Respiratory viral coinfections: interactions, mechanisms and clinical implications
Citation
Nat Rev Microbiol. 2025; doi:10.1038/s41579-025-01225-3
概要
本総説は、呼吸器ウイルス同士の同時感染に関する最新の知見を整理したものである。
疫学的背景
インフルエンザウイルス、RSウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ボカウイルスなどが季節的に流行し、特に乳幼児では10〜30%で重複感染が報告される。COVID-19流行後、各ウイルスの循環パターンが変化し、同時流行が増加したことから注目されるようになった。
相互作用の様式
ウイルス間の関係は拮抗と相乗の二つに大別される。ライノウイルスがインフルエンザの流行を抑制した事例のように干渉を示す場合もあれば、アデノウイルスやボカウイルスのように他のウイルスと共存し重症化に寄与する例もある。
臨床的影響
重症化への影響は一様でなく、組み合わせや宿主の年齢によって異なる。例えばRSウイルスとヒトメタニューモウイルスの重複感染は乳児の重症度を増す一方、RSウイルスとライノウイルスの組み合わせでは軽症化がみられることもある。COVID-19とインフルエンザの重複感染は人工呼吸管理や死亡率の上昇と関連する。
実験モデルの知見
動物モデルでは、ライノウイルス前感染が致死的インフルエンザを軽症化させることが示されている。逆にSARS-CoV-2とインフルエンザの同時感染では炎症反応が増幅し、肺障害が悪化する。細胞モデルでは、ライノウイルスがインターフェロン依存的に他ウイルスの複製を抑制する現象や、インフルエンザとRSウイルスの重複感染によってハイブリッドウイルス粒子が形成される現象が報告されている。
結論
呼吸器ウイルスの重複感染は一般的であり、干渉と相乗の両面で疾患の経過に影響を与える。とりわけインターフェロン応答や受容体発現変化が中心的なメカニズムである。臨床的には、重症化リスク評価や予防戦略を検討する際に、重複感染を考慮することが重要である。