ハナボウズの山ログ

遊びで続けていきたい


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六月の午後、中島はAフィールド周辺の草刈りの合間に録音を始めた。七月になれば蜂が巣を守り始める——就農前に師匠から聞いたその話を、眉唾だと思いながらも肌感覚で信じている。藪を放置すれば、ある日突然、蜂が飛び出してくる。だから今のうちに刈っておく。

日曜日に出品した中之条花マルシェは、客層がよかった。入園料を払って植物園に来る人たちだ。一本百円の売り台に自分で花を拾って束ねていった客のひとりが、上手に組んだ花を持ってきた。「花やってましたか?」と聞いたら「花やってます」と返ってきた。言葉ではなく、手の動きや作法から相手の背景が滲み出ていた。探偵みたいな、嬉しい瞬間だった。

マルシェは労力を考えると正直割に合わない。それでも中島は「祭りだと思って」参加する。楽しいから。山ログのフォロワーが倍増したことへの、緊張ともちがう感覚もあった。「遊びで続けていく」とひとり確認して、録音を終えた中島は再び草刈り機のエンジンをかけた。

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ハナボウズの山ログBy ハナボウズ