今回は組織と戦略のフィット感というテーマでお話をします。フィット感がすごく大事はいう話を今日は是非したいです。会社の組織に関して、組織はここがイマイチだ、或いはうちの組織のここをこう変えていくべきだという話は、アフター5の居酒屋では定番のテーマと言ってもいいと思います。今回話したいのは、組織を語る際には、その組織が実行しようとしている戦略とのフィット感がすごく大事という事です。なぜなら、そもそも組織はその戦略を実行するために存在するからです。ですので、我々が組織を語る時には、まず会社の戦略を確認する、そしてその上で、会社の組織がその戦略を実行するのに果たして適切な形になっているのかどうかを議論する事が大事になります。組織は会社の戦略とフィットすべきで、これが今日のテーマ、組織と戦略のフィット感という意味です。
具体的な例で考えてみたいと思います。例えば、架空の会社、FM福岡重工という会社があるとします。鉄道車両を造っている会社だとしましょう。その鉄道車両市場では大きなシェアを占めていて、トップ企業と考えて下さい。日本国内の鉄道車両市場は成熟していると思います。今後、大きく伸びる事はない変わりにいきなり小さくなる事もないと思います。このような前提で考えるとFM福岡重工の戦略はどんな形になるのでしょうか。安定した市場でトップの位置を占めているわけですから、別に大きなリスクをとる必要はないです。また、人を乗せた走る車両を造るので、性能や安全性、品質が大事です。こういったFM福岡重工の戦略が具体的に組織にどう表現されるべきかという事を考えてみます。組織構造です。鉄道車両というと結構複雑で大きな部品や部材も必要です。それを上手く組み合わせて造っていく事が当然必要で、こういった事を前提にすると、どんな組織構造がフィットしそうでしょうか。
多くの部品や部材が必要ですから、それぞれをまずはしっかり造り込む事が必要です。ですので、分業が必要になってきます。一方で、それが出来上がると、今度はそれを組み合わせてしっかり動くようにしないといけない。という事は、分業と統合の両方が必要です。このためにピラミット的な重層構造、すなわち分業しながらもそれらを上手く調整できるような仕組みがフィットしていると思われます。今、組織の構造の話をしましたが、今度は組織を構成する人の問題に目を向けてみます。このFM福岡重工の人事評価、人事評価ではどんな点を重視すると思いますか。大きくシェアを伸ばす必要もなく、人を乗せるので欠陥商品を絶対造れません。そうすると、まさに決められた手順に従って着実にかつ慎重に仕事を進めることが何よりも重要で、それを重視する人事評価体系になるはずです。こういった組織構造や人事制度は、元々はこのFM福岡重工がトップのポジションを維持して、それをなるべく長く続けたいといった戦略からきているという事です。まさに戦略と組織がフィットしています。
ではもう1つ、全く違ったタイプを考えてみたいと思います。また仮定の会社ですが、今度はFM福岡AIという会社です。AI関連のアプリケーションを作っている会社です。そうすると当然市場は急成長しています。世界中から多くの会社が参入していて、勝負をしています。そういった中で、FM福岡AIが取るべき戦略はどんなイメージでしょうか。一刻も早く市場の中でポジションを作りたい、だからスピーディーに差別化されたいい製品を作っていくといった具合だと思います。そうするとこういった戦略にフィットした組織構造はどんな感じになるでしょうか。やはり小回りがきいてパスパス動けるような組織だと思います。新しい事業分野なので当然失敗もあるでしょうと、そんな事いいじゃないかと、それを乗り越えていわゆる仮説と検証を早く繰り返しながら、他社にはない製品を作っていく。そうすると担当者は、いちいち課長や部長の了解を取っている暇はないので、各自が自らの責任でどんどんチャレンジしていく、という事が必要です。そうすると組織構造としては極めてフラット、かつ各担当者に大幅な権限委譲が行われるという感じになっていきます。では人事評価はどんなポイントが重視されるでしょうか。いかにクリエイティブな人間か、自分で何か考えて動けるような人かといったポイントだと思います。このFM福岡重工とFM福岡AIの組織構造や人事評価の仕組みはどうやら大きく異なっていそうです。この違いがどこからくるかというと、まさにそれぞれの戦略が違うということです。したがって、組織と戦略はフィットしている事が大変大事という事です。
今日のまとめです。今日は組織と戦略のフィット感を考えていきました。FM福岡重工とFM福岡AI、その組織が大きく異なっているのは、それぞれの組織がもっている戦略が違っていて、それぞれがそれにフィットしているからです。次回はこの点を更に深く考えてみたいと思います。