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米国の政府閉鎖が長期化し、経済成長率が低下するリスクが強まっています。投資家が今後警戒すべきポイントを、弊社グローバル債券・公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスがご紹介します。
このエピソードを英語で聴く。
トランスクリプト
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
本日は、米国の政府閉鎖が続いている現状において警戒すべき3つのポイントを、弊社 のグローバル債券および公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスがお話しします。
このエピソードは10月8日 にニューヨークにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
米国連邦政府が閉鎖されて1週間経ちました。しかし、市場を観察しておられる方々は、何もかもが穏やかに見えることに驚いていらっしゃるかもしれません。株価は堅調です。債券利回りもさほど変動しておらず、ボラティリティも低いままです。
この状況は、ワシントンが袋小路に入ることを想定して、私と同僚のアリアナが以前議論していたシナリオとおおむね同じです。投資家や市場の反応が不確実性に見舞われる恐れがあること、そしてそれは政府閉鎖の長さ次第であることに、私たちは事前に気づいていました。
したがって、ここで大きな疑問が浮上します。この政府閉鎖に関する何かが投資家のマインドを揺さぶって市場を動かし始めることがもしあるとしたら、その何かとはなんだろうか、という疑問です。
これは検討に値する疑問です。予測市場では現在、政府閉鎖は少なくともあと1週間続く可能性が最も高いとされています。また過去の政府閉鎖を見る限り、閉鎖は長引けば長引くほど問題になる可能性も高まります。景気の見通しを狂わせるリスクが積み重なり始め、ついには投資家も景気見通しの悪化を織り込み始めなければならなくなるからです。
投資家がそのように思い始める可能性があるのはいつなのか――それに気づくために警戒すべきポイントがいくつかあります。
第1のポイントは、一時帰休している連邦政府職員への給与支払いが遅れることです。これはあと2、3日もすれば始まります。給与が減れば、当然ながら支出も減ります。複数の研究によれば、影響を受ける職員の支出は政府閉鎖の間2~4%減少しうるそうです。この段階ではGDPに及ぶダメージは大きくありませんが、政府閉鎖の影響が首都ワシントン以外にも及ぶ兆しとなります。
第2のポイントは、政府職員削減の可能性があるため「今回は違う」かもしれないことです。トランプ政権は、省庁が恒久的な人員カットに動く可能性があることをほのめかしています。これは過去にはなかったことです。労働組合はすでに、そんなことになったら訴訟を起こすと表明しています。しかし、そのような行動が取られ始めれば、いや、政府職員をめぐる法的な不確実性が高まるだけでも、景気悪化の可能性が高まる恐れがあります。
弊社ではもうひとつ、第3のポイントとして、政府閉鎖のせいで経済活動に目に見える混乱が生じることを警戒しています。前回の政府閉鎖は、航空管制官不足のためにニューヨーク発着の航空便が削減されたときに終わりました。今回はすでに、全米で航空便の大幅な遅延が発生しています。さらに大幅な遅延が生じたり航空機の地上待機命令が発せられたりすれば、移動関連の経済活動は明らかに阻害されます。そんな事態になっても、政府機関を再開させる法案の交渉 の進展の兆しがワシントンから感じられなかったら、投資家の懸念は強まる恐れがあります。
結論を申し上げますと、市場が平静を保っているのは正しい判断かもしれません。しかしそれは、「今のところは」という条件付きです。政府閉鎖が長期化すればするほど、ご紹介した3つのポイントのいずれかが投資家を刺激し、楽観論の再考を促す可能性も高くなるでしょう。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
米国の政府閉鎖が長期化し、経済成長率が低下するリスクが強まっています。投資家が今後警戒すべきポイントを、弊社グローバル債券・公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスがご紹介します。
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「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
本日は、米国の政府閉鎖が続いている現状において警戒すべき3つのポイントを、弊社 のグローバル債券および公共政策戦略担当責任者のマイケル・ゼザスがお話しします。
このエピソードは10月8日 にニューヨークにて収録されたものです。
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米国連邦政府が閉鎖されて1週間経ちました。しかし、市場を観察しておられる方々は、何もかもが穏やかに見えることに驚いていらっしゃるかもしれません。株価は堅調です。債券利回りもさほど変動しておらず、ボラティリティも低いままです。
この状況は、ワシントンが袋小路に入ることを想定して、私と同僚のアリアナが以前議論していたシナリオとおおむね同じです。投資家や市場の反応が不確実性に見舞われる恐れがあること、そしてそれは政府閉鎖の長さ次第であることに、私たちは事前に気づいていました。
したがって、ここで大きな疑問が浮上します。この政府閉鎖に関する何かが投資家のマインドを揺さぶって市場を動かし始めることがもしあるとしたら、その何かとはなんだろうか、という疑問です。
これは検討に値する疑問です。予測市場では現在、政府閉鎖は少なくともあと1週間続く可能性が最も高いとされています。また過去の政府閉鎖を見る限り、閉鎖は長引けば長引くほど問題になる可能性も高まります。景気の見通しを狂わせるリスクが積み重なり始め、ついには投資家も景気見通しの悪化を織り込み始めなければならなくなるからです。
投資家がそのように思い始める可能性があるのはいつなのか――それに気づくために警戒すべきポイントがいくつかあります。
第1のポイントは、一時帰休している連邦政府職員への給与支払いが遅れることです。これはあと2、3日もすれば始まります。給与が減れば、当然ながら支出も減ります。複数の研究によれば、影響を受ける職員の支出は政府閉鎖の間2~4%減少しうるそうです。この段階ではGDPに及ぶダメージは大きくありませんが、政府閉鎖の影響が首都ワシントン以外にも及ぶ兆しとなります。
第2のポイントは、政府職員削減の可能性があるため「今回は違う」かもしれないことです。トランプ政権は、省庁が恒久的な人員カットに動く可能性があることをほのめかしています。これは過去にはなかったことです。労働組合はすでに、そんなことになったら訴訟を起こすと表明しています。しかし、そのような行動が取られ始めれば、いや、政府職員をめぐる法的な不確実性が高まるだけでも、景気悪化の可能性が高まる恐れがあります。
弊社ではもうひとつ、第3のポイントとして、政府閉鎖のせいで経済活動に目に見える混乱が生じることを警戒しています。前回の政府閉鎖は、航空管制官不足のためにニューヨーク発着の航空便が削減されたときに終わりました。今回はすでに、全米で航空便の大幅な遅延が発生しています。さらに大幅な遅延が生じたり航空機の地上待機命令が発せられたりすれば、移動関連の経済活動は明らかに阻害されます。そんな事態になっても、政府機関を再開させる法案の交渉 の進展の兆しがワシントンから感じられなかったら、投資家の懸念は強まる恐れがあります。
結論を申し上げますと、市場が平静を保っているのは正しい判断かもしれません。しかしそれは、「今のところは」という条件付きです。政府閉鎖が長期化すればするほど、ご紹介した3つのポイントのいずれかが投資家を刺激し、楽観論の再考を促す可能性も高くなるでしょう。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。