「ご両親はどう思ってるの?」
就活の最終面接で、そう聞かれ続けたという。
2014年にGoogle株式会社へ入社。
アジア太平洋エリアのShoppingプロダクトにおける
ビジネス推進責任者として成長戦略を牽引した、
青野紳三郎さんの父親は、世間的に知られた人だった。
上に行けば行くほど、自分じゃないことを聞かれる。
このままだと、自分として扱ってもらえない。
「内定は全部お断りして」
商社も含めて、全部断った。
個人が尊重されるだろうと思って、外資に行った。Googleだ。
「その考えは全く間違っていた」
青野さんは、そう言った。
外資は個人をものすごく尊重する。仕事の方は、型にはめる。
誰でもできるようにしてね。それをいかに効率よくやるか。
「より歯車で言うと、外資系の方が歯車だと思う」
「KPIで測れるようなことしか降りてこない」
自由で、クリエイティブで、想像力豊かで、最先端。
僕は、そう思っていた。
違うのか。
1日100件のテレアポ
1年目は、検索広告の営業だった。
1日100件ぐらいテレアポをかけて、日本の中小企業に広告を売る。
保険屋さん。ホームページ制作会社。
生命保険なら1クリックいくら、、、みたいな話。
「当然、Googleはボロ儲けなんだけどさ」
もう一つ、Googleショッピングの仕事は楽しかったそうだ。
ナイキのランニングシューズと検索すると、上に画像が出てくる、あれだ。
在庫を増やす。クリックする人を増やす。価格コムでも楽天でもなく、Googleを使ってもらうにはどうするか。
上司はアメリカ人。チームはシンガポール、中国、韓国。当時から、仕事はリモートだった。
営業を1.2倍にするよりも、、、
あるとき、プロダクトを日本仕様に変えた。
ユーザーがクリックしやすくなるように、仕様をいじった。
売上が、跳ねた。
「どんだけ営業頑張っても、1.2倍とか1.3倍」
「仕組みの方が大切じゃん」
だったら、仕組みに権限が持てる側がいい。大きい会社の中ではなく、レールを敷く方に回りたい。
それで、Googleを辞めた。
日本の優秀な若者が、金融、商社、広告代理店、コンサル。仲介する側にばかり行っている。
職種への嫌悪感はない、と前置きしたうえで、
「行き過ぎじゃね?って思ってる」
給料はいいし、仕事ができる人のイメージもある。僕だってそう思う。
それでも、と青野さんは言う。
短期の利益率ではなく、長期で資産になるものを作る。その流れが、ソフトウェアでは日本にまるでない。
だから、作る側に回る。
僕が青野さんに惚れたのは、
まさにここだった。
5割は遺伝子、5割は環境
聞いてみた。
優秀でも、辞めない人はいる。辞められない人もいる。
そりゃそうだ、ブランドが違う。給料が違う。
青野さんはなぜ、辞められたのか?
リスクを取れる理由を研究したことがある、という答えが返ってきた。
「5割は遺伝子、5割は環境なんだって」
青野さんは、遺伝子の側だ。
家系に、固定給で働いている人がいない。母方も、父方も、中小企業のオーナー。
辞めてどんなビジネスやるの?と聞かれる家だった。
もう一つが、環境。
Googleの同期の男たちは、3年の時点で、半分ぐらいが辞めていた。
「辞めるのがかっこいい」
間違ってるんだけどね、と付け足しつつ、そういう空気に一定は乗っかった。
で、僕はどうなのか
僕自身の話をする。
5割の遺伝子にも、5割の環境にも、心当たりがない。
父親は公務員だし、母親は主婦だ。
テレビ局を辞める人も、最近は増えたけど、同世代にはいなかった。
それでも、辞めた。
周りと同じことをするのが小さい頃から嫌いな性格は、僕にもある、と言われた。
たしかに、それはあった。
「何にも変わってねえんじゃねえか」
青野さんは十何年、ITの世界にいた。好きでやってきた。
それでも、本当に必要なものを作れたのか。
SaaSの売り文句は、コストが30%削れます。
その30%のために、みんなが労力を使う。
「端的に言うと、別に何にも変わってねえんじゃねえか」
自分がやっていることも含めて、そう思った、と。
研究でも、PCとインターネットが出たときは生産性がぐっと伸びて、そこから何十年は変わっていない。
「胸張ってIT業界ですって、あんまり言えない自分がいるよね」
だったら、作業を効率化するのではなく、その作業自体をなくす。
人がもともと持っている能力を、外に出しやすい形にする。
そっちの方が、ITの使い方としていい。
そこにAIが出てきた。
誰でもソフトウェアを作れるようになる世界を、AIで作る。
そのビジョンには、強く共感する。
AIで便利になる、の話より、人としていい部分をもっと出していこうよ、の話。
番組だって、映像だって、
「こういう世界を望んでいる」
作る過程の話じゃなくて、
そっちのメッセージを出していけるかどうかなのだろうな、と思った。
今回のゲスト
青野紳三郎さん(株式会社Benten/元Google)会話ログ・コミュニケーションログを活かすAIの会社をやっています。青野さんへのお仕事のご相談は Benten のホームページから どうぞ。
話している人
内藤賢志郎(ないとう・けんしろう)福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走・講演などを行っています。
映像制作/AI導入・活用の伴走/講演・研修のご相談は K-studio のホームページから どうぞ。
この番組について
「結果を残した人は、どう自分を更新し続けるのか。」テレビ局で12年、スポーツ中継とドキュメンタリーを作ってきた映像ディレクター・内藤賢志郎が、アナログな現場仕事とAIのリアルな付き合い方を話す番組です。
#アナログ人間のAIアップデート論
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