１）「思い出してください」～ダビデの苦労の目的～

・神は何かを忘れる方ではないから、この祈りは「願い」ではなく「嘆き」である。詩人はダビデが苦労したことのすべてが、水の泡になってしまう、そういう状況を前にして、嘆いている。

・ダビデの苦労の人生が結晶化するのが、ソロモンによって建てられる神殿

・神の祝福を、この地上にもたらす存在になるのが自分の使命であり、その鍵となるのが、天と地をつなぐ「契約の箱」であると受け止めた。

→「エフラテ」「ヤアルの野（キルヤテ・エアリム）」に半ば放置されていた契約の箱を、シオンの丘に運び入れる。最初は、テントの下に運び込み、後に神殿に安置されることになる。その様子を詩人は回顧的に歌う。（7～9 節）

・これに先立ち歌われるのがダビデの並々ならぬ決心と努力。不眠不休という誇張表現を用いて、その熱量が表現される。（2～5節） ⇔しかし、今やその努力の結晶が打ち捨てられている。過去の明るさを思うほどに、詩人の嘆きは深まる。

２）「退けないでください」～ダビデ契約の確かさ～

・11 節～12 節で詩人は、ダビデに与えられた主の契約（ダビデ契約）を思い起こす。そこには「とこしえの王座」が約束されていた。

・この契約には条件があった。「御言葉を守り行い、神の計画にこの王が コミットする限り」において、王座は約束された。

→この契約は、王座の保障ではなく、悔い改めの道を保障している。

・「退けないでください」という願いも、表面的なものではなく、悔い改めを求める祈りであるとわかる。

３）「安息の場所へ」～目的地の再確認～

・「安息の場所」とは、敵に対して勝利して、祝福が全地に満ちる、その起点になる場である。

・選ばれた場に、選ばれた者が、主を迎える時、神の国（パンも救いの喜びも満ち溢れる世界）は始まっていく。

・動物の角が抜け落ちても、再び生えてくるようにダビデの王座も回復される。神様は、その日、その時に向かって「ともしび」を消すことなく、守り続けてくださる。そしてもう一度、王冠が光輝くように、神のいのちと栄光が全地に満ちる。詩人はそれを確信する。

→この確信はクリスマスにおいて成就し始めた。

結）目に見えない神殿は建て上げられているのか？～私たちの備え歌～

・「主よ、イエスのために彼のすべての苦しみを思い出してください。」と祈るべきではないだろうか。