小山ナザレン教会

夜更けの時を昼の如くに(石田学) – ローマ 13:11–14


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2024年11月17日 三位一体後第25主日

説教題:夜更けの時を昼の如くに

聖書: ローマの信徒への手紙 13:11–14、イザヤ書 60:1–2、詩編 27、マタイによる福音書 5:14

説教者:石田学

 

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ローマのキリスト者に宛ててパウロは驚くべきことを書きました。「あなたがたは今がどんな時であるかを知っています」。皆さんがこのように告げられたら、びっくりして戸惑うことでしょう。そして今がどんな時なのかを、急いであれこれ考えることでしょう。だが、パウロは確信を込めて「あなたがたは知っている」と宣言します。パウロにとっては、そう断言するだけの根拠があるからです。たいていの人は今の自分の境遇に基づいて今がどんな時かを考えます。ある人は今が黄金時代だと言い、ある人はどん底だと考えるでしょう。パウロはそんな自己中な答えを求めているのではありません。パウロが確信するのは、キリストを信じる者は知っているということです。キリスト者は神が愛であり、愛と慈しみを世に与える方であると。キリスト者は神が正義と公平の神であることを。キリスト者は神が赦しと和解を作る平和の神だと知っています。だがキリスト者は、この世界が神の御心から程遠いことをも知っています。いったい誰がこの世界は愛と平和に満ちていると思えるでしょうか。事実、聖書は最初から一貫してこの世界が闇の中にあることを告げます。エデンから追放された人間は、労苦と痛み、苦しみ、暴力を知りました。人類の歴史は不正義と不公正に満ち、権力と富への欲が支配しています。栄光と繁栄の時でさえ、それは一部の人の物であり搾取と支配の結果です。聖書はこの世界の現実が闇の支配の下にあることを証言しています。パウロも、この世界は闇の中にあり、深まる夜の最中だと確信します。ところが、パウロは闇の現実よりも別の現実から語り始めるのです。闇が支配する現実はあるが、別の現実が闇を凌駕すると言うのです。「眠りから覚める時が来ている」「世は更け、昼が近づいた」と。最も闇の力が強い夜更けに、昼が近づいていると信じる。これは主イエスの十字架の意味を知るからこその言葉です。神の愛と憐れみ、正義と公平を説いたイエス様が十字架で殺された。これほど絶望的な闇の深まりの時があったでしょうか。しかし、その最も深い闇の時が、神の救いの成就した時でした。この世に闇が深まるほど、その事実と同時に昼が来ると信じます。そう信じるわたしたちは、夜更けの時を昼の如くに生きます。光の主が再び来られると信じる者の生き方をパウロは教えます。光の武具を身に着け、日中を歩むように歩むことがキリスト者の道だと。キリストの愛と慈しみ、正義と公平、赦しと和解を作って生きるのです。

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