ハナボウズの山ログ

自己洗農


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六月八日の朝、中島は雨の降り始めたK圃場の石のベンチに腰を下ろしながら山ログを録った。昨日は落ち込んで早めに切り上げ、娘の寝かしつけごっこに付き合ううちに眠ってしまった。目が覚めると体の上にビーチボールとトランシーバーと折りたたまれた布団が積まれていた。その無言の置き土産が効いて、気分は三まで戻っていた。


丁字草を切りながら、中島は農業を「仕事」と捉えることの重さを考え直した。ベランダ園芸の延長でいい、楽しいからやっている。そう決めると何かが緩んだ。娘が平仮名を書いたりおもちゃのお金で遊んだりする姿を見て、遊びの真剣さというものが腑に落ちた。吹っ切れた、と言いたいところを自己洗脳と言い直す。いや、自己洗農か。


午後には、Instagramで知り合った移住者の花農家が作業場に来る予定だった。嬉しいとは思う。ただ、予定が一つ入るだけで体がどこかピリつく。お金の交換を伴う注文は素直に喜べるのに、人と会う約束はなぜか重さが違う。そのことも正直に録音に吹き込んだ。


明日は草刈りと防除。ハウスへの植え付けが一段落し、路地フェーズへ移る前の足固めだ。石のベンチはすでに濡れていて、腰を下ろした中島はケツを濡らした。それでもログは続く。雨の六合地区から、お届けしました。

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ハナボウズの山ログBy ハナボウズ