今回は自動車の環境対応の話をします。自動車の環境と言うと、例えばヨーロッパが2035年にガソリン車の新車の販売を禁止するという事で一旦合意していましたが、2035年以降も販売して良いという話になりました。ドイツが一度合意したものをガソリン車も販売していいという方にもっていきたかったのです。大量のガソリン車を販売していて、裾野が広いのでガソリン車が駄目という話になると、山のような企業の破綻や失業者があふれるという事になります。これを何とかしなければという事で、条件付きでOKという事に今年の3月変えました。どういう条件を付けたかというと、合成燃料を使うガソリン車なら新車販売してもいいという事にしました。その合成燃料とは何かという事ですが、再生可能エネルギーで水素をつくります。これグリーン水素といいますが、このグリーン水素とそれから工場や発電所から出てきたものを回収したCO2、この2つを合成したものが合成燃料です。元々工場や発電所からCO2が出ていて、それを合成した燃料を使って車を走らせるとCO2が出ますが、元々出ていたCO2が増えるわけではないです。元々工場や発電所から出ていたCO2が合成燃料になって今度は自動車から出るというように、出る場所が変わるだけで総量は増えないということです。だから合成燃料を使うガソリン車ならいいという事に変えました。しかしドイツ以外の国はみんな、今まで散々厳しい事を言っておいて自分が困るからと言って突然変更するのは納得できないと大騒ぎの戦いになりましたが、結局ドイツがそれを押し切り、合成燃料を使うガソリン車なら2035年以降も販売OKという形になりました。
ではアメリカはどうかという事ですが、アメリカが1台当たり7,500ドルの補助金を電気自動車とかプラグインハイブリッド(PHEV)に出すと言って、1台当たり7,500ドルは大きいからみんな欲しいなという事になりました。ところが、4月にどの会社のEVやプラグインハイブリッドに補助金を支給するかというのが発表されて、補助金を貰えるのがテスラとGMとフォードと言うアメリカの会社だけでした。フォルクスワーゲンやトヨタも補助金がとても欲しかったのですが貰えないという話になりました。トランプ以来、バイ・アメリカンというアメリカの物を買おうという政策があるのですが、バイデン大統領は電気自動車は電池使うだろうと、電池の為のレアメタルを中国から買っているようなところは駄目だ、レアメタルをアメリカがFTAを結んでいる国から調達しているという事を条件にしようと言いました。そうすると、フォルクスワーゲンやトヨタはそれを突然聞いて補助金をもらえないという話になったので少し困惑しているところです。しかし、補助金が欲しいのでレアメタル調達をアメリカがFTAを結んでいるところに変更するというような事をこれからやらないといけません。
トヨタと言ったら全方位戦略という事でやっていますが、日本は昔、家電と自動車と言っていて、家電が中国にやられて駄目になって、自動車が最後に残る世界で一番の産業なので、ここで敗れると大変なのですが、トヨタは電気自動車だけじゃなくて、水素自動車やハイブリッドも開発を進める、何が来てもいいように全方位戦略だと言っています。一方で、GMやホンダは、電気自動車専業だというような事を言っていますし、テスラは元々電気自動車しかやってないです。そうすると世の中がみんなガソリン車から電気自動車に移っていく中で、トヨタが1人で何か水素自動車やハイブリッドと言っていて、本当に生き延びられるのかと、段々と世界のマーケットシェアや販売台数を失っていって破綻してしまうのではないかというのが日本人としての1番心配なことです。全方位戦略をとると、良い事と悪い事があります。良い事というのは、ハイブリッドは今売れていて儲かるので、他の自動車メーカーに対してトヨタは儲けているという状況です。そういう意味では、すぐにシェアが変わるということではなく、時間を掛けて変わる、その間は儲かるという良い事はあります。それから、水素自動車の可能性です。本当に水素自動車が基幹事業としていずれたちあがると思っている人は少数派になってきていますが、その可能性もゼロではありません。電気自動車に対する転換が遅れ、シェアを失い、販売台数を失うという事が起こっても、今はハイブリッドが沢山売れているのでいいかもしれませんが、ハイブリッドが販売できなくなり、電気自動車はあまり強くないという状況になったらどうするんだという懸念があるということです。
今日のまとめです。カーボンニュートラルに合わせた車の電気自動車化が進んでいます。トヨタをはじめ日本は、これまでどちらかというとハイブリッドを中心に考えていましたが、世界が急速にハイブリッドを含むガソリン車を禁止して電気自動車を導入する流れに変わってきました。そうすると、GMやホンダが電気自動車専業を目指すと、また、フォルクスワーゲンはトヨタの5倍くらいのお金を電気自動車に投資すると言っていて、トヨタは開発が段々遅れていって電気自動車ばかりになった時にはやっていけなくなるんじゃないかという心配があるという事です。しかし、ヨーロッパはドイツの進言により35年以降も合成燃料を使えばガソリン車を売ってもいいと言っています。トヨタは今のところすごく儲けているように見えていますが、それがずっと続くとはどうも考えにくいという状況です。