幕末には「子供遊(あそび) 凧(たこ)あげくらべ」「時世のぼり凧」などと題し、大勢の子供や大人がたくさんの凧をあげている錦絵がよく描かれた。これ実は風刺画で、凧には「米」「油」「綿」「紙類」「金物」などとある。
つまりは「諸色高直(しょしきこうじき)(諸物価高騰)」となった開国後の世相を皮肉っているのである。当時の商人の相場控えによると、たとえば種油、大豆、小麦は黒船来航後に2~3倍へ高騰、明治の直前にはさらに2~3倍にはねあがっている。
世界経済の波が庶民の台所を直撃したかたちだが、さて油、大豆、小麦と聞けば昨今相次ぐ値上がりのニュースも思い起こさざるをえない。こちらはコロナ禍からの世界的な需要回復の期待により生じた「諸色高直」のあおりという。
その筆頭ともいえる原油や天然ガスなどエネルギー価格の高騰である。国内ではガソリンの店頭価格が7年ぶりの高値となり、来月からは天然ガスなどの高騰で電気料金も値上げとなる。これからの季節、暖房代も家計を圧迫しよう。
小麦製品や大豆製品などの食料品の値上がりも、その世界的背景にはコロナ後の景気回復を見込んだ需要の急増や、それによる物流の逼迫(ひっぱく)、コスト増があるという。世界の食糧価格はこの1年間で30%以上も値上がりしたといわれる。
経済復調からはほど遠いのに、エネルギーや食料の高騰で打撃を受ける世界の貧困家庭である。日本の景気・・・