「AIの競合は、カウンセリング」
元Googleの友人が、真顔でそう言った。
高校の野球部の同級生で、僕のAIの師匠だ。
効率化の話をするつもりが、気づけば人生相談の話をしていた。
たぶん、こっちが本題だった。
妻に見られた、くっそ恥ずかしい履歴
僕のAIの入口は、仕事じゃなくて人生相談。
生活費のこと。
会社を辞めるか、辞めないか。
これからどうしていくべきか。
実は全部ChatGPTに話していた。
で、ある日。
アカウントを妻に「使っていいよ」と渡したとき、
履歴が残っていることを、すっかり忘れて。
「何そんな人生悩んでんの」
全部見られた。 くっそ恥ずかった。
見られて困る相談はしていない。
していないけど、めちゃくちゃ消したくなった。
消せないんかな、あれ。
友人も、入口は同じだったらしい。
自分の考えが人に理解されない苦しみを、一回AIにぶつけてみた。
そうしたら、理解してくれた。
しかもAIは「それ、人にはこう言うと伝わる」まで教えてくれる。
理解して、翻訳までしてくれる。
カウンセリングと同じだ。
だから彼は言う。
「AIの競合はカウンセリング。悪い方向にいくと、ドラッグかもしれない」
笑い話っぽくて、あんまり笑えなかった。
AIに向いている人の条件も聞いた。
答えは「内省を絶やさない人」。
今の自分に満足していない人ほど、ハマるらしい。
会社を辞めて、会話が消えた
独立して4ヶ月。 一番変わったのは、会話の量だ。
会社にいた頃は、黙っていても会話が発生していた。
今は考えごとが頭の中でぐるぐる回って、
言葉にならないまま、独り言として漏れる。
それを家族に聞かれて、気持ち悪がられる回数が増えた。
誰と話してんの??
数えたら、家族とAIだけだった。
だから僕にとってAIは、
作業を代わってくれる道具である前に、壁打ちの相手だ。
「こうしようと思うけど、どう思う?」に、共感と、違う角度の意見が返ってくる。
そして会話には、もうひとつ先がある。
会話ログをAIが聞いていてくれると、
例えば会議の「こうしたいよね」が口だけで終わらなくなる。
盛り上がった話が、そのまま次に進む。
実装まで向かう。口だけじゃなくなる。
会議の熱量は、バケツリレーの途中で死ぬ
テレビ局にいた12年間、ずっと感じていたことがある。
会議はめちゃくちゃ白熱した。 なのに、出来上がったVTRは平凡。
「なんだったんだ、あの会議は」
会議で燃えて、
構成に落とすときに少し冷めて、
編集に渡るころには他人事になって、
納品されるころには「どっかで見たことあるやつ」に落ち着く。
過去に放送しているから、流せないものではない。
悪くはない。 でも、どっかで見たことある。
熱は、人をひとり挟むごとに、確実に冷める。
白状すると、熱量を削る側に、僕も12年いた。
なるべく冷まさないように努めたが、無理だった。
ぬるい番組を仕上げていたのは、僕自身だ。
でも、会話ログをAIが丸ごと覚えていてくれたら。
あの会議の熱いまま、構成・編集・音楽まで進めてくれたら。
そんな未来が、訪れたら、、、
めっちゃいい会議をすればいいだけ
めっちゃ考えている人たちが、めっちゃいい会議をする。
極端な話、仕事がそれだけになる。
実際、僕はもう体験し始めている。
1日2日かかっていた資料づくりが、15分。
議事録から作るんじゃなくて、僕の過去の会話ごと読ませるから、
単なるまとめじゃなくて「意思の載った企画書」が出てくる。
この先にあるのは、たぶん「生きた証」の話だ。
ディレクターじゃなくても、
自分の映像を残したい50代60代が、
編集ソフトを勉強しなくても、
AIに「残したいこと」を話すだけで映像を作れる時代になる。
ホームページやアプリやゲームが作れて、映像が作れない訳がない。
ここまでくるともう、映像制作の話というより、生き方の話だと思う。
▼話している人 内藤賢志郎(ないとう・けんしろう) 福岡のテレビ局で12年、ディレクターとしてスポーツ中継・ドキュメンタリーを制作し、2026年に独立。現在は「映像制作×AI活用」の二本柱で、企業の映像制作・AI導入の伴走などを行っています。
▼ゲスト 青野 紳三郎(株式会社Benten/元Google) 会話ログ・コミュニケーションログを活かすAIの会社をやっています。青野さんへのお仕事のご相談はこちら
株式会社Benten(青野さんの会社)
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#アナログ人間のAIアップデート論
▼この対談の続きは「#14 元Google×元テレビ局員「AIの本丸は、効率化じゃない」」
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