「会いたくて　会いたくて　震える」という歌詞の衝撃で一躍トップの座に上り詰めた西野カナは、2010年代を代表するアーティストとして「Best Friend」や「トリセツ」などのヒット曲を連発。ポスト浜崎あゆみ的な共感できるファッションリーダーでありながら、手が届きそうなスターという絶妙な距離感を保ち、自慢の歌唱力に合った良質なJ-R&B・ポップスを提供してくれた。サブスク解禁して全ディスコグラフィを堪能できるようになった今だからこそ、西野カナを語ろう。

「歌姫を語ろう」は浜崎あゆみファンの二人が愛すべき歌姫たちにスポットライトを当て、彼女たちが歩んできた道のりを思い出と共に振り返るシリーズ。

タイトルからしてロックアルバムなのかと思いきや、「Rock'n'Roll Circus」は蓋を開けてみればバラエティに溢れた佳作だった。前作の冒険を生かしつつ、完成度を高めてきた今作を聴けば、2010年代に突入しても浜崎あゆみはまだまだ健在であると実感できる。実は隠れた名曲も多い。

浜崎あゆみの10枚目のオリジナル・アルバム「NEXT LEVEL」は、今までにない作風にチャレンジしているとても冒険的な作品。従来のJ-POPやポップロック路線に、EDMや洋楽的なビートを融合したサウンドは面白いが、過去の名盤に勝る完成度には届かなかった。

23周年のデビュー日にサプライズリリースされたシングル「23rd Monster」は、浜崎あゆみらしいメッセージ性の強いダンスロック曲。

浜崎あゆみ初にして、唯一のシングルコレクションである「A COMPLETE 〜ALL SINGLES〜」は、彼女の10年間の道のりをインスタントに体験できる作品だ。デビューシングル「poker face」と10周年記念シングル「Mirrorcle World」を比べると、まるで別のアーティストにも思える一方で、ずっと変わらない浜崎あゆみもそこにいるから不思議である。

デビュー10周年の節目にリリースされた9枚目のアルバム「GUILTY」は原点回帰がテーマとなって、全盛期の頃の豹柄や金髪ショートの浜崎あゆみが復活した。ダークでロックな重い作品である一方で、「MY ALL」などファンの間で人気の高いポップ曲も収録されている。

歌姫同時発売対決で話題となった「A BEST」から六年ぶりにリリースされた「A BEST 2」は、切ない曲を集めた「-BLACK-」と明るい曲を集めた「-WHITE-」の二枚でのリリースとなったが、私たちは2020年になっても「A BEST 3」を待っている。

前作「(miss)understood」での急な路線変更から一転、8枚目のオリジナル・アルバム「Secret」は浜崎あゆみらしさを維持しつつ、エンターテイナーとして進化した方向性を打ち出した作品となった。しかし、このアルバムに隠されたシークレットとは一体なんだったのか。

洋楽プロデューサーを起用した大胆なリードシングルからのリリースとなった「(miss)understood」は、浜崎あゆみにとって今までにないマンネリ打破アルバムとなった。一方で、王道J-POP路線からガラリとR&Bやゴスペル路線に変わったことでセールスに影響し、あまりの変化に追い付けないファンはトラウマを抱えた。

今までアーティストとして培ってきたすべてが詰まった「MY STORY」は、浜崎あゆみの集大成とも言える作品となった。世代交代が進んでも、なぜトップの座を維持できたのか。このアルバムを聞けばその理由がわかる。