小山ナザレン教会

贈り物の届け方(稲葉基嗣) – フィリピ4:10−23


Listen Later

2023年 10月 29日 三位一体第21主日
説教題:贈り物の届け方
聖書:フィリピの信徒への手紙 4:10−23、ネヘミヤ記 8:9−12、マタイによる福音書 25:31−40、詩篇 23
説教者:稲葉基嗣
-----
【説教要旨】
パウロはエパフロディトを通して受け取ったフィリピ教会からの贈り物について、フィリピ教会に書き送ったこの手紙の最後で触れています。けれど、パウロがフィリピ教会の人びとに感謝を伝える言葉は間接的です。パウロはなぜ、もっとストレートに感謝の気持ちを伝えようとしなかったのでしょうか。
きっと、贈り物がその送り手と受け手に与える影響をパウロはよく知っていたから、注意深く言葉を選んで、感謝を伝えたのでしょう。というのも、贈り物には、両者の力関係を明らかにしてしまう側面があるからです。もしも、自分が贈ったプレゼントに対して、遥かに価値のあるものが、お礼として送り返されてきたら、自分と相手の立場の違いを知ることになってしまうでしょう。相手と自分の間にどれほどの力の差があり、どれほど社会的な立場が違うのかを嫌というほど突きつけられてしまいます。
パウロにとってフィリピ教会は喜びです。主キリストにあって結ばれている、信仰の友です。彼らは単なる、支援者とその支援の受け手といった関係でもありません。パウロは自分とフィリピ教会の人びとの立場の違いを明確にしてしまう恐れのある贈り物から自分やフィリピ教会を解放したかったのだと思います。
確かに、パウロがフィリピ教会から受け取った支援は喜ばしいものでした。でも、この贈り物が、彼らの関係性がどのようなものであるかを規定し、決定づけるものとはならないようにとパウロは願って、フィリピ教会の人びとに間接的に感謝を伝えたのでしょう。パウロにとって、贈り物があるから、フィリピ教会との関係があり、その関係が継続するのではありません。
彼らを結ぶきずなは、平和の主であるイエス・キリストです。贈り物や支援を届けることよってこの世界の力関係を更に強化しないように、持つ者と持たない者の立場を明確にするものとして、贈り物が利用されないように、パウロは贈り物を携えるわたしたちの視点を神へと移すように招きます。パウロの確信は、相手を心から気遣い、目の前で苦しむ人の助けとなったらと願う、その愛や憐れみの思いにおいて、わたしたちが誰かのために携える贈り物は、神に喜ばれるいけにえとなるということです。
パウロにとってエパフロディトがそうであったように、わたしたち自身の存在そのものが、誰かにとっての贈り物となり得ます。神の恵みや憐れみ、平和や正義を携えるならば、わたしたちはきっと、誰かにとっての贈り物となります。愛と憐れみに基づいた言葉や行いを贈り物として届け合うことができますように。
...more
View all episodesView all episodes
Download on the App Store

小山ナザレン教会By 小山ナザレン教会