A clinical practice guideline for tuberculous meningitis
Citation
Lancet Infect Dis. Published online August 18, 2025. doi:10.1016/S1473-3099(25)00364-0
概要
結核性髄膜炎(TBM)は結核の最重症型であり、罹患者の約半数が死亡または後遺症を残す。本ガイドラインは、国際的な多施設共同研究コンソーシアムが、診断、抗結核化学療法、副次的抗炎症療法、神経集中治療および神経外科的管理に関する主要臨床課題をPICO形式で整理し、エビデンスに基づいた推奨を提示したものである 。
診断に関しては、単一検査でTBMを除外できるものはなく、CSF検査に加え、Xpert UltraあるいはXpert PCRと培養の併用が推奨された。治療に関しては、成人におけるリファンピシン増量投与(>15 mg/kg/日)で死亡率改善は証明されておらず、今後進行中の第III相試験の結果が待たれる。小児に対しては南アフリカで用いられてきた6か月間の高用量強化レジメン(高用量イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、エチオナミド)が標準12か月療法と並ぶ選択肢として推奨されている。
副次的治療としては、HIV非感染者に対するコルチコステロイド投与が強く推奨され、HIV感染者では症例ごとの判断が求められる。抗HIV療法の開始時期は、結核治療開始から4〜8週後が望ましいとされた。その他の免疫調整薬(アスピリン、サリドマイド、抗TNF製剤など)は有望な報告もあるが、エビデンスは不十分である。
神経集中治療・外科的管理に関しては、水頭症に対する外科的手技(VPシャント vs 第三脳室開窓術)、結核腫や膿瘍の外科的切除、低ナトリウム血症や痙攣管理など、いずれも十分な臨床試験データはなく、個別判断に委ねられる部分が大きいとされた。
結論として、本ガイドラインは成人・小児・HIV感染者を含む結核性髄膜炎患者の診療における国際的標準を初めて体系化しつつ、依然として大きなエビデンスギャップが存在することを強調しており、今後の研究優先課題を明示している。