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「子どもは社会の宝です。多様な子どもたちを、社会全体で受けとめて育てていきたい——。」
熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長は、病院と学校、地域が連携する“みんなで育てる”実践を語ります。
阿蘇で実施された「オフラインキャンプ」を手がかりに、必要な配慮・人員・お金・時間を社会でどう支えるかを考えます。
🔶 背景:「オフラインキャンプ」—ネットを離れ、自然の中で“生きる力”に触れる
▶ 実施日:10月11日・12日(1泊2日)
▶ 連携:向陽台病院の呼びかけで、玉名病院・県立こころの医療センターが協働
▶ 参加:両病院に通院・入院経験のある小〜高生約20名程度+多数のスタッフ
▶ 特徴:端末と離れ、自然体験に没頭する「オフライン」設計。ネット依存の傾向がある子も安心して参加できる支援体制を整備。
▶ 位置づけ:田中校長が“言い出しっぺ”。今年で3回目、毎回現地参加。
「3回連続で参加する子もいます。年に1度しか会わないのに、会うたびに成長がわかります。個性の強さはその子の魅力。配慮が必要なら、必要なだけ大人が寄り添えばいいのです」(田中校長)
🔶 気づき:同じ「宝」でも、必要な支えは違う
同じ施設には、サッカークラブの小学生チームも来ていました。
大人の数は少なくても運営できる集団と、大人の数が子どもを上回るほどの支援が要る集団。
どちらも社会にとって同じ「宝」ですが、求められる支援の量と質が違うという現実が浮き彫りになります。
「“自分で生きていきなさい”では届かない子がいます。だからこそ、社会全体で受けとめる仕組みがいる。平等とは“同じやり方”ではなく、“必要なだけ支える”ことだと思います」(田中校長)
🔶 病院間連携の意義:利益度外視でつくる“地域のチーム”
▶ 同業の民間病院同士が手を組むのは、全国的にも珍しい取り組み。
▶ 収益になりにくい活動でも「子どもの成長の機会」を優先して継続。
▶ 「熊本はひとつ。Our Children(阿波チルドレン)」という理念のもと、医療・教育・地域が横断的に支援を続けています。
「同じ地域の子どもたちを、みんなで見守っていく。この姿勢が熊本らしい温かさだと思います」(田中校長)
🔶 学校現場のリアル:人・お金・時間が足りない
▶ 授業中に座っていられない、指示が入りにくい——個別配慮が必要な子は確実に存在します。
▶ 伴走には長い時間・人手・費用が欠かせません。
▶ 例:学校代表として県大会に出る生徒の遠征費用が十分にまかなえず、経済格差が体験格差につながる懸念も。
▶ 担任の心理的負荷も重く、教員のメンタル不調や離職志向の増加が課題に。
「子どもや保護者、教員の“せい”にしても何も解決しません。必要な支援を社会で用意するしかない。効率や“コスパ・タイパ”では測れない世界です」(田中校長)
🔶 “みんなで育てる”を進めるために:4つの提案
▶ 1. 公的・民間の“プール”で体験機会を保障
遠征・自然体験などの参加費用を、地域の基金や寄付で支える仕組みを整備。
▶ 2. 学校外リソースの常態化
学生ボランティアや退職教員など“第3の大人”を登録し、個別に寄り添う伴走員として配置。
▶ 3. 医療・教育・福祉のワンチーム化
病院・学校・福祉・NPOが定期的にケース会議を開き、切れ目のない支援を共有。
▶ 4. 「配慮が要る子」前提の校内設計
教室にセーフコーナーを設けるなど、**“同じであること”より“学びが届くこと”**を優先する設計へ。
🔶 まとめ:宝を宝として扱う勇気を
子どもは社会の宝です。
その宝を宝として扱うには、時間・人・お金が要ります。効率では測れません。
誰かの“努力不足”に帰すのではなく、社会全体の責任として支える——それが「みんなで育てる」の本当の意味です。
「個性が強い子、配慮が必要な子は、社会にとっての大切な“多様性そのもの”。大人が数歩寄り添えば、その子の強みは必ず光ります」(田中校長)
