン・スタンレーの債券・テーマ別リサーチのグローバルヘッドが、来たるアメリカ大統領選の市場の反応に注目している投資家にアドバイスをします。
このエピソードを英語で聴く方はこちら。
-----トランスクリプト-----
「市場の風を読む」Thoughts on the Market へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
今回は、モルガン・スタンレーの債券・テーマ別リサーチのグローバルヘッドであるMichael Zezas(マイケル・ジーザス)が、来たるアメリカ大統領選と市場への影響について考察していきます。
このエピソードは2024年6月18日にニューヨークで収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
2024年のアメリカ大統領選を弊社が初めて取り上げたのは去年昨年の12月でした。大統領選まで約5ヵ月となった今、弊社が知りえた投資家に役立ちそうな論点を整理するのにちょうどよい時期になりました。手短にまとめると、今回の選挙を取り巻くノイズは多く、このノイズを認識することが、選挙関連の判断ミスを避ける第一歩となるでしょう。
まず第1に、自信をもって結果予測をするようなことは避けてください。あらゆる指標が、どちらの候補者が選挙に勝つかを選挙当日より前の段階で的確に判断することはほぼ不可能であることを示しています。これはおそらく選挙後の数日においてもそれは続くでしょう。世論調査では、いずれの候補者も誤差の範囲を超えるリードを確保できておらず、仮に今日投票が行われた場合、選挙人団を獲得できると思われる州の数は十分ではありません。
予測市場も世論調査モデルも五分五分の選挙戦となることを示しており、投票日まで接戦が繰り広げられることが示唆されています。郵便投票が着実な支持を得る中で、2020年の選挙時に見られたように集計のスピードに遅れが生じる可能性があり、その場合、選挙は翌週にもつれ込む可能性があるでしょう。
第2に、選挙年だという理由だけでポートフォリオに大きな戦略的変更を行うことは避けてください。先ごろ弊社はこの点について調査を行いましたが、選挙結果の類似性や接戦度などのフィルターをかけても、選挙前の期間における市場動向に傾向はほぼ存在しないことが分かっています。市場全体としては、アメリカ選挙の結果を事前に一貫性をもって織り込むことはないようです。結果が出た後に予想される政策の影響が織り込まれることはよく知られています。これが第3の点につながります。
選挙後の政策が経済へ影響を与えるだろうという過剰な確信を持つことは避けてください。経済成長にとって、片方の結果が悪いニュースであり、もう片方が良いニュースであることが明らかな場合、良いニュースを受けてリスク資産の購入を助言することはもちろんあり得るでしょう。ただし今回の選挙戦についていえば、ことはそれほど単純ではありません。
例えば、共和党が大統領選を制する場合、民主党が勝つケースと比較すると、関税の引き上げ、移民の抑制、そして共和党が議会も制する場合には、減税が実施され、結果として財政赤字の拡大が考えられます。こうした政策の構成とタイミングによって、成長率、インフレ、金融政策への影響は異なると弊社のエコノミストは説明しています。従って、少なくとも現時点では、経済成長にとってプラスかマイナスかといった単純な結論を導くことはできません。
結論として、選挙戦を巡るノイズをシグナルと取り違えないようにしてください。先ごろ弊社が配信したMid-year outlookレポートにおいてクロスアセット戦略の枠組みを提案していますが、このような枠組みに沿った行動をお勧めします。あるいは資本財や防衛のような、現在好位置にあり、かつ特定の選挙シナリオからもアップサイドが見込まれる、株式投資の一定のセクターに注目という事もあげられます。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。