No.96 東京メトロ08系 中央林間ーあざみ野
ー東京メトロ08系ー
2003年3月19日の半蔵門線の水天宮前 - 押上間の開業と東武鉄道伊勢崎線・日光線との相互直通運転開始による必要編成数の増加に伴い、10両編成6本(60両)が日本車輌製造で製造された。営団地下鉄では最後の新製系列である。
本形式は「人や環境に快適でやさしい車両」をテーマに設計した。また、2000年(平成12年)3月に発生した日比谷線脱線衝突事故を踏まえ、車体構造の見直し、安全性の向上を目的に改良を加えた新設計の台車を採用した。
東西線用の05N系が設計のベースとなっているが、細部に変更点がある。
<外観、仕様>
アルミニウムの無塗装車体に、半蔵門線のラインカラーの紫帯を巻く。側面のラインカラーには紫色に加えて白・ピンクを加えてソフトなイメージとしている。車両床面高さは車椅子での乗降を考慮して8000系よりも60mm低い1,140mmとした。
前面デザインは、8000系のイメージを残したものとしている。ただし、全体的には05N系の縦曲線をベースにし、フロントガラスの四隅形状や下部の前照灯形状など角ばった直線性を強調したデザインを採用している。前照灯は四角形のHID、尾灯は三角形のLEDである。スカートは、05N系に準じた形状のものを設置し、連結器は自動連結器である。
前面ガラスにはすべてグリーンの熱線吸収ガラスが使用され、いずれの窓上部には遮光フィルムが貼られている。前面には地下鉄線内におけるプラグドア式の非常扉と車内に非常階段を設置する。
前述した事故を教訓として、側構体を従来のシングルスキン構造からダブルスキン構造(セミダブルスキン構造)に変更し、車体強度の向上を図った。合わせて車端部の隅柱を強化・三角形断面構造とし、側構体は戸袋部および下部構造を中空形材による二重構造とした 。
これらの技術により、万が一衝突事故が発生した際には、相手車体が自車体へ侵入することを防止できるほか、衝撃により各構体が分離するのを防止することができ、事故の拡大を抑えることができる構造となっている。そのほか、車体外板接合の一部には摩擦攪拌接合 (FSW) を採用し、外観見付けの向上を図った。側面屋根は張り上げ屋根構造となっている。
各車連結面に灰色の転落防止幌を装備する。ただし、4号車の妻面には誘導無線用のアンテナがあるためここにはステンレス製の板を巻く。