出演:熊本市立出水南中学校 校長・田中慎一朗
聞き手:江上浩子(RKK)
By RKKラジオ「子どもは社会の宝です。多様な子どもたちを、社会全体で受けとめて育てていきたい——。」
熊本市立出水南中学校の田中慎一朗校長は、病院と学校、地域が連携する“みんなで育てる”実践を語ります。
阿蘇で実施された「オフラインキャンプ」を手がかりに、必要な配慮・人員・お金・時間を社会でどう支えるかを考えます。
🔶 背景:「オフラインキャンプ」—ネットを離れ、自然の中で“生きる力”に触れる
▶ 実施日:10月11日・12日(1泊2日)
▶ 連携:向陽台病院の呼びかけで、玉名病院・県立こころの医療センターが協働
▶ 参加:両病院に通院・入院経験のある小〜高生約20名程度+多数のスタッフ
▶ 特徴:端末と離れ、自然体験に没頭する「オフライン」設計。ネット依存の傾向がある子も安心して参加できる支援体制を整備。
▶ 位置づけ:田中校長が“言い出しっぺ”。今年で3回目、毎回現地参加。
「3回連続で参加する子もいます。年に1度しか会わないのに、会うたびに成長がわかります。個性の強さはその子の魅力。配慮が必要なら、必要なだけ大人が寄り添えばいいのです」(田中校長)
🔶 気づき:同じ「宝」でも、必要な支えは違う
同じ施設には、サッカークラブの小学生チームも来ていました。
大人の数は少なくても運営できる集団と、大人の数が子どもを上回るほどの支援が要る集団。
どちらも社会にとって同じ「宝」ですが、求められる支援の量と質が違うという現実が浮き彫りになります。
「“自分で生きていきなさい”では届かない子がいます。だからこそ、社会全体で受けとめる仕組みがいる。平等とは“同じやり方”ではなく、“必要なだけ支える”ことだと思います」(田中校長)
🔶 病院間連携の意義:利益度外視でつくる“地域のチーム”
▶ 同業の民間病院同士が手を組むのは、全国的にも珍しい取り組み。
▶ 収益になりにくい活動でも「子どもの成長の機会」を優先して継続。
▶ 「熊本はひとつ。Our Children(阿波チルドレン)」という理念のもと、医療・教育・地域が横断的に支援を続けています。
「同じ地域の子どもたちを、みんなで見守っていく。この姿勢が熊本らしい温かさだと思います」(田中校長)
🔶 学校現場のリアル:人・お金・時間が足りない
▶ 授業中に座っていられない、指示が入りにくい——個別配慮が必要な子は確実に存在します。
▶ 伴走には長い時間・人手・費用が欠かせません。
▶ 例:学校代表として県大会に出る生徒の遠征費用が十分にまかなえず、経済格差が体験格差につながる懸念も。
▶ 担任の心理的負荷も重く、教員のメンタル不調や離職志向の増加が課題に。
「子どもや保護者、教員の“せい”にしても何も解決しません。必要な支援を社会で用意するしかない。効率や“コスパ・タイパ”では測れない世界です」(田中校長)
🔶 “みんなで育てる”を進めるために:4つの提案
▶ 1. 公的・民間の“プール”で体験機会を保障
遠征・自然体験などの参加費用を、地域の基金や寄付で支える仕組みを整備。
▶ 2. 学校外リソースの常態化
学生ボランティアや退職教員など“第3の大人”を登録し、個別に寄り添う伴走員として配置。
▶ 3. 医療・教育・福祉のワンチーム化
病院・学校・福祉・NPOが定期的にケース会議を開き、切れ目のない支援を共有。
▶ 4. 「配慮が要る子」前提の校内設計
教室にセーフコーナーを設けるなど、**“同じであること”より“学びが届くこと”**を優先する設計へ。
🔶 まとめ:宝を宝として扱う勇気を
子どもは社会の宝です。
その宝を宝として扱うには、時間・人・お金が要ります。効率では測れません。
誰かの“努力不足”に帰すのではなく、社会全体の責任として支える——それが「みんなで育てる」の本当の意味です。
「個性が強い子、配慮が必要な子は、社会にとっての大切な“多様性そのもの”。大人が数歩寄り添えば、その子の強みは必ず光ります」(田中校長)
出演:熊本市立出水南中学校 校長・田中慎一朗
聞き手:江上浩子(RKK